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寝子島高校
走る体と心の温度
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夏の終わりを思わせる涼風が、海から星ヶ丘の坂道を駆ける。坂の上から朝の光溢れる眩しい空へ昇り行く海風を追い、
八神 修
は息を弾ませ人気の少ない朝の道を登る。
片手に軽く持ったリードが風に揺れる。リードを強く引きもせず、主と一定の速度と距離を保って傍らに添い、柴犬のカーキーが走る。時折仰いでくる子犬とその都度眼を合わせ、修は淡く微笑む。
子犬のカーキーと朝のランニングをするようになって、そろそろ五ヶ月が経とうとしている。始めた頃は足元にじゃれつくばかりの子犬だったカーキーも、大分大きくなった。
坂道の天辺で足を止める。弾む息を静めようと深呼吸しながら、足元で大人しくお座りして尻尾を振る犬の頭を優しく撫でてやる。
ランニングとは言え、元々然程肉体派ではない修が走る距離は短い。けれど毎日のように続けているうち、走る距離は徐々に伸びつつある。息切れして走れなくなることも、筋肉痛に悩まされることも随分と減った気がする。
坂の上から振り返る。星ヶ丘の住宅地のずっと向こうに青く広がる海を見遣る。深く被った帽子のつばを上げれば、帽子に結わえ付けた藍染バンダナの裾が瞳の端を掠めた。
白と葵の色の二本線が途中で交差する模様が入った、シンプルな柄のバンダナに指先で僅かに触れる。息を整え、カーキーの頭をもう一度撫でる。
「全力で走ってもいいかな?」
青空を背負って笑えば、足元の子犬は嬉しげに準備万端とばかり立ち上がる。
(まあ……人が全力で走れる距離なんてたかが知れてる)
上り坂のその先に静かに広がる住宅街の平坦な道を前に、修はどこか冷徹な瞳を上げる。何キロもの全力疾走は不可能だと短い息を吐く。
(だからマラソンのような走り方が必要になるわけだが……)
丁度少し先を猫のように軽い足取りで駆けて行く金髪の少女の背中を見る。修と同じように上り坂を走ってきたはずのその背中に疲れは一切見えず、少女の姿は修が思うよりも速く遠ざかる。
平坦な道を経た先には、星ヶ丘の天辺へと続く上りの坂道が待ち受けている。坂道の先に位置する天宵川と九夜山を頭に描き、まずは一走りとアスファルトを蹴って駆け出す。
まだどこか幼い両肢を楽しげに動かし走る小さな相棒を半ば追いかける格好で、とにかく今の全力を尽くす。
星ヶ丘の瀟洒な家屋の十何軒分かを過ぎたところで息が切れた。足が止まる。顎を上げて空を仰ぎ、膝を両手で支えて俯く。
上がりきった息を整えながら、心臓の鼓動を全身に感じながら、頭では冷静に自宅からここまでの距離を暗算する。
(カーキーはもっと走りたそうだ)
うっかり止まり損ねてリードを引いてしまい、申し訳無さそうに足元に戻りお座りするカーキーの頭を撫でる。
「また、走ろう」
夜の冷たさが残る空気を胸に満たし、子犬の期待に応えて再び走る。
(なんだ、この、全力ダッシュは)
内心に苦笑いを零しつつ、傍らの相棒の為にも足を緩めずに走っていて、不意に海から追いつき追い越した風に帽子をさらわれた。
咄嗟に両手を伸ばすも届かず、帽子は突風に舞い上がる。帽子に結わえた藍染バンダナのあおい色が風に翻る。
「っ……!」
乱れた息を整えることも忘れ、修は帽子を、正しくは帽子につけたバンダナを必死に追いかける。
己が想いをこめてこの手で藍に染めた、大切なバンダナだった。
風にさらわれた帽子が街路樹に引っ掛かって止まる。安堵したのも束の間、再び空高く風にさらわれ――
道の反対側を通り過ぎて行く自転車を眼にした途端、修は思わずポケットの財布を探る。
(この金で、)
その自転車を売ってくれ、と口走りそうになって思い止まる。風に翻弄されて視界から消えた帽子を探すべく、とりあえず落ち着こうと深呼吸する。
「カーキー」
トレーナーによる猟犬兼護衛犬としての訓練を受けている愛犬の名を呼ぶ。命令を待ち受けて尻尾を緊張させるカーキーに、首に掛けたタオルの臭いを嗅がせ、失くした帽子を探せと命じる。
