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走る体と心の温度
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疾走する『ザ・ストレイト』を足音もなく背後から抜き去り、縞虎猫が走る。縞虎猫を追って、三毛猫。その後を追って白猫。更に黒猫。
「んな?!」
急制動で立ち止まる熱血漢を振り向きもせずに追い抜き、猫の集団はすぐ先の角を曲がって去る。
「……な、何だ?」
好奇心にかられ猫を追おうとして、ヒーローは己を戒める。テオから聞いたろっこん絡みの事件の内容に猫は関わっていなかった。今は己の興味よりも困っている誰かを助ける事が第一の急務。
視線だけで猫を追えば、猫達は道の先を足早に歩く高校生の少年の背中を追いかけているらしかった。猫に懐かれる性質なのか、猫の好きな餌でも持っているのか、少年の後には十数匹の猫達が甘えた声で鳴きながら続いている。色とりどりの尻尾が林立するその様は、どこか牧歌的で微笑ましい。
『ザ・ストレイト』はちらりと笑う。猫と戯れる少年の邪魔をせぬよう素早く駆け去る。
(ひいーっ、助けてくれぇー!)
ヒーローとの遭遇を逃したことも知らず、
山田 勘三郎
は足早に十字路を横切る。ちらりと背後を振り向き、鴉に似た鋭く黒い眼に恐怖の色を滲ませる。背後に迫る猫の大群と決して眼が合わぬよう、素早く前を向く。恐怖のあまり駆け出しそうになる足を必死に押さえるも、それでも足は速くなる。
いつも通り、普通に駅前の道を歩いていたはずだった。
いつも通りの場所にいつも通りの猫が今日も寝ていたから、見ないふりをして通り過ぎた。いつもならそれだけで済むはずだった。
なのに今日は、寝ていたはずの猫が歓喜の声を上げて着いてきた。
(なんでだ?)
早足で行こうとしたら相手も早足になった。それだけでなく、向こうの角からも塀の向こうからも、わらわらと猫が寄ってきた。
(なんなんだこいつらは!)
照りつける太陽に照らされているはずが、全身を冷や汗が濡らす。猫の大群に追われながら思い出すのは、猫が苦手になった切欠でもある、近所の姉さんから聞いた猫の怪談。
鷲鼻を歪め、半泣き状態で、堪らず駆け出す。猫達が逃すまいと鳴く。一匹の猫が高らかに鳴いて勘三郎の背中にがっしり全身で抱きつく。
「ひいぃ!」
総毛立ち、それでも乱暴に振り払えないのは、
(うっかりとでも傷つけたら末代まで祟られる!)
近所の怪談姉さんにトラウマ的に刷り込まれているため。
勘三郎の背中を引っ掻いて猫がずり落ちる。ぺたりと尻餅をついた猫が傷一つないことを横目にしっかり確かめて、けれど一匹振り払ったと思ったその途端、次の三匹が鉄砲玉のように宙を跳んだ。
「うおおお!」
反射的にすぐ側の柵に手を掛け乗り越える。水が緩やかに流れる溝を跳び越える。必死に逃げる勘三郎を追って、ご機嫌尻尾の猫達が次々と溝を軽々飛び越える。
「あらあら、仲良しねえ」
「本当ですねえ」
シルバーカーを押す老婦人と買い物帰りの主婦がにこやかに勘三郎とその追っかけ猫達を見送る。
「そ、そうじゃ、」
否定の言葉を飲み込み、勘三郎は逃げる。とにかく逃げる。追いかけてくる猫達はどこからどう見てもフツウの猫達。そんなただのフツウの猫が怖いから助けてくれなんて、
(かっこ悪くて言えねぇ……)
こちらを見て和む人々はあれど、勘三郎の心の緊迫感に気付いてくれる人は皆無。
路地裏から、雑貨屋の日陰から、魚屋の屋根から、猫が駆けて来る。どこからともなく増える猫達を引きつれ、勘三郎は夏の参道商店街の石畳を走る。夏風に揺れるうどん屋の幟を掠め、土産物屋の招き猫の陰に隠れようとしてあっさり見つかって足に抱きつかれては息を呑み、寝子島神社の境内に続く階段を駆け登る。
とにかく逃げなくては。逃げ延びなくては。このままでは、
(猫まみれになっちまう!)
