this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
走る体と心の温度
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
10
つぎへ >>
片手にサッカーボールを抱え、ポケットにスリングショットを捩じ込んで、
霧生 穂月
は夏休みも終わりがけの青空の下に飛び出す。
「うわ、暑っつ」
真昼の太陽を仰いで、眩しさと熱に思わず笑う。
この島に来てまだ数日、この島に何があるのかも、夏休みが終わるまでにもうちょっと知っておきたい。だって何だか夢でも見ているようなことばかり起こる島だ。
(素麺流れてきたり、変な力が使えるようになったり)
それでも、島に来てからの数日、なんだかんだと退屈せずに過ごせている。
塾にも書斎の本にも縛られずに過ごす、この島に来るまでは知らなかった、自由な夏休み。
(遅く家に帰ったら怒る人はできちゃったけど)
サッカーボールを両手で抱え、親元を離れて潜り込んだ親戚の家を振り返る。
(遅くならなきゃいいよね)
今日は、空き地を探しに行こう。できれば学校に近いところ。フットボールクラブが休みの日でも思いっきり練習ができるような、ついでにスリングショットを打っても怒られないような、そんな空き地。
ボールを頭に乗せて、軽く膝を曲げてヘディング。上手に何度もしてみたいのに、額でボールを打った途端、ボールは明後日の方向に飛んでいってしまった。
「わっ」
星ヶ丘の住宅地の道を転がり始めるボールを追って、駆け出す。道路に転がり出る前に両手で拾い上げ、片腕に抱えてそのまま歩道を力いっぱい走る。
青空目掛けてめいっぱいにジャンプする。いっぱい走れば、早く足腰鍛えられるかな。早く背が高くならないかな。
(早く早く、)
サッカーもスリングショットも上手くなりたいし、あの子にかっこいいところも見せたい。
駆け出した途端に滲む汗を腕で拭って、道の先、遠く見える海と海からもくもく湧き立つ入道雲を見遣る。この島にはサッカーが上手い兄ちゃん達がたくさんいる。練習を積まないと、
(絶対に勝てっこない)
憧れのポジション、FWにだってなれない。前居たところでは全然やらせてもらえなかったFWに、この島ではきっとなってやる。
真昼の太陽の激しい暑さのせいか、ほとんど人通りのない街路樹の歩道にボールを置く。金色の木洩れ日が揺れる道をフィールドに見立てて、ボールをドリブルしながらもう一度駆け出す。
「いち、に、さん、」
ボールを追いつつ、誰にも聞こえないような小声で十まで数える。
この島に来て手に入れた変な力、森羅万象ハイパーXデストロイヤーを使って、禍々しい黒いユニフォームを揃って着た敵の選手の幻を作り出す。
「出たな、……えーと、……暗黒物質ブラックタイガー!」
サッカーボールを片足で踏み、穂月は幻の敵に立ち向かう。襲い掛かる黒の軍団を華麗なボール捌きで抜き去り、目についた細い路地にドリブルのまま走りこむ。
この島は狭そうでいて実はすごく広い気がする。
(これから何があるんだろう、うまくやってけるかな)
見知らぬ路地をボールと一緒に駆け抜ける。向日葵が壁の向こうから顔を覗かせる家の角を曲がって、
(いや、決めたんだ)
不安を蹴り飛ばし、思うまま自由に道を幾つも変える。
(一人でも島で強くなるって)
汗に濡れて額に貼り付く髪の毛がうっとうしくて、濡れた子犬のように頭を左右に振る。髪と同じ栗色の瞳を真直ぐ前に上げて、穂月は思わず顔を綻ばせる。
