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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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春の朝の光の欠片が降るように、ひらひらと桜の花びらが躍る。仰げば、頭上を覆う満開の桜の向こう、空の薄青が透けて見えた。
「いいお天気ね」
双子の妹の柔らかな声を耳にして、
クレメル・トロムリッツ
は薄紅と湖水、左右色の違う瞳を瞬かせる。見遣れば、妹の
クラーラ・トロムリッツ
が、ブラチナブロンドの長い髪を桜まじりの春風にそよがせて微笑んでいた。
「ん、……ああ、晴れたな」
己の瞳の色とは反対、右が薄紅、左が湖水の色を持つ妹の瞳を真っすぐに見、クレメルは妹と同じ顔で微笑みを返す。
「来て良かった」
「……そうだね」
寝子島神社の一角を借り受けて出店する占いの店のための天幕を張ろうとする妹の手を手伝いながら、クレメルは数日前の妹の言葉を思い出していた。
――ねぇ、クレメル
お客さんに聞いたのだけれど、という妹の前置きに本当は内心とても警戒しつつ、クレメルは優しく先を促す。
――今度、寝子島で桜まつりがあるんだって
――桜まつり……?
最近行けるようになった、星幽塔とはまた別の世界の名をクラーラの口から聞くとは思ってもいなかった。繊細で優しすぎる妹は、過去の出来事もあって己以外の人の前で話すことをひどく怯える。けれど元の世界から星幽塔に迷い込んで後、その傾向は少し和らいできてはいた。
いい傾向なのかもしれない、と思う。
それでも本当は、妹を傷付けるかもしれない人間がたくさん来るような場所に彼女を連れて行きたくはなかった。己自身も、行きたくはなかった。
――うん……桜って、とっても綺麗なんでしょう?
――ふーん、クラーラ、行きたいのかい?
興味なさそうに応じてみても、クラーラは珍しく引かなかった。
――わたし、見てみたいわ……だめ?
桜まつりに来た人を占ってあげたい、と妹は言う。優しいばかりに己の想いを押し込める妹が口にした望みは、出来得る限り叶えてやりたかった。
――喜んで、くれるかしら……?
聞けば、その『桜まつり』には様々な出店もあるらしい。妹はそこに混ざって、星幽塔の第一階層で開いている占いの館『Zwei Stern』のような占いの店をやりたいのだろう。
――ああ、きっとね
妹の言葉に屈託のない笑顔を見せつつ、クレメルは思案する。
(なら、桜仕様のアクセサリーをたくさん編んで行こう)
そうして、人間相手に荒稼ぎをしてやろう。
「クレメル」
張り終えた天幕の内に入ろうとしていたクラーラに呼ばれ、クレメルは天幕の前のテーブルにハンドメイドのアクセサリーを並べる手を止める。
「どうかしたかい?」
「桜、綺麗ね」
双子の兄妹は並んで世界を見渡す。星幽塔でも元の世界でも見たことのない緋色を基調とした神殿が参道の奥に見える景色も、その景色を華やかに彩る見たことのない薄紅の花をたわわに咲かせる数え切れぬほどの花樹も、
「……そうだね、綺麗だ」
寝癖のついた黒髪に、ふわりと桜の花びらが落ちる。
髪についた花びらには気づかず、
遠野 まほろ
はふわぁ、と小さなあくびをした。
(春眠暁を……っていっても)
のんびりと白い石畳の参道を歩きながら、小さく笑う。
(私はいつも眠い気がする……)
それでも、春は暖かくて好きだった。桜だってこんなにたくさん咲く。桜が咲けば、寝子島神社で桜まつりだって開催される。
鳥居をくぐってすぐのところにある狛猫の脇の露店で買った金平糖を齧りながら、参道の左右を埋めるいろんな露店にいちいち目を取られながら、うっかり誰かにぶつかりそうになって謝りながら、まほろは桜まつりを楽しむ。
(……お小遣いたりるかな……)
レースを幾重にも重ねたような天幕の傍を一度通り過ぎてから、まほろは足を止めた。首から下げた小さながまぐち財布を握りしめて振り返る。
寝子島神社の桜まつりの中、焼きトウモロコシや串焼きやお面に綿菓子、見慣れた露店の並びにあって、そこだけまるで異国のような不思議な雰囲気の天幕の前に立つ双子の姿に、まほろは目を丸くした。
小学生一年生くらいに見える幼い兄妹を見遣る。お揃いの白いマントを羽織ったふたりは、まほろに向け、ふわりと小さな笑みを浮かべてくれた。
「こんにちは、……まだおはよう、かな」
「あ、……うん。こんにちは」
人懐っこいけれどどこか酷薄にも見えるような笑みを湛え、兄らしい少年が凛と声を響かせる。
「占いの館『Zwei Stern』の特別出店だよ。タロット占いはどうかな、お姉さん」
桜をモチーフにした可愛いアクセサリーを並べながら、白金の髪の少年が手慣れた風に声を掛けてくる。
(『Zwei Stern』……)
その名は、時折訪れる星幽塔の第一階層の城下町で聞いたことがあるような、ないような。確かよく当たるという噂と共に、もうひとつ、
(……もうひとつ、……なんだっけ……?)
