【星幽塔】第一階層　ウィッチ・ゴーズ・サジタリオ｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ウィッチ・ゴーズ・サジタリオ

　まず、式典はフランチェスカの労いの言葉が叙勲受章者たちへ贈られる。
　儀式用なのか、彼女の口調が少々古臭いものになる。
「先日の月影塔戦役での働き、本当に大儀でありました。このサジタリオがこうして存続できたのも、戦いに参加した義勇兵たち、そして厳しい訓練に耐え己を磨き上げたすべての兵士たちの活躍の賜物です。全ての参戦者に褒賞を送る予定ではありますが、その中でも特に働いてくださった義勇兵たちへ、本日はサジタリオ領主より勲章を授与するとともに騎士号を叙任する運びと相成りました。残念ですが、辞退をされた方もいらっしゃいましたが、ここにいる10名の英雄たちはその代表者として、私から大いなる祝福を授けましょう」
　観衆と来賓の盛大な拍手が湧き起こる。
　そしていよいよ、叙勲と叙任が行われる。
　フランチェスカはひとりひとり、名前を読み上げる。
「鮫ノ口礼二郎、こちらへ」
「はっ！」
　緊張しまくりの鮫ノ口は、ガチガチのままフランチェスカの前へ。
　そして事前に家臣から教えられた通り、彼女の目の前で跪いた。
　すると、煌びやかな儀礼用の大弓を鮫ノ口の左肩に当てて宣言する。
「これよりサジタリオ領主フランチェスカ・ダ・サジタリオの命により、汝に功勲の証と騎士の称号を授けます」
「ありがたき、幸せ！」
「あなたは兵たちの信頼が厚いと聞いています。今後も彼らがより良く働けるように、貴方の直轄に入るように命じておきます。正式に『鮫ノ口小隊』の設立を許可します」
「はっ、お言葉、痛み入ります」
　参列席で見守る鮫ノ口隊の兵士たちも歓喜の声を上げた。
「これからも隊長の下でガンガン働かせてください！」
「俺達は地獄の底までお供致します！」
　彼らの熱い声援に鮫ノ口はちょっぴり恥ずかしく思いながらも、感謝の気持ちが胸に溢れてきていた。
　家臣から勲章を装着され、観衆に手を振りながら彼は席へ戻っていった。