車通りの少なそうな細い道を挟んだ目の前、端っこにぽつんと滑り台とベンチが置かれただけの、小さな小さな、名も無い公園。
フェンスに囲まれ草の生えた公園に、今は誰も居ない。
「ボクだけの秘密の場所、かな?」
堪えきれない笑みを零して、穂月はサッカーボールを蹴り上げる。フェンスを越えたボールを追って、穂月は嬉しさのあまり入り口に回ることも忘れてフェンスをよじ登る。
歓声を上げてフェンスから飛び降りて、
「……あ」
公園入り口の車止めの辺りに今しも公園に入ってこようとしている同い年くらいの子供の一団と目が合った。
子供っぽい歓声を聞かれてしまったとちょっと顔を赤らめる穂月に、子供達の先頭に立っていた色素の薄い茶色の髪と空色の眼をした少年が片手を振る。
「良かったらお前も一緒に遊ばないか」
サッカーボールを傍らに少し戸惑った様子を見せる穂月に手を振りながら、
双葉 由貴
は並んで立つ
樹弥・エヴァンズ
と
ロミー・クーパー
や後からついて来ている近所の友達を見る。
夏休みも終盤、今日も元気に遊ぶぞと張り切って外に飛び出し、近所の友達を捕まえて、その後この前の縁日で出会った樹弥とロミーとに運良く偶然出会えた。
遊ばないかと誘えば、このいい天気に家に居るのは勿体ないよなと襟足でまとめた金髪を揺らして樹弥が強気に笑い、亜麻色の髪に被ったうさ耳ベレー帽の耳を跳ねさせてロミーがこくこくと頷いて、皆で連れ立って公園に足を向けた。
サッカーボールをフェンス際に置いて、穂月が駆けて来る。
「いいぜ、遊ぼう」
「ボク、
ロミー・クーパー
って言うの」
明るく笑うサッカー少年にロミーはうさ耳を傾ける。
この前の縁日で樹弥と由貴に出会ったあの時は、ほんの少し話をしただけで名前が聞けなかった。何日かたって由貴と偶然出会って名前を聞くまで、樹弥とまた会えるまで、ずっと二人の名前が気になっていた。今回はそんなことのないように、ロミーは頑張って問う。
「名前、教えて欲しいな……?」
「
霧生 穂月
だよ」
よろしくと笑う穂月に、由貴や樹弥やその他の子供達も次々と名乗る。
「名前、ちゃんと覚えておくね」
穂月に、由貴と樹弥に、ロミーは微笑む。
「俺達もちょっと前に出会ったばかりなんだ」
縁日で出会った由貴とロミーとに再び出会えた偶然も、公園で穂月と出会えた偶然も、どちらも嬉しくて樹弥は笑う。
「じゃ、鬼ごっこだ!」
他の子供達と何をして遊ぶか話し合い、由貴が皆の意見を纏める。運動神経がないからいつも捕まってばかりいるけれど、今日は新しい友達の樹弥とロミーがいる。
(負けないぜ!)
かっこ悪い所はみせたくない、と由貴はこっそり意気込む。
(生き残る為に何か考えないと)
捕まらない方法って何だろう。無駄に体力を消耗しない方法って何だろう。
ぐるぐる考え始める由貴に代わり、ロミーが周囲に気を配る。
「んっと、鬼ごっこだから鬼を決めないと、だよね……?」
「だな」
英国人の父親からレディファースト精神を叩き込まれ、普段は強気なその癖、女子に強く出られない樹弥がこくり、素直に頷く。
(由貴には負けてられないな)
頷きながら、必死に戦法を考える由貴を見遣る。だって体育は苦手じゃないし。年上として速さで簡単に負けたら、
(悔しいじゃん)
負けず嫌いの男子二人が早くも火花を散らすその脇で、
「もし決めるならじゃんけん……かな?」
ロミーは眼鏡の奥の湖水色のたれ目をおっとりと瞬かせる。
「特に決める方法がなかったらボクが最初に鬼になるね」
「ああ、何なら俺が先に」
「ううん……十、数えるね」
気を使う樹弥にふうわりとした笑みを向けて後、鬼に立候補したロミーはゆっくりと数え始める。
