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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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参道に出揃う露店群から少しだけ離れた一本の桜の下にテーブルと椅子を何セットか並べる。
「っていうか、ナオ暇なの?」
襷掛けした着物姿で並べた卓を拭きながら、
柏村 文也
は甥の
津島 直治
を見遣った。
「手伝いなんてしなくても俺一人で大丈夫だよ」
長机にテーブルクロスを広げつつ、直治は小さく唇を尖らせる。叔父が寝子島神社の桜まつりで店を出すというから手伝うことにしたのに、
(大きなお世話です……)
「ていうか、叔父さんそんなこと言ってサボるでしょ」
旧市街に店を構える古書喫茶『思ひ出』の、今日は特別出張所。店から持ち出した様々な本を手際よくテーブルに並べ、直治は納得しかねるような表情を見せる叔父をちらりと睨む。
「サボったりしないって。俺そんなに信用ないのか」
「昨日だって俺に店番任せっ放しだった」
的確な指摘に、文也はそっと視線を逸らす。
「うん、桜がとても美しい」
白々しく言い、テーブルに置いたカセットコンロで湯を沸かし始める。手動のコーヒーミルで豆を挽き、こればかりは直治には真似の出来ない堂に入った動きでハンドドリップの珈琲を淹れる。
冷や汗でもかいていそうな叔父の様子を横目に、直治はひとつひとつのテーブルにも何冊かの本を置いた。昨日店番をしながら書いた、飲み物と軽食のメニューも置けば、大体の設営は完了。
「あ、あとこれ」
淹れたての珈琲を片手に、叔父が『中学生以下飲食無料』と書いた小さな札を各テーブルに置いて回る。
「休憩スペースみたいなものだしね」
桜の下の出張所を見渡して満足げに頷いた叔父から熱い珈琲の入ったカップを手渡され、直治は瞬く。
「あとはお客が来るのを待つだけだよ」
したり顔で言い、叔父は手近なテーブルに自分の珈琲を置いてのんびりと本を手に取った。
「それだと客か店員か分からないだろ」
「大丈夫だよ」
読み始めた本から眼も上げずにお気楽に手をひらりと振る叔父に小さく唇を尖らせ、直治は文也の淹れてくれた珈琲をひとくち啜った。珈琲の甘い香りで口中をいっぱいにしながら桜を仰ぐ。寝子島神社の境内中に咲き誇る桜の下、参道沿いに並ぶ様々な露店を眺める。
(それにしても)
定番のたこ焼きやから揚げ、お好み焼きにかき氷、焼き鳥や綿あめに始まり、駄菓子やこんぺいとう、果ては見慣れぬ異国風な占いの天幕まで。
(いろんな屋台があるんですね)
興味津々に見回し、レジ代わりの電卓やポットを置いたテーブルの脇に椅子を置く。ここで叔父の様子を見張りながら店番をしていようと決めたのに、
「お前、そんなに気になるなら行ってこいよ」
こちらを見もせずに本に没頭していたはずの叔父にそう促されてしまった。
「べ、別に気になってるわけじゃ……」
「ここにいたってすることなくて暇なだけだよ?」
念を押されるように言われ、直治は今のところ誰一人としてお客の来そうにないスペースを見遣る。
「ほら、行った行った」
「……叔父さんがどうしてもと言うなら」
「うん、どうしてもどうしても」
投げやりに言い放たれてしまっては、大人しく追い出されるしかない。残りの珈琲を飲み干し、直治はちょっと不貞腐れた風を装って、内心はわくわくと立ち上がった。
「カップはそこに置いておくといい。あとでまとめて片付けるから」
「……行ってくる。ありがとう」
「ん、行ってこい」
律儀に礼を言って席を立つ甥っ子を見遣り、文也はちらりと微笑んだ。桜吹雪の境内を歩き始める甥の背中は、寝子島に来た時よりも少しは逞しく、
(なってる……かな?)
