依頼人はサンマさん｜リアクション

依頼人はサンマさん

●土曜：事件解決

　八神修に抱えられ強制的退場となった女性、女性の飼い猫と思われる黒猫は、ライブ会場の控室に連れてこられた。
　宮島メグのろっこんで真っ白になったので、事情を説明する前に、顔を洗い、スタッフの制服に着替えることに。
「どういうことか、事情を説明してくれますね？　元ももシロリーダーの早田　朱莉（はやた　しゅり）さん」
　芽守健作の言葉に、この人が元ももシロのリーダー！？　と驚く協力者達。
　ももシロを調査していた双葉仄から得た情報で、健作は、朱莉の身元を突き止めることができた。
　脱退後、彼女は故郷の寝子島に戻り、今は木天蓼大学の２年生だ。
　脱退理由は、成人間近の自分が妹キャラとして活動するのに限界を感じたから。
　それに関しては、マスコミやももシロメンバー達に絶対に言わないでほしいと念を押した。
「わかりました、お約束しましょう」

「……で、何故、このようなことに？」
　逆巻天野の問いに、朱莉は、少しずつ事情と、事の経緯を話し出した。
「私の膝に乗り、眠っているこの子は、飼い猫のカッツです。カッツは、魚が大好物でなんです。特に脂がのっているサンマが」
「俺、そういう理由で狙われていたのか～？」
　サンマさんにしてみれば、迷惑な理由である。
「朝と昼間は寝ているから良いんですが、夜行性なので、夕方と夜にサンマさんを食べようと狙っていたようで。それを止めようと追いかけたのですが、人混みに紛れるのが好きなので、止めることができなかったんです」
「事情はわかったけど、サンマさん、怖がっていたんだよ？　それ、わかってほしいな。ボクも猫を飼っているから、気持ちはわからなくもないけど」
　肩に乗り、サンマさんをじーっと見る子猫のにゃーくんを撫でながら、桜庭円がサンマさんの様子を伝える。
「ももシロの元リーダー、もとい、その飼い猫が犯人だったとは。それはともかく、鋭い視線を送ったのは何故だ？」
　御剣刀の質問に、それはカッツの視線です、と答えた。
「獲物を狙う時のカッツは、自然と視線が鋭くなるんです。そのせいで、近所のボス猫に。私以外の人は、家族でも、この子に触ろうとしません」
「視線の主は恋する乙女、じゃなくて猫だったとはねえ。うーんと、何かの本で見かけたけど『やんでれ』ってやつ？」
　そんな猫いるのかな？　と、カッツを見て言う神野マキナ。
「お恥ずかしい話ですが、私、サンマさんに憧れていたんです。マリンパラダイスで見かけた時、つい、熱い視線を……」
　最初に感じた熱い視線の正体は、彼女だった。人気者なサンマさんが、羨ましかったのだとか。
「サンマさん、怖かったのならフリフリロリータ服を着て、変装すれば良かったのではないですか！　あなたがかわいくなれば、このようなことは絶対に起きなかったはずです！　服なら私のものを差し上げますから！」
　久良木優菜の力説に、そういうことじゃねえだろう……と突っ込むサンマさん。
「近づかないでください……！　生臭いです……！」
「俺は生物じゃねえ～！」

「そういえば、この猫、目つきが良くありませんでしたわ」
　寝子島シーサイドタウン駅で朱莉に会ったゼシカ・ホーエンハイムは、カッツの目を思い出した。
「猫ですが、サンマさんを凝視するこの子は、道に迷った哀れな子です。おお神よ、迷える子羊に救いの手を！　アーメン」
　朱莉の前に跪き、十字を切ってカッツの改心を祈る。
「貴女にはこれを。道に迷った時は、この聖書をお読みなさい。神が、救いの手を差し伸べてくださいます」
「ありがとうございます……」
　ゼシカの優しさに触れ、涙を流す朱莉だった。飼い主の心、猫知らずで、カッツはぐっすり眠っている。
「あー、ひでえ目に遭った。結局、サンマさんの妄想だったってわけか。一件落着したようだから、俺、もう帰る。芽守、後で何か奢ってくれよな」
　そう言うと、ジニー・劉は帰った。

　こうして、お騒がせなサンマさん妄想事件は解決した。

●その後

　修がライブ騒動を事細かくサンマさんホームページに掲載したところ、更新するなり、アクセス数がグンと上がった。
　サンマさんの妄想によるお騒がせ事件は、寝子島住人にウケけようだ。
「サンマさん、ホムペにブログを付けたから。どんどん更新してくれ！　期待しているよ」
　ますます人気者になってしまうな、と笑う修だが、サンマさんは真面目に更新するだろうか。
　
　サンマさんだが、ライブ騒ぎの後も相変らずカッツに狙われ、噛みつかれている。
　哀坂子夜は、観察を続けている。
「感情を知るまでは……観察するから……」
　今度は、子夜の視線に怯えるサンマさんだった。
（こんなのは、探偵さん、引き受けてくれないだろうな～）
　これに関しては、自力で解決してもらいたい。

　桜崎巴は、サンマさん事件での調査の経験を活かし、自力で大浄神魂党の調査を続けることに。
「あたしが、絶対に何かをあばいてみせる！」

　サンマさんの受難は、事件解決後もまだ続く……かもしれない。

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あとがき

担当マスター：カターレ
ファンレターはマスターページから！

カターレです。
「依頼人はサンマさん」リアクションご拝読、ありがとうございます。
妄想という若干ギャグ寄りの結果でしたが、事件は無事、解決しました。

面白そうと協力してくれた方。
サンマさんを弄ったり、からかったりして楽しみながら調査してくださった方。
真剣に、真面目に推理し、解決に導いてくださった方。
そういった皆様の頑張りのおかげで、サンマさんの恐怖は取り除かれました。
……と言いたいところですが、サンマさん自身のトラブルはまだまだ続きそうです。

今回のリアクションで、サンマさんがどれだけプレイヤー、キャラクターの皆様に愛されているかを実感しました。
サンマさんは、皆様に弄られ、もとい、愛されてこそ活き活きとする公式ＮＰＣです。
今後も、サンマさんを可愛がってあげてください。皆様の愛が、サンマさんをより活発にさせることでしょう。

初めてのジャンルでしたが、参加してくださった皆様、ご拝読してくださった皆様に楽しんでいただけたら、とても嬉しいです。
今後も、様々なジャンルに取り組んでいきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

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