蜘蛛の子を散らすように子供達が駆け出す中、
(あらかじめルートを考えて走れば、)
考えに集中して周りが見えなくなっている由貴の肩を、ロミーはつっつく。
「ゆき、スタートしちゃう、よ……?」
「え、あ、わあ!」
優しい鬼の忠告を聞き入れ、由貴は慌ててその場から逃げ出す。
走る由貴の背中をしばらく見つめて後、ロミーは数の続きを口に出してちゃんと数えきる。
「じゅー」
数えきると同時、短い雑草の生えた地面を蹴って思いっ切り走り出す。ベレー帽のうさ耳をぱたぱたと跳ねさせ、一番近い位置を走る由貴を追いかける。
(ボクは走るのは……多分早いほう、だと思うけど)
二人もきっと早いよね、と視線を巡らせる。ひとつ年上の樹弥の背中は由貴よりも遠い。見た感じ樹弥と同じ年くらいに見える穂月も遠い。サッカー少年らしい穂月はもしかするとこの場の誰よりも足が早かったりするのかな。
(追いつくかな、)
息を切らせて一生懸命走る由貴の背中に手を伸ばす。
(追いつけないかな……)
伸ばした指先が空を切る。
懸命に逃げながら肩越しにちらりとロミーを振り返り、由貴は汗塗れの頬で笑う。
(運動神経はなくても)
「いつも走り回ってるから体力はあるんだ!」
心底楽しげに言い放ち、草地を蹴る。夏草のにおいを胸に満たしてとにかく走る。転びそうになって、どうにか踏み止まろうとたたらを踏む。息を詰めて、汗塗れの手で夏の空気を掻く。
かっこ悪い所はみられたくない。でも、みられたとしてもあっさり諦めるなんて嫌だった。
もがいて足掻いて、それでもやっぱり駄目だった。
「うわ、わ」
「ゆき、あぶな、い……」
頭からつんのめって転びかける由貴の背中の服をロミーが掴む。引きとめ切れずに二人で草地に倒れこむ。
「由貴! ロミー!」
「おい、大丈夫か?」
地面に突っ伏す格好で倒れた二人の傍に穂月と樹弥が駆け寄る。
「だ、大丈夫、俺は平気……っ」
肩で荒い息をしつつ由貴が体を起こす。
樹弥に手を取って助け起こされ、由貴と同じに息を切らしながらロミーは楽しげに笑う。
「何とか捕まえられた、よ……」
鬼交代、と立ち上がりかけた由貴がふらふらと座り込む。心配そうに覗き込む穂月に、整わない呼吸のまま、平気、大丈夫、とどこまでも弱音は吐かず強情に言い張る。
「ちょ、ちょっと、待って……待って……」
由貴の隣で立ち上がろうとしたロミーが同じようにその場にへたりこむ。色白な頬を真っ赤に染めて、
「何だか……すごく、あつ、暑い……」
頬を伝う汗を掌で拭い、真っ赤な頬で空を見上げる。こんなに暑いのはまだ八月が終わってないからだろうか。
「ごめんね」
樹弥や穂月、周囲に集まる子供達に、ロミーは頭を下げる。
「もう少し、落ち着いてから……続き、やるね」
「ロミーは大人しそうに見えるけど、走るのは得意なんだな」
年上の余裕を見せて樹弥が二人の傍にしゃがみこむ。穂月は同い年だけれど、由貴もロミーも四年生、他の近所の子達も大体は五年生の自分よりも年下だ。
(気をつけておかないと)
楽しすぎて熱中しすぎて、具合を悪くしたらいけない。
年長者の義務とばかり、樹弥は二人を滑り台の影に休ませる。
「飲み物とか買ってきてあげるからな」
「俺はっ、」
「年上の言う事は聞いておくものじゃんか」
意地を張る由貴に軽い口調で言い含め、樹弥は近くの自販機へと走る。
樹弥お兄さんを待って、子供達は皆で滑り台の影に座り込む。
気紛れに吹く夏風に火照った頬を撫でられ、由貴は捕まった悔しさをようやく整ってきた息と一緒に吐き出す。それでもやっぱり悔しさはなくならないけれど、でも、胸の奥がほんの少し楽しい。
(ほんの少しだけな!)