春風が樹上の桜も地面の桜も舞い上がらせて過ぎていく。桜吹雪の風を何気なく追いかけて、
「っと」
参道の入口に立つ少女のスカートが際どく翻りかけるのが目に入りかけた。素知らぬ顔で目を逸らし、手元の本に視線を落とす。一度文章を追ってしまえば、春風に煽られて大きくめくれ上がるスカートも、そんなことには一向に構わず手にしたアイスクリームを一心に食べ続ける少女のことも、古書喫茶『思ひ出』の店主は気にしない。
「……ん」
ふわりと持ち上がるスカートの端よりも、風にさらわれそうになったつばの広い帽子を細い指先で抑え、
巫部 紫苑
は唇の端についた桜風味のジェラートを舐めとった。
苺色した瞳が見渡すのは、翻ったスカートに目を奪われた境内をそぞろ歩く通行人や参道の左右に屋台を構える男たちでもなく、神社の入口から拝殿まで続く様々な屋台。それも射的や金魚すくいなどではなく、綿菓子たこ焼きフランク、その他様々な食べ物の屋台。
「今日はお祭りだったのですね……」
春風に栗色の髪を揺らし、紫苑は帽子の下の瞳をきらきらと輝かせて笑みをこぼした。
「お散歩に出てみて正解でしたわ」
そうして、賑やかな音とおいしそうな匂いに誘われるように寝子島神社への石段を登ってみて正解だった。
「どんな屋台が出てるのでしょう?」
ジャンボ焼き鳥の屋台に軽い足取りで近づき、小鳥がさえずるような声で屋台の前に貼り出されたメニューを右から左まで全部注文する。モモにキモにねぎまにカワ、砂ずりぼんじりジャンボフランク、
「あ、お酒は呑めませんのでラムネをくださいな」
どて焼きから揚げ、手羽先餃子。どこかに他の友達がいるのかなと店員が差し出した山盛りの食べ物を、紫苑はその場でペロリと平らげた。
「ご馳走さまでした。やっぱり屋台の食べ物は良いものですわね」
小食なお嬢様然とした少女の胃袋に全メニューが収まる様に目を白黒させる店員に丁寧にお辞儀して、底なし胃袋の持ち主な紫苑は無垢な瞳を他の屋台に向ける。
「さて、次の屋台は……っと」
焼きそば屋のオムそばと目玉焼き入りとお好み焼きをペロリ、口直しのかき氷のいちごとメロンとコーラとブルーハワイをペロリ、綿あめ一袋はほんの一瞬。ロックオンした屋台のメニューをひとつひとつ確実に撃破しつつ、そうは見えない大食い少女は一つ一つの屋台の味をしっかりと味わって進む。
チョコバナナと林檎飴といちご飴をぱくぱくと食べ、隣で意気軒高に待ち受けるクレープ屋の店員にニコリと愛想よく笑いかけたところで、
「……ん?」
屋台の屋根の上に雪のように降りかかる数え切れない薄紅の花びらに気が付いた。
「あ、お花見のお祭だったのですか……」
うららかな春の青空にひらひらと舞う桜を眺め、口元に食べ物を運ぶ手がしばらく止まる。
「改めて見ると、やっぱり綺麗ですね……」
ふわり、優しいたれ目をとろけるように細めて微笑む少女に、食べ歩きはこれで終了か、と張り切ってクレープを焼いていたクレープ屋ががっくりと肩を落とすも、
「そうです」
紫苑はおっとりと両手を合わせ、
「この桜を眺めながら食べるとまた違った味わいを齧られそうです」
終わらぬ食べ歩き宣言をする。売上倍増の気配を感じ取った周囲の屋台から一斉に歓声が沸き起こった。
「屋台巡りが終わったら今度は座って食べましょう……全部のメニューを」
思いついた名案に夢中な紫苑は、けれど大食いの女神様降臨とばかりに沸く屋台の人々の声が自分に向けられているとは全く気づいていない。そんな些末事には一切構わず、スカートを翻して再びの食べ歩きに戻る。
まずは全ての屋台を巡ろう。それが終わったら、全屋台の全メニューを両手いっぱいに買い溜め、どこか適当な休憩所で桜を見ながらのんびりと食事を再開しよう。
「桜を見ながら美味しいものを食べる……ふふ、とても贅沢ですね」
異次元の胃袋を持つ大食い女神様の食べ歩き行脚はまだまだ続きそうだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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