【星幽塔】第一階層　サジタリオ城攻略戦｜リアクション

【星幽塔】第一階層　サジタリオ城攻略戦

【次なる一手のために】

　龍目豪が槍を投じるその少し前――。

　　　＊　＊　＊

　ザ・ストレイトこと風雲児轟が竜に突っ込んでいく姿があった。
「お前に恨みはねぇが、困っている街の人達を放っておくわけにはいかねぇ！　悪いが、退治させて貰うぜ」
　ヒーローらしく、堂々と宣言してから轟が地面を蹴って一気に距離を詰める。
『!!!』
　竜が巨大な腕を真上からストレイトに振り下ろす。
「おっと」
　それをストレイトは最小限のステップでかわし、その腕の上に乗ってさらに走る。
「……弱点は顎の下だったか？　いや、この際、もうどこが弱点とかはもうでもいい。俺達が先に進むためにも、星の力とろっこんを合わせて必殺の一撃を食らいやがれ！」
　轟は跳躍した。
　竜の横っ面まで飛び、渾身の一撃をブチ込む。
「喰らえ！　巨竜撃滅！　ドラゴン・スレイ・スマッシャーァァアアア！！！」
『!?!?!?』
　竜の顔側面にその一撃はストレートに入った。
　ポロリ、と鱗が数枚剥がれ、
　ポキリ、と竜の牙が折れる。
　だが、それらはすぐに復活し、その牙の隙間から巨大な火炎弾が轟に向かって放たれる。
「……っ！？」
　轟はとっさに星の力が実体