鼻先を空に向け、地面に向け、カーキーは主の帽子を追うて早足で進み始める。
(俺の臭いのする物だから追跡可能かな)
期待をこめ、修は愛犬の傍らについて駆け出す。
相棒の導きに従い、星ヶ丘を緩やかに下りる。星ヶ丘教会や星ヶ丘ホースクラブも過ぎ、寝子島高校の脇から九夜山まで続く細い道の入り口に差し掛かった辺りで、
「この帽子、君のかニャ?」
先ほど見かけた金髪の少女に声を掛けられた。少女が手にしたバンダナつきの帽子に、修は安堵の息を零す。
「探していたんだ。ありがとう」
「どういたしましてだにゃー」
軽い口調で笑い、
青物 といき
は道端で拾った帽子を子犬連れの少年に返す。
(あんな帽子ひとつがそこまで大事なのかしらね)
しまった、と思う。帽子なんか拾わずに放置していれば、怜悧そうな少年が慌てて駆けずり回る様を傍観できたかもしれない。
そんな性質の悪い本音は欠片も洩らさず、人懐こい笑顔を少年に見せ、ひらひらと手を振る。九夜山山頂展望台まで延々と続く山道に挑むべく、準備運動を兼ねてその場で飛び跳ねる。
普段であれば陸上用のトラックを何周かして、千メートルや二千メートル程度を走ってフォームやタイムを見るけれど、
(それってやっぱこう、同じ所走ってるハムスターみたいな感じで)
母親譲りの青い瞳を、といきはどこか悪戯っぽく瞬かせ、弾む息の合間に短く笑う。
(ねこのといきちゃんはやっぱ自由に走りたい、)
「感じなんだニャ」
笑みが零れたついで、ひとりでおどけて呟いてみる。今日の午後からの陸上部の練習ではハムスターにならなくてはならないけれど、夏休みの朝イチのこの時間くらいは猫になっておきたい。
星ヶ丘から九夜山山頂までの道は、いつか走ってみたいと目論んでいた。夏休み終盤の今日の天気は快晴。風向きも気温も悪くない、絶好の猫日和。
星ヶ丘寮から寝子島高校までのいつもの登校時の道はウォームアップ代わりに軽く流して、自主錬本番はこれから。
高校の西側を通る細い道の前で、といきは入念なストレッチに取り掛かる。長距離専攻、夢は有名駅伝出場なといきにとって、毎日の練習は自分自身を作るもの。楽しい自主錬で足や体を傷めてしまう気は毛頭ない。
大きな伸びをすれば準備は完了。といきは張り切って駆け出す。
朝の山を駆け登る金髪の少女の背中を眠たげな黒の瞳で見送り、
日暮 ねむる
は寝癖のついた黒髪を掻いて大欠伸する。あの人も九夜山登山道のトレイルランなのか、とのんびり思いつつ、登山道入り口でストレッチに取り掛かる。体の調子は上々、
(むしろ絶好調かも)
ストレッチのついで、ボクシングの構えをとってみる。目前に幻影の敵を据え、鋭い拳を放つ。反射的に思い描いた敵は、先のデビュー戦の相手の姿をしていた。
(勝てこそしたけど)
スタミナ不足に苦労させられた。近く行われるボクシング部の大会で同じ轍を踏まないよう、予選が始まるまでの課題にスタミナの強化を据えている。
(どうにかしなくっちゃ)
Tシャツや短パンから伸びた手足に、夏の日差しが照りつける。じりじりと肌を焼かれる感覚に、空を駆け登る太陽を仰ぐ。
学校が始まると秘密の特訓は中々出来なくなる。朝早く目覚めた今日が、前々から挑戦してみたかった九夜山登山道トレイルラン日和。
(特訓で少しでも不安材料を減らさなくっちゃ)
背に負ったバックパックを揺すり上げる。中身はスポーツ用ゼリーに救急キット、準備に怠りはない。
(それじゃ、いっちょやりますか!)
ストレッチの間に見えなくなった金髪の少女の背中を追う格好で、ねむるは山道に踏み込む。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月24日
参加申し込みの期限
2014年10月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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