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【星幽塔】第五階層 福音の王国と揺れる天秤
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【裏と表】
「おっ。ご苦労、クルセイダー! 交代かね?」
「……ああ、そうだよ。クルセイダー」
甲冑を纏い、すっぽりと兜をかぶれば、
日暮 ねむる
もいっぱしの聖騎士だ。見張りの交代を申し出ると、男は用たしをずっと我慢していたとか何とかつぶやきながら、足早に立ち去っていった。
法王庁の最上階にある部屋はひとつのみで、先ほどは礼拝堂で演説を行っていたあの男、法王の執務室であるらしい。
入り口の扉には、用心深いことに鍵が二つも付いている。しかし、盗人の光を宿す
恵御納 夏朝
と
御巫 時子
がうなずき合い、
「じゃ、僕がこっちの鍵を」
「私が、こちらを開けますね……」
かちゃ、かちゃり。それぞれロックピックを器用に扱い、あっという間に解錠してしまった。
屋敷野 梢
が剣を構えつつ、慎重に扉を開く。
「……これは、何とも。趣味の悪い部屋ですねー」
部屋には誰もおらず、彼らは扉を閉めて鍵をかけると、辺りを見回す。広い部屋だ。
室内は、法王庁の外観とは少々異なるベクトルで光り輝いている……ぎらぎらとまぶしい、黄金によって。黄金のシャンデリアに、黄金の燭台に、壁や柱のレリーフも黄金で、明るい日差しを取り込む窓枠までもが黄金色にきらめいている。中には煌びやかな宝石が、数えきれないほどにあしらわれている物もある。
「ずいぶんと儲けてるみたいだね、法王様は。それに……」
兜を脱いだねむるが呆れたように言いながら、聖水酒ではなくワインが注がれた飲みさしの黄金のカップを取り上げ、眉をひそめた。
黄金色の何かしらの他にも、室内に物は多い。部屋の隅の丸テーブルに積まれた雑多な品々は、どうやら国民からの贈り物であるらしい。街でのやり取りや礼拝堂での姿を見る限り、少なくとも表向き、法王は慕われているようだ。
夏朝は、壁際の書棚から一冊の黒いノートを引き出すと、ぱらりとめくってみた。
「これは……帳簿みたい。聖水酒の取引についての」
「どれどれー?」
横から覗き込んだ梢とともに、ぱらり、ぱらりとページをめくる。この国へたどり着いてから、夏朝が幾つか買い物をし、法王国の通貨を目にしていたことが幸いした。目を通せば、記されている数字の羅列の意味を、大まかに読み取ることができた。
「すごい額……それに国中、聖水酒の売り上げが全部、法王庁に集まるみたい」
「それはそれは、儲かるでしょうねー。あれだけ飲まれてるんですし。うらやましいことですねーまったく!」
憮然として言った梢だが、残念ながらそれは、彼らの求めるような情報ではない。いくら法王がそのどぎつい商売っ気を国民にひた隠し、この部屋で贅沢三昧に浸っているのだとしても、あくまでそれは彼の手腕というものだ。気に入らずとも、星幽塔を旅する冒険者があえて口を出すような案件ではないだろう。
かちゃり、と。時子がロックピックを差し込み、盗人の光で開いた古い金庫の中に見つけたそんなものこそが、つまり、彼らの探し出すべきものだと言えた。
「……皆さん……これを、見てください……」
時子が掲げたのは、今にも崩れ落ちそうなほどに古めかしい、黄ばみがかった数枚の資料だった。記されている日付はインクが滲んではっきりとは読み取れないものの、少なくともこの国の暦で数えて、100年以上も昔のものであるらしい。
覗き込んだねむるが、文字の羅列からどうにか読み取れる部分を読み上げた。
「……『実験004。依然、被験者は明確に双極的な躁鬱状態を繰り返し、安定せず。散発的に嘔吐し、全身に湿疹が……』『実験028。激しい痙攣。極度の躁状態。皮膚のただれ。自傷傾向あり。過剰な代謝能力は人体に定着せず、肉体と精神を歪めてしまう。濃度を薄めるしか……』『実験075。濃度を百分の一に希釈。安定。若干の躁傾向は残るも、攻撃的性向を極度に低下させることに成功。また健常な日常生活が可能なレベルで思考能力を低下し、懐疑心を抑制することに成功。(追記)研究員から募集した呼称案の集計結果が出た。賛成多数で"聖水酒"と決定。悪くない、実に笑えるネーミング』……、誰か来る!」
がちゃ、がちゃりと、扉へ乱暴に鍵を差し込む音が聞こえたのは、その時だった。
部下らしい気弱そうな男を伴い、大股に部屋へ入ってきたのは、他ならぬ法王その人だ。
「醸造所に、侵入者だと!!」
大きな柱、物が山積みの机の下、それぞれ物陰に隠れ、息を潜めてその言動に注視する。怒りにかられたような法王は、ねむるの脱いだ聖騎士の兜が放置されたままであることにも気づかず、豪奢な椅子へどっかと腰を沈めた。
「一体何者だ、そいつは? しかと捕らえたのだろうな?」
「そ、それが、逃げられたと……いっいえ、しかし! 報告によれば、身なりは旅人のようで、我が国の者たちではないと……」
「……まさか」
驚き、苦々しげに。法王の口にした名は、少なからず冒険者たちへと衝撃を与えたことだろう。
「まさか、ナイト・オブ・リブラス……あやつ、裏切ったのではあるまいな……!? 旅人とは、あやつが招き入れた者たちではないのか?」
(……! あの聖騎士団長が? 裏切った……? ということは……)
