【星幽塔】第一階層　ウィッチ・ゴーズ・サジタリオ｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ウィッチ・ゴーズ・サジタリオ

　式典の後は市街パレードが待っている。
　その間に、数名がラピスと会話を行った。
　志波もそのひとり。
「ブドー、顔色が悪いぞ？　大丈夫か？　あとでギッチョン料理を奢るぞ？」
「ダイジョブですよ、パレード始まる頃には戻すんで……。あとギッチョン料理ってめっちゃ気になるな……」
「5000年前から存在するサジタリオの伝統料理じゃ。一口食べればあまりの美味さにブドーも笑顔になれること間違いないぞ？」
「そんなに美味いのか……！？　とはいえ、宣戦布告、かぁ……。騎士らしいといえば騎士らしい、のか？」
　思わず深い溜息が出てしまう志波。
　その視線の先には、フランチェスカの姿。
　まだ少し動揺が残っているようだ。
　……まさか5000年前の伝説上の姫騎士から求婚されるなんて、誰も予想だにしないだろう。
「フランチェスカさん、こういう時こそ、笑顔笑顔！」
　志波は自分に言い聞かせるようにフランチェスカを励ます。
「つらい状況で笑うって、難しい事なんですよね。だからこそ、大事なことだと思ってもらえたら嬉しいなーって」
「そういうことだ、フラン嬢」
　心配して傍に控えていた獅子目も強く首肯した。
　その横で、無言のまま新田も力強く頷く。
「おふたりとも、ありがとうございます。そうですね、折角の祭りですし、笑いましょう！」
「イェーイ！　パレードも笑って楽しもうぜぃ！」
「俺達が笑って、市民を勇気付けよう」
　志波と獅子目の言葉に、フランチェスカは笑顔で返した。
　そこへ鮫ノ口が小隊を率いてフランチェスカの元へやってきた。
「フランチェスカ様、先日清掃した貴女の私室ですが、あれからまだ綺麗な状態を保てていますか？」
　この質問にフランチェスカは目を泳がせ始める。
「あー、ええっと、私、パレードの準備がありますので、これで失礼しますね！」
　すたたたーっと小走りでその場から逃走するフランチェスカ。
　その姿に、鮫ノ口小隊は思い知らされる。
「俺達は、正規騎士団よりも、サジタリオ城お抱えの専属清掃員に就職すべきなのかもしれないな……」
　機会があれば許可を得てまた清掃をしなければ、と鮫ノ口小隊は意気込む姿に、志波と獅子目と新田、そしてラピスは苦笑いするほかなかった。