油断すると皆で遊ぶ楽しさに綻びそうになる唇をムッと結び、由貴はまだ辛そうな赤い顔をしているロミーを覗く。
「大丈夫か」
何だか照れ臭くてぶっきらぼうに言ってしまったのに、ロミーは青い瞳を柔らかく細めて笑う。
「ん、へいき……ごめんね」
「遊んだ後は、ちゃんと休む! 休息は大事だってばぁちゃんが言ってた」
「ありがと」
こくり、素直に頷くロミーの傍ら、ペットボトルのスポーツ飲料を何本か手にして樹弥が戻ってくる。一本を何人かで分け合って、とりあえずは一休憩。
「……ん、次は、追いかけられる番」
顔色も呼吸も元に戻ったロミーが立ち上がる。
「逃げなきゃ、逃げなきゃ」
そうして呟きながら兎のようにぴょんぴょん跳ねたのを合図に、子供達は立ち上がる。各々手にしたペットボトルをベンチの横のゴミ箱にきちんと捨てる。
「それじゃ、数えるぞー」
次の鬼の由貴が十まで数える間、ロミーも樹弥も穂月も、皆めいめい好きな方向に逃げ出す。
(逃げる時も追いかける時も全力!)
由貴の声を背中に聞きながら、樹弥は公園の端まで全力疾走する。何も考えず、ただひたすら真っ直ぐ走るのは結構楽しかった。
(これなら鬼になっても全員捕まえられるかな?)
思わずくすり、悪戯っぽい笑みが零れる。
(とはいえ)
砂埃あげて立ち止まる。走ってきた勢いのまま振り向けば、数え終えた由貴がまずは一番近い場所にいる三年生男子に狙いを定めた所だった。歓声をあげて駆ける少年を追いかけ、次には滑り台の階段を駆け登るロミーを追いかける。滑り台を滑り降り、捕まりにくいだろうと判断してジグザグに走るロミーに手を伸ばす由貴に、
「鬼さんこちら!」
樹弥は手を叩いて呼びかける。
(紳士として女子と年下には優しくしないとな)
ロミーや他の年下の子達が鬼になった時は、手加減するわけではないけれど、容赦のない逃げ方をして誰かをずっと鬼でいさせることだけはせずにおこうと決めていた。
(譲り合いは大事じゃんか)
「由貴、こっちだ」
透き通った空色の瞳を勝気に笑ませ、樹弥は足を止める由貴に向けて片手を振る。他の子には負けてやってもいいけれど、由貴に負ける気はなかった。
(それはそれ、これはこれ)
挑発を受けて、由貴は遠目にもあからさまにムッとした表情をした。地団駄を踏むように片足で地面を蹴る。一直線に樹弥向けて駆けて来る。
鬼の狙いから外れて、ロミーは足を緩める。
(みきやおにーちゃん)
庇ってくれた樹弥を見る。樹弥に追いつこうと意地になって走る由貴を目で追う。
(みきやおにーちゃんは紳士さんな雰囲気、ゆきは見てて元気になる雰囲気)
樹弥と穂月が共同戦線を張り、挑発に乗りやすい由貴を交互に呼んで翻弄する。
(ほづきおにーちゃんも、元気になる雰囲気、かな……?)
一緒に仲良く遊んでくれる優しい友達を見ているうち、ロミーは自分の顔にふうわり笑みが浮かんでいることに気付いた。
(ほんわか、ほんわか)
夏の暑さとは違う、あたたかな熱を感じる胸を片手で撫でて思いを抱きしめる。
「負けないからな! 今も! 今度も!」
夏休みの青空に由貴が負けず嫌いな声を響かせて、子供達の鬼ごっこはまだまだ続く。
<< もどる
1
…
2
3
4
5
6
…
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
走る体と心の温度
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年09月24日
参加申し込みの期限
2014年10月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年10月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!