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満月の夜に
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寝子島神社を出て、まあるいお月さまをぽっかり写す耳福池の横を通る。お月見音楽会で賑わう神社の傍の道は、お月さまの見える夜遅い時間なのに、人がたくさん歩いている。
小島 海美
は、いつも商店街でしているように大人達の間を縫って夜の道を歩く。外灯が少なくても、人がたくさん歩いていれば、怖くなんかない。
旧市街に続くトンネルから出た車道と交差する橋の手前の階段を、足取りも軽く小走りで降りる。ロープウェイには乗らない。だってお小遣いが減ってしまう。寝子温泉に続くちょっときつめの坂道も、疲れを知らない子供の元気な足で登って行く。
(車には気をつけて!)
お母さんの口癖を思い出す。こういうの何て言うんだっけ。
(耳にタコ?)
車道を挟んで夜の森。歩道の向こうに広がる森の暗がりはちょっと怖いけれど、寝子温泉までの車道には等間隔で外灯がきちんと光を落としていてくれる。時々切れかけの電気がぱちぱち瞬くと思わず早足になってしまうけれど、電気があればちゃんと明るい。
(大じょぶ!)
海美は夜の坂道をどんどん登る。車道を行く車が途切れて、気がついた。外灯の光じゃなく、アスファルトの道に自分の影ができている。影を作る光を探して、空に輝くまん丸お月さまを見つけた。
(月の光が作った影だ!)
大発見に心が踊る。思わずくるり、その場で回る。
(月ってこんなに明るかったんだ!)
外灯のないところでも家の近くだと電気がいっぱいで気付かなかった。月がこんなに明るいなら、じゃあ、怖いものなんてない。
だから海美の足はますます軽くなる。湯煙が頬をくすぐる寝子温泉を、浴衣姿の人達に元気に挨拶しながら通り過ぎる。燈籠のたくさん灯った綺麗な登山道に入る。登山道にも、今日は人がたくさん居る。みんなお月見の人だろうか。
魔法の世界みたいに見える灯篭の道をどんどん、ずいずい進む。そうして、ふと、燈籠の向こうに蒼白く光るススキを見た。見た、と思った次の瞬間、道から外れた森の中、この前、妖怪達のたくさんいる不思議な町で町の案内をしてくれた全身ガイコツのおじさんの姿を見つけた。
「おーい!」
迷わず躊躇わず、海美は両手を挙げてガイコツのおじさんを呼ぶ。ここに居るよと小さな体でぴょんぴょん跳ねる。おじさん、あの町からお月見しにこっちに来たんだ。
「今日はわたしが町の案内をする番なの!」
海美の呼びかけに気付いて、骸骨が森に差し込む月明かりに真っ白なしゃれこうべを巡らせる。虚ろな眼窩で海美を見る。乱杭歯をカタカタ鳴らして嗤う。骨の手に握った錆びた剣を地面に引き摺り、海美に近づく。前に会った時とは違う様子に首を傾げる海美に向け、錆びた剣を振り上げる。
海美は目を丸くする。この人はあのガイコツのおじさんじゃない。
(たすけて!)
悲鳴をあげようとして、声にならなかった。剣を振り上げる骸骨の動きはぎくしゃくとして遅いけれど、逃げ出そうとする海美の足も恐怖に強張ってまともに動かない。夢みたいにふわふわして全然前に進めない。そのくせ坂道につまづいて転んでしまえば、地面に打ち付けた掌や膝小僧は嫌になるくらいジリジリ痛んだ。
痛む手で地面に爪を立てる。動かない足をどうしようも出来ず、手で体を引き摺って前に行こうとするも、
(……だめだやっぱりこれじゃおそい!)