残暑厳しい陽射しを浴びつつ、一段飛ばしに石階段を登る。少年と猫の大群に振り返る観光客を追い越し、走って走って走る。
「ひいー……」
太腿が攣りそうに痛い。暑い空気を吸い込む度に乾いた喉が痛い。もう限界だと体が悲鳴をあげているものの、猫に襲われる恐怖がそれに打ち克つ。
有り体に言ってしまえば、要するに怖くて止まれない。
(なんでだ? なんでこいつら、こんなしつこく追ってくるんだ?)
立ち止まることなく階段を登り切った所で気力が尽きた。息を切らせてしゃがみこむ勘三郎に、猫達が甘え声で体を摺り寄せる。尻尾を絡みつかせる。背中をよじ登る。
「ひいぃいいいぃ」
怯える勘三郎に狂喜乱舞する猫達が集る。
「……な、何だ?」
境内の半ば、
御剣 刀
は顔を上げる。息を切らし頬を伝う汗を服の襟で拭いながら、掠れた男の悲鳴が聞こえた参道商店街から続く石階段の天辺を見やれば、高校生らしい少年が一人、猫の大群と仲良く戯れている。
傍目には微笑ましい光景を刀が眺めるそのうち、一匹の猫が少年の服のポケットに顔を突っ込んだ。スルメの小さな欠片を口に咥えて引っ張り出し、一口で飲み込む。
途端、猫達が夢から醒めたように平静さを取り戻した。頭を抱えて蹲る勘三郎に全く興味を失い、てんでばらばら、好き勝手にその場を離れる。
(神魂絡みの事件、と言うほどの事でもないか)
不思議そうに顔を上げる少年がどこか気恥ずかしげに笑い、何でもない風を装って立ち上がったのを境に、刀は鍛錬を再開する。
いつもは剣術の練習に費やす時間を、今日は短距離ダッシュを繰り返すことに使い続けている。
(少しでも、)
ほんの少しずつでも、体力を増やしたかった。瞬発力を鍛えたかった。体力と脚力は、普段の生活でも役に立つ。けれどそれ以上に、神魂絡みの事件ではきっと必要となる。
参道から外れた、僅かに雑草のある土の上に立つ。
乱れた息も整えぬまま、地を蹴る。
速く、もっと速く。ただ一途に思って走る。夏の光と蝉の声に満ちる神社の境内を幾度となく往復する。
(最近は危険な事件が増えた気がする)
以前から神魂や怪異、妖怪絡みの事件に関わってはいたけれど、ひとに酷い危害が加えられる恐れのあるものは少なかったように思う。最初の頃は、神魂絡みの事件であってももう少しのんびりしたものが多かったように思う。例えば、さっき見た猫と少年のような。
危険な事件であっても、それでも自分と一緒に来てくれる人達が居る。その事件に否が応でも関わってしまう人達が居る。
この島に住むそんな人達には無事でいて欲しかった。だからこそ、守りたいと手を伸ばして走った。力の続く限り走って走って、走り続けて、――
眩しい白光が瞳を射る。伏せた瞼の裏に、あの時あの人に届かなかった指先がちらついて、途端、針を差し込まれたような痛みが頭を貫いた。
「っ……!」
乱れた息が止まる程の頭痛に、黒い瞳が歪む。
(あの時、俺がもっと速ければ)
あの時は己が身を挺して一人を止める事しかできなかった。
もっと速ければ、彼女達を抱えて避けられたのではないのか。
今でも二人は生きていたのではないのか。
あの時のように、この手はまた助けたい誰かの手を掴めずに終わる時がくるのではないか。
止まぬ自責の念による頭痛と不安に、思わず足が止まりそうになる。呼吸が乱れる。膝が震え足がもつれる。とめどなく流れる汗が眼に入って酷く沁みる。走り続ける苦しさと辛さに座り込んでしまいたくなる己を振り払うべく、歯を食いしばる。地面を踏みしめ次の一歩を踏み出す。
不安を消し飛ばすため。
大切な時に足を動かせるため。
次こそ伸ばした手を届かせるため。
己に都合の良い現実を掴み取るため。
そのために、走り続ける。どれだけ走っても足りない。これだけ頑張ったんだから大丈夫だ、そんな自信は要らない。
(俺が欲しいのは)
守りたいと伸ばした手が届いたという結果、それだけ。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月24日
参加申し込みの期限
2014年10月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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