窓から差し込む西陽に閉ざした瞼を射られ、
獅子島 市子は眉間に難しげな皺を寄せた。
「…………ねみぃ」
呻くように呟いて、ゆっくりと眼を開く。開いた眼に映るのは、住処にしている旧市街の工場跡。
屋根まで吹き抜けのだだっ広い作業場跡に散乱する楽器や家具を寝惚け眼で見回せば、胡坐の足の上、同じように棲みついた野良猫達が物憂げに小さく鳴いた。
錆びたドラム缶に預けた背中を引き剥がし、大きく伸びをする。
「……満月だっけか」
窓の外、茜を滲ませ沈んで行く太陽を横目に立ち上がって、
白銀の満月が青く蒼く染め上げる、その世界をその空を、ふと思う。
「…………」
しばらく難しい顔で考えて後、コンクリートの床に散乱する荷物やがま口財布を適当に鞄に詰める。中秋の名月の今日は、町のあちこちでお月見会が開かれる。
どうせ今日は予定も無い。
月見がてら、何処かしら覗きに行ってみようか。
こんにちは。阿瀬 春と申します。
獅子島 市子さんにガイドにご登場頂きました。ありがとうございました。
ガイドではお月見に出かけられてますが、ご参加くださる場合は出かけるのをやっぱりやめるのもありだと思います。折角の月の綺麗な夜です、ガイドに関わらず、ご自由にお過ごしください。
さて、みなさま。
本日は、お月見のお誘いに参りました。
各地で開催される主なお月見会の時間は全て午後五時から午後九時まで。
お月見会イベントは、ネコッターや町の掲示板でお知らせされていたりするようです。
場所は以下の通りです。
1.寝子島神社境内
お月見音楽会と称して、境内に設けられた小さなステージ上で音楽会が催されます。
メインは寝子島交響楽団の演奏が予定されていますが、飛び込み参加も大歓迎です。お月見にぴったりな演奏や歌をお聞かせください。
屋台も少し出ていますし、屋台を出すことも可能です。
大人もこどもも、みんなで賑やかにお月見しましょう。
2.九夜山山頂展望台
展望台に登って月光に照らし出される寝子島を静かに眺めましょう。展望台での催しは特には行われていませんが、展望台に至るまでの道に燈籠が置かれています。
寝子温泉から展望台に至る道には、温泉街の有志連が設置した燈籠が置かれ、展望台に至るまで幻想的な雰囲気になっています。
道に揺れる蒼白く光るススキを眼にした途端、神魂の影響で別の世界に迷い込んでしまいます。
もしも連れの方が居られる場合はその方ももれなく巻き込まれます。
そうなると、燈籠の照らす夜道や森の中の暗い道で狼男に追いかけられたり、狂乱する化け兎の群や魔女の軍団に襲われたりします。
彼らに言葉は通じません。ひたすら逃げるか戦うかしかありませんが、それは展望台に至るまでです。展望台に到着してしまえば、何事も無かったかのように元の世界に帰還できます。
もちろん、不思議なススキを見ず、神魂の影響を受けずに展望台に登ってのんびりお月見をすることも可能です。
3.寝子ヶ浜海岸
町の有志によって海岸の一角には大きなブルーシートが敷かれ、ススキや月見団子や誰かのお手製重箱弁当、お酒やジュース等が置かれています。
来る者拒まず去る者追わずのお月見会です。
賑やかなのが苦手な方は飲み物と食べ物だけ貰って端っこの方に移動してみたり、波打ち際を歩いてみたりしてもいいかもしれません。
4.その他
ご自宅やお店等でお月見に関連した行動をとることもできます。
自分の部屋やどこか秘密の場所で月を見上げて誰かを想ってみたり、誰かや自分のお店でお月見がてら酒盛りしたり、でしょうか。お月見に関連することでしたらご自由にどうぞ。
選択肢のうち、一つか二つの行動を選択してアクションをお書き下さい。
今回のお話に、特定NPCの登場はありません。
一人でしんみりしたい、や、友達の輪を広げたい、等のご希望が御座いましたら、できればその旨お教え頂けますと助かります。
よろしくお願いいたします。
中秋の名月のひととき、みなさまはいかがお過ごしになられますか。
もしよろしければ、月の夜のお話をお聞かせください。
ご参加、お待ちしております。