逃げ遅れた足首を、骸骨の冷たい足が踏む。海美は動けずもがく。髪を乱して、瞳だけを道の先へ先へと進ませて、怖いくらいに明るい月の光に照らし出された道の先、
「海美ちゃん!?」
坂道を駆け降りて来る人影を月の逆光に見た。
「まおちゃん!」
寝子島神社や旧市街のあちこちで一緒に猫を撫でて遊んでことのある
後木 真央
の姿を認め、海美は元気を取り戻す。友達の姿を見たら、声も出た。
「たすけて!」
小さな友達の助けを求める声に、真央は手にした自作の鉄製三脚を振り上げる。
「怖がるな恐れるな……」
低く呟くと同時、獲物を見分けようとするかの如く海美と自分とを交互に見る骸骨の懐に突っ込む。
「二歩踏み込んで力の限り! ぶっ叩く!」
体当たりの勢い込みで三脚で骸骨の胴体をぶん殴る。肋骨を砕かれよろける骸骨を、返す刀ならぬ三脚でもう一度どつく。
「真央ちゃんが引きつけるからあっちに逃げるのだっ!」
骸骨の足から海美の足首から離れたのを視界の端に確かめ、真央は尻餅ついてがしゃがしゃともがく骸骨を睨み据える。襲い来る者の姿が見えない山頂へ逃げるようにと指差し示す。
「真央ちゃんはっ?!」
「真央ちゃんも後から帰るのだ! 大丈夫なのだっ!」
心配げな声を上げて立ち上がる海美に、真央は力いっぱい元気な笑顔を見せる。
「ありがとー! わたし、ちゃんと帰るから!」
海美が力強く答え、指示通りに山頂向けて駆けて行く足音を背中に聞きつつ、真央は大急ぎで背負った赤猫リュックを探る。使い捨てカイロやタオルをはみ出させながら取り出したのはガムテープ。
「こっちなのだバーカバーカ!」
這ってでも海美を追おうとする骸骨の頭を力いっぱい蹴り飛ばす。頭を無くして尚も動く骸骨をガムテープでぐるぐる巻きにしていて、
「ファッ?! 何なのだコレまたあの世界なのだ!?」
自分を取り巻く世界の異常さにようやく気付いた。
ガムテープで捕縛した骸骨を足元に、真央はやけに大きく明るい月を見上げる。本当は、展望台に登って月の写真を撮るつもりだった。
(月の写真なら赤道儀なしでも撮れそうだと思ったのだ……なのにどうしてこんな)
撮り終わったらお月見大宴会が行われている寝子ヶ浜海岸まで降りてご馳走に相伴しようと、ご機嫌で自作鉄製三脚と雲台を振り回して登山の最中、
「アレなのだ!」
月と同じ白銀に光る薄を見た。
「あの薄!」
原因を思い出しつつ、うおおお、と錯乱気味に頭を抱えてぐるりを見回して、森の中に幾つも光る不穏な眼を見た。狼男に魔女に大蜘蛛、今にも揃って襲い掛かって来そうなモンスターの群に、真央は呻いて後ずさる。一本道で続く山頂を振り返れば、月明かりに駆けて行く海美の小さな後ろ姿。海美の後を追えば、魔物の群も一緒に連れて行ってしまう。
「……えーい月明かりに賭けるのだっ」
元の世界と地理が同じかも分からないが、元々展望台からの帰りに通るつもりだった落神神社から寝子ヶ浜海岸に続くルートを目指して道を外れる。囮も兼ねるべく森に飛び込む。
「どこなのだ出口教えてくれなのだ~!」
最近この手の物の怪に出会う度に助けてくれていた奇妙な面を掛けた男を呼んで森の暗闇に探す。もし見つけられたらリュックのおむすびを押し付けて助けを求めよう。
(でももし襲い掛かって来たら?)
