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走る体と心の温度
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昼尚暗いシーサイド九龍の地下に向け、叔叔、と叔父を呼ぼうとして、
劉 瑞麗
は幼い唇を引き結ぶ。
ひんやりとして、けれど淀んだ空気が暗い階段で揺れている。
美しい蝶の翅じみた青紫の瞳に力をこめ、瑞麗は気息を整える。己の気配を消し、足音を殺して地下への階段を辿る。
剥き出しの配管が這い、得体の知れぬ液体が垂れ落ちる薄汚れ老休化した壁。蜘蛛の巣に塗れ、塗装の剥げた天井。天井や床を絡まりのたくる何の用を成すとも知れぬコード類。汚泥に濡れた服、覗くのも憚られる膨れたゴミ袋。
いつもと変わらぬ荒れた廃墟のはずなのに、今日は何だかどこか違う。
階段の半ば、瑞麗は白磁の色した足を止める。煙草のにおいがする。叔父のものでもない、迷路のような廃墟に住まう皆のものでもない、
(ぱーぱのにおい)
黒社会の幹部である父親の傍に常に控え、父親の命令なら何でも聞く黒服の男達のにおい。太陽の下に逃れようと後退ろうとして、止める。地下には叔父が住んでいる。その地下に父親の走狗達が訪れているということは、
「叔叔!」
叔父が危ない。
瑞麗は階段を十段纏めて飛び降りる。
忠実な腹心の手引きによって家出して、叔父を頼ってこの島にやってきた。家出した瑞麗を、父親はきっと許さない。父親に逆らう者に一切容赦しない黒服達は、瑞麗の居場所を聞き出すためなら叔父をどこまでも痛めつけるに決まっている。
彼らに捕まってしまえば、有無を言わさず上海に連れ戻される。父親が沢山の悪事を犯して建てた豪邸に押し込まれ、毎日豪華な食事に贅沢な服を与えられ――けれどそこに自由はない。
「そんなの嫌、絶対」
瑞麗は決然と呟く。
(るいり、ぱーぱが改心するまで帰らない)
自由に憧れここに来た。そうして、この島で修行をすると不退転の信念を胸に抱いた。
「叔叔!」
半ば開いた扉の向こうには、空っぽの部屋に立ち尽くす黒服の男が数人。逃げおおせたらしい叔父の無事を安堵すると同時、瑞麗は黒服の男達を真直ぐに睨む。
「叔叔に手を出す、るいり許さない」
黒服の一人が無言で手を伸ばす。家出娘を捕らえようとする大人の大きな手から逃れ、瑞麗は素早く踵を返す。生まれ故郷の罵声を背後に聞きながら、迷路さながら入り組んだシーサイド九龍を疾風の如く駆け抜ける。
おっかない顔で追いかけてくる、父親の走狗たる彼らの手ごわさを瑞麗は知っている。知っていて尚、逃げる。
階段を駆け上がり、駆け下りる。幾度か繰り返せば、此処が何階の何処に当たるのかも分からなくなる。
複雑怪奇に増築改築を繰り返した果ての廃墟は、故郷の街路と少し似ている。故郷にいた頃も、そう言えばよく組織内外の抗争に巻き込まれて誘拐の標的にされては逃げた。だから自分の身は自分で守れるよう護身術を仕込まれた。
子供にしか通れない崩れた壁の穴を潜る。至る所に穿たれた抜け道を駆使し、駆けに駆ける。落書きに埋まった壁を横目に過ぎ、蟲惑的な香りの零れる扉の前を擦りぬけて、追っ手の足音が途切れた。少し足を緩める。
それでも油断できまいと周囲を見回す。壁に取り付けられたダストシュートに体を滑り込ませる。黴臭い細い縦穴のその下は、住人が好き勝手に捨てたゴミ屑の散らばる空間。
暗闇に慣れた青紫の瞳が、半ば砕けたゴミ箱の壁の隙間にうずくまる人影を視止める。追っ手かと身構えるも、その影は僅かも動かない。ならば死体かと瞬いて、柔らかな栗色の髪を結い上げた少年が僅かに漏らす息を耳にした。
近づかずに耳を澄ませば、瑞麗よりも年上らしい、妙に小動物っぽいその少年は、物陰に身を潜め息を潜め眠っているようだった。
(かくれんぼ、してる?)
瑞麗はあどけなく首を傾げる。かくれんぼをしているのなら、瑞麗が見つけてしまうのはいけない気がする。
瑞麗は足音を立てず、急いでその場を離れる。寝惚け眼の
鈴野 海斗
が身動ぎもせずにぼんやりとその背中を眺めているのには気付かず、ゴミ捨て場から這い出る。
曲がり角の先に待ち受ける暗闇も恐れず踏み込んで、暗闇から血眼な男の手が伸びて来た。黒服の男の待ち伏せから間一髪、
「あいやー!」
後方に宙返りして逃れる。黒服が短く笑う。通信機を通して仲間を呼びつつ、威嚇のつもりか鉄砲を取り出す。少女の足元に向け、無造作に一発。
瑞麗の瞳が獲物を狙う猫じみて細くなる。
背後にも追っ手の足音が迫る。
散々に駆けても一向に乱れていない息を深く吸い込み、鋭く吐き出す。護身術の師父の教え通りに功夫の構えを取る。銃弾撃ちこまれた床を蹴り、天井近く跳躍する。
男が咄嗟に銃を構える。放たれた弾丸は、けれど瑞麗がチャイナドレスの袖下から取り出し広げ翻した鉄扇に弾き飛ばされる。
弾丸の勢いに瑞麗の細腕が跳ね上がる。小さな体が宙でくるり、鞠のように回る。少女の動きに惑う黒服の頭を、広げた鉄扇が激しく叩く。薙がれた男の体が横っ飛びに倒れる。飛んで跳ねて転がって、暗闇を縦横無尽に走り回る。壁や天井を蹴って鞠のように跳ねる。
第二の追っ手を廃墟の闇に惑わせ、
「帰って伝えてほしい」
瑞麗は幼くも凛とした声で宣戦布告する。
「るいりは己の義を貫く」
それが真の忠だと、瑞麗は信ずる。
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。夏の終わりのひとっ走り、お届けさせていただきます。
色んな疾走の場面を書かせて頂けました。とても楽しかったのです。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ご参加頂きまして、読んで頂きまして、ありがとうございました。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月24日
参加申し込みの期限
2014年10月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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