【星幽塔】第一階層　ウィッチ・ゴーズ・サジタリオ｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ウィッチ・ゴーズ・サジタリオ

　パレードは城下町の市民たちの声援を受け、華やかかつ盛大に開催された。
「すっごーい！！　リリエル、人がいっぱいだよー！！」
　メリィは笑顔で市民の声に応える。
「やっほーー！！　メリィだよー！！」
「私も一緒にみんなへ手を振ってアピールをがんばリリエルです！」
　一般市民からも彼女たちに人気は高いようだ。
　この光景に、リリエルはメリィの手を自然とそっと握っていた。
「メリィちゃん、こうしてみなさんに喜んでもらえると頑張って戦ったかいがありましたね！」
「いっぱい頑張ったよねえ、難しいことはよくわかんなかったけど……」
　メリィがリリエルの手を握り返す。
「もう、メリィちゃんたら……」
　２人は互いの顔を見合わせて微笑む。
「また何かトラブルがあってもメリィちゃんと一緒ならきっと大丈夫です！　街の平和は私たちが守ります！」
「そうだよ！　リリエルがいれば、なんだって出来るだから！　強い敵も怖い敵も、みんなぶっとばしちゃうから！」
「あ、でもお店の手伝いもがんばリリエルですね！　パレードが終わったら仕込みもやっちゃわないとです！」
「あたしも手伝う！」
　仲良し同士は、騎士になっても変わらずに協力し合う事を確かめ合った。
　新田亮は気恥ずかしさと緊張でガチガチになりつつも市街を馬車で練り回る。
「パレードの時は一応、民衆に手ぐらい振っておくか」
　彼の硬派な印象が、一部の民衆の心を鷲掴みにしたとか。
　対照的なのは八神。洗練された所作はサジタリオの女性たちから黄色い声援を上げさせる。
「ありがとう。ねこよろずで会えるから是非きてほしい」
　ちゃっかり店の宣伝を入れる商人魂は健在だ。
（この後の祝賀パーティで、名士や有力貴族へ挨拶をしよう。何か起きた時のために、こういう事を疎かにしてはいけないのさ）
　八神は此処でも策士の才を発揮していた。
　志波武道は率先して市民を喜ばせようと、刹弦の扇【細雪】を広げ、粉雪を降らせながら華麗に舞う。
「楽しいことはイイコトダ☆　こっからは俺の得意分野だゼィ！」
　日光を浴びて輝く雪の結晶の中で舞う志波は非常に幻想的で、市民たちは拍手喝采で彼を迎え入れる。
「ミーナサーン！　これは俺からのささやかな演出だＹＯ！」
　雪の結晶が煌めくたびに、やんややんやと声が上がる。
「踊りなら私も……」
　志波の横で妖艶な舞踏を披露し始めるティオレが加わり、パレードがより一層華やかになる。
　ぺルラも鮫ノ口小隊も声援に応えて手を振り、獅子目が今一度、２人の舞踏に合わせて高く澄んだ歌声を披露する。
　こうして戦勝記念祭は、後々も万人に語り継がれるほどの大盛況となったのだった。