妹らしい少女が緩く波打つ長い髪を桜吹雪の風になびかせ、人見知りをするように天幕の奥へと引っ込んだ。占いをしてくれるのは彼女の方なのだろうか。
「……占いかぁ」
「どうかな? 占いの後でなら、アクセサリーも安くするよ」
ひらひらと手招きする少年に誘われるように、まほろは天幕を潜った。
春陽のうららかな眩しさとは一転、天幕の内部はランプの揺らめく灯だけが頼りな空間。揺らめき立ち昇る煙の甘い香りに黒い睫毛を瞬かせ、まほろは薄闇に立ち尽くす。
「こんにちは、わたしはクラーラ……」
小さな卓の奥に掛けた小さな少女が静かに微笑む。よろしく、と挨拶されるがまま、まほろは卓の前の小さな木製の椅子に掛けた。
「お姉さんは、何に悩んでいるの……?」
涼やかで優しい、眠気をもたらすほどに穏やかな声に誘われ、まほろはふわりと唇を笑ませた。
「新学期での事、占ってもらえるかな……?」
四月から、新しい学年が始まる。二年生になれば、後輩だってできる。
(頑張らないと)
まほろの顔を見上げ、占い師の少女は優しく頷いた。テーブルに重ねて置いていたタロットを小さな手に取り、まほろに差し出す。魔法のアイテムじみたカードに、まほろは緊張気味に顎を引く。
「このカードを混ぜて……そうして、お姉さんの悩みを、カードに語りかけるの……」
千里眼を持つ魔法使いのように、静謐な雰囲気を持つ少女はそっと言葉を紡いだ。
「お疲れ様、お姉さん」
天幕を潜って出てきたひとりめのお客を呼び止める。
「お会計は二千円だよ」
眠たげな顔した黒髪の少女は、夢を見たあとのように瞬いた。こくりと頷き、首から下げているのとは別の、背負った鞄から出した財布からお札を取り出す。
「占いは良い結果だったみたいだね」
占いのお代を受け取り、クレメルは愛想の良い笑みを振りまく。
「もちろん、信じる信じないはお姉さんの自由だよ」
占いなんてそんなものさ、と言いつつ、天幕の前のテーブルに並べた桜仕様の装飾品を指し示す。
「というわけで、こっちも買っていかない? 占いの館『Zwei Stern』の人気開運アクセの桜まつり限定バージョン。身に着けてると良い事あるかもよ」
クレメルの流れるような営業トークを受けて、人の好さそうな少女は興味深げな視線をテーブルに向けた。
「もちろんこっちも、信じるも信じないもお姉さんの自由さ」
「可愛い」
まほろのお世辞ではない心底からの言葉に、クレメルは左右色の違う瞳を細める。
「どうかな?」
「……何がいいかな」
クレメルに勧められるまま、まほろは祖父へのネクタイピンと祖母への髪留め、それから従兄へのストラップ、合計三点のお買い上げ。お小遣いは使い切ってしまったけれど、占いの結果も嬉しかったし、桜のアクセサリーはどれも可愛い。
(うん、まあ、いいよね)
それに、見上げた桜も本当に綺麗。
(花びら持って帰って栞にしよう……)
おっとりと頷き、満足げな背中を見せて帰路を辿り始める上客の背に、占いを求めてきた客に高価なアクセサリーを売りつけると城下町界隈では有名な少年はひらりと手を振る。
「お姉さんに幸運がありますように」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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