来訪　～宇宙にて～｜リアクション

来訪　～宇宙にて～

【舞台は再び宇宙へ】

　奈良橋博美は、鈍い痛みがする頭を抱えつつ起き上がった。
　どうやら、ずいぶんと寝ていたらしいことが分かる。
「って、あれ？」
　誰も居ない部屋、そして、周囲を取り巻く……白、白、白。
　真っ白い空間で、彼女は寝かされていた。
「……い、いったい？」
　戸惑う博美を置いて、機械が駆動するようなウィィィンという音が鳴り始める。
　これから何が起こるのか？
　そして、ここはどこなのか？
　博美は、混乱する頭を抱えながら、どうにかこの現象を終わらせようと、まずは観察から始めて見ることにした。

【初めてと、そうでない人と】

「宇宙船？　非現実的なのにやけにリアルな夢だなあ」
　操縦室？　で体を起こしながら、そんな風にぼやいたのは日暮ねむるである。
　うすらぼんやりと開けた目には、まるでSF映画の宇宙船に出てくるような部屋が飛び込んでくる。
　そして、同じように寝かされていたであろう人々が集まっているのも見える。
「お？　少しお寝坊さんだな」
　桜井ラッセルがそう言って、ねむるへの場所を空ける。
　そんなラッセルも来たときは……。
「はっ！？　……あれ、ここ夢で……二度目だよな！？　な、前俺らここに来たよな？　だよな。宇宙に二度目って誰かなんか伝えたいとか目的あんのかなー」
　と、混乱していたのだが、現在は落ち着いている。
「……人数はこれだけか？」
　ざっと、ねむるが居る面子――ラッセルと北原みゆき、そして小山内海を見回す。
「いや、もっと居たけど探索に行っているな。下に階層があったんだ」
　そして、ラッセルの言葉をみゆきが引き継ぐ。
「ここには、あとは仄ちゃんが……えっと双葉仄さんがいるのですぅ」
　そういって、ねむるに状況を説明していく。
　ちなみに、その仄は、宇宙空間が見える位置でなにやら観察中である。
「ふむ、宇宙からだと地球はこう見えるのか」
　とつぶやきつつ、携帯で写真を撮っている。
（後ほど、画像そのものは検索サイトで拾える画像に変わっていたが）
　ともかく、それぞれが確認して、ざっと『一四人』がこの場所に集められたようだ。
　そんな風に情報をまとめていく。
　把握されてないあと一人は博美なのだが、現状、彼女と会うのは難しい。
　そのようなわけで、探索組はここに居るのが一四人と認識しているのである。
　また、前回参加したものと今回初めての人との情報交換は、一階層と二階層探索組が別れる前に済ませているので、あとは探索するだけとなっていた。
「さて、俺も気になっているところがあるからそろそろ行くか」
　そう言ってラッセルも出発しようとする。
『どこにいくの？』
　ラッセルの方へ向けて海がスケッチブックに書いた字で問いかける。
「おう。今度は行けなかったとこいってみようってな。前になかったヒントがあるかもしんねーし、廃棄品？　の携帯のパスワードとかどっかにあるかもだし」
「では、こちらもそれに同行しよう」
　そう言って、ラッセルと仄は去って行った。
「私は、水槽のお部屋が気になるのですぅ」
『じゃあ、わたしといっしょだね』
　みゆきと海が行動を共にする。
「……遊戯室で一人遊ぶ？」
　そんなことを言いつつ、ねむるは遊戯室へと向かったのであった。

このページにイラストを設定する