最悪な想像をしてしまい、真央は泣き出す寸前に顔を顰める。そうなったら泣きながら逃げるしかない。
山道を転がるように走る。追いかけて来る敵の眼を逸らそうと茂みに飛び込む。ウインドブレーカーの上下から出た手や顔を枝や葉に引っ掻かれながら道なき道を駆けに駆けて、
「真央?!」
「修ちゃん?!」
不意に抜けた森の広場で、月明かりに立つ
八神 修
と出くわした。修の足元に賢くお座りしていた柴犬のカーキーがつぶらな眼をくるりと丸め、小さく首を傾げる。
「た、助かったのだ~」
出口も分からぬ孤独な逃避行に途方に暮れかけていた真央は思わずその場にへたりこむ。へにゃり、力の抜けた笑みを浮かべる。
「修ちゃんに会えたならこれもまた良しなのだ♪」
「……変なススキを見たと思ったら、奇妙な感覚がしたんだ」
また怪異に巻き込まれたのだろうと、お供のカーキーの頭を撫でる。大丈夫と言わんばかりに尻尾を振る愛犬に小さく笑みかける。
「そうだな。お前が居るから怖くないよ」
主人の信頼に尻が浮かんばかりに尻尾を振り回していたカーキーが、ふと表情を一変させる。鼻先に皺を寄せ、歯を剥き出し、頭を低くする。今にも飛び掛らんとする警戒の体勢を取る。
真央の背後の暗闇が不穏に大きく揺れる。闇に何かが哂い、何かが吠える。人を襲う人のかたち持たぬものが大挙して近づいて来ている。
「真央ちゃん囮だからいっぱい追いかけて来てるのだ」
背後の山へと向き直り、真央は大きく深呼吸する。まだ、走れる。
「なんとか引きつけるから、修ちゃんは海美ちゃんの居る山頂の展望台目指して欲しいのだ」
早口で言うだけ言い、修が止める間もなく真央は再び月影濃い山中に飛び込む。
「うわー! なのだー!」
真央の必死の叫びを耳に、修は瞬時に決める。真央が自分を囮にしてまで守ろうとしている海美のもとに向かおう。
(ただ、)
争いは好きではない。体力の少なさ故に長期戦も得意ではない。
(短期戦か)
山中の茂みを揺らしていた人外の気配の大半は真央の方に向かったらしいが、こちらの気配に気付いた何体かが不気味に近付いて来ている。
「カーキー」
足元で臨戦態勢を取る愛犬を呼ぶ。カーキーは置いていかない。カーキーも修を置いては行かない。深い絆で結ばれた主と犬は視線も交わさず同時に駆け出す。追い縋る狼男や角持つ兎の隙を擦り抜け、山道を駆ける。
駆けながら枝を折り取る。闇に素早く身を潜め、明後日の茂みに枝を投げる。音に惹かれた兎がそちらに向かっている間に目指す山頂へと逃げる。
潅木に身を潜める。足元にすぐさま伏せるカーキーを撫でる。息を整え、背後に迫る足音に耳を澄ませる。梢から零れ落ちる僅かな月光を頼りに追っ手の姿を捉えるべく眼を凝らす。
(崖の下に居る、が……)
捉えたのは少し離れた低い崖の下、此方を見失って周囲見回す狼男。
(あの崖の岩壁上部を砕き落とせるなら)
己が身に宿るろっこん『分解』の力を使えば、岩壁を粉々には出来る。けれど、その発現には条件を三つ整える必要がある。
精神を集中させること。息を止めること。対象に触れていること。
三つ目の条件を満たすは難しいと判断する。その場を逃れるべく足を踏み出そうとして、
何気なく此方を向いた狼男の金色の眼と目が合った。
「――ッ?!」
頭では出来ないと理解していて、それでも体が先に動いた。壊そうとする狼男の頭上を見、息を詰める。視界が狭まるほどに神経を研ぎ澄ませる。
瞬間、条件が揃わず壊せるはずのない岩壁が音立てて砕けた。狼男の頭上に土塊となって降りかかる。悲鳴上げる間もなくその体を埋める。
(……触れなくても、良い?)
息を戻すことも忘れ、修は眼を丸くする。
身のうちに宿った力の進化とその強さに思わず戦慄しつつも、今は、と駆け出す。今は、この窮地を脱する事が先。
森を抜け、月明かりの道に出てしまえば、海美が居るだろう山頂まで走るはきっと容易い。
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シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月01日
参加申し込みの期限
2014年12月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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