息を呑んだ夏朝の脳裏に、いかめしい甲冑姿の聖騎士、天秤座のアステリズムの姿が浮かぶ。口振りからは確かに、自分たちを信頼して招き入れ、スカルドラゴンの討伐という大役を頼んだように見えた……が、それも兜の上からだ。語る表情はおろか、年齢も、性別すら聖騎士は明かさなかった。その真意など、どうして彼らに図れるだろう。見抜くことができるだろう。
「聖竜が戻らねば、聖水酒は作れぬ。このままでは……このまま聖水酒が尽きれば、いずれ国民は、抑え込まれた攻撃性や負の感情を取り戻すぞ。分かっているのか? この恐るべき事態が! 忌むべき暴力が解放され、やがて奴らは、神聖なる我らが法王庁へと牙を剥くのだ……!!」
「そして聖水酒の生み出す富もまた、失われるというわけで。あっ、いっいいえ! 何でもありま……」
「黙りたまえ!! 我らが!! 国を安定させ、守り抜いてきたのだ!! それを、それを…………まさか。あやつ、ナイト・オブ・リブラス……あやつは」
法王ははっとしたように、口元を怒りに震える手で覆い、ぽつりとつぶやくように言う。
「聖竜を、このまま殺すつもりではあるまいな……? 元に戻す手立てを持っているというから、あの者らを招き入れる許可を出したというのに……! あやつは聖竜を殺し、法王庁が守り抜いてきた我が国の素晴らしき管理システムを破壊し、白日の下へと晒し……滅びへと導こうと……?」
「そ、そんな! 考えられませぬ。あれはリブラスの名を背負う、最も敬虔なクルセイダーですぞ? それに、天秤座を抱くアステリズムですぞ」
「ああ、うむ。うむ。そうだ……ヤツの家柄は、代々その役を担ってきた。我が国の厳格なる法と秩序を守ることが、ヤツの使命だ。ありえぬことだ…………しかし。しかしだ。確かにこのところのヤツは、揺れているように見えるのだ。まさしく、天秤のごとくに……。ああ、なぜこんなことに? 魔物などどこから入り込んだというのだ、一体なぜ……」
『…………キヒヒッ!』
ノイズ混じり。脈絡もなく、真後ろから聞こえた、その声。時子は思わず、飛び跳ねそうになってしまった。
ぎぎ、と軋むように首を後ろへ向け、振り返る。
『あの聖騎士団長サン、ホントウに信用してイイのかしらネェ? キヒッ、キヒヒヒ……』
膝を抱えて座り込む、少女のような黒い人影が、そこには佇んでいた。
直後。黒影は口を開き、
『キヒッ…………キィィィィィィイイイイイイアアアアアア!!!!』
びりびりと全て震わせるようなけたたましい叫び声を上げ、法王は、
「なっ、何だ!? 何の声……おっ、お前たちは!?」
たまらず飛び出した彼らを目の当りにし、目を剥いた。
「っ、逃げなきゃ! みんな……!」
夏朝が机の上のインク瓶を投げつけ、法王らの動きを止める。あの叫びは建物中に響き渡ったのだろう、間を置かず飛び込んできた聖騎士たちには、梢が大剣を突き付け牽制する。
「このままじゃ囲まれちゃいますよー、私はろっこんでいつでも逃げられますけど! どーします? 聖騎士と一勝負しときますかー?」
「……その必要はないよ」
がしゃん、と壁にはめられた大きな窓ガラスが砕ける音に振り向けば、そこにはねむると、彼の実体化した大フクロウが、翼を広げて飛ぶのを待っていた。
「さあ、逃げよう!」
「ま、待て!! 逃がすな、捕まえ……」
法王の声は空しく響き、伸ばした聖騎士たちの手は空を切り。時子は雀へ、梢は蝶へと姿を変えて大フクロウの頭頂へ取りつき、他の面々がそれぞれに羽毛へしがみつくと、ねむるは騎士の光を通じて命を発する。
大フクロウは法王庁を飛び出し、やがて街並みに紛れて見えなくなった。
「こっち……こっち……!」
眼下で両手を振るのは、
遠野 まほろ
だった。上階の窓から飛び出した彼らを見つけて追いかけてきたのだろう、かなり息が上がっている。
「みんな、無事で良かった……怪我とか、してない?」
「うん、大丈夫。遠野さんも、何も無くて良かったよ」
人通りの少ない裏道へ大フクロウが降下すると、夏朝はまほろと無事を確かめ合い、時子や梢らは石畳へ下り立ち一息をついた。
「それじゃ、僕は森へ向かうよ」
羽毛を撫でつけながら、ねむるは言う。
「ナイト・オブ・リブラスに、確かめなきゃいけないことがあるからね。場合によっては、みんなへの警告ってことになるのかもしれないけど……来島君や鴻上君にも伝えてあげないと」
当初はフクロウ便での連絡を考えていたが、騎士の光は騎乗しなければ扱えない以上、彼自身が向かうしかない。
再び空へと舞い上がった大フクロウを見送りながらに、梢がぽつりと漏らす。
「……聖騎士団長。一体、誰の味方なんでしょうねー」
この場に、真実を答える者は無かった。
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冒険
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ゲーム
定員
30人
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30人
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シナリオガイド公開日
2016年09月25日
参加申し込みの期限
2016年10月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年10月02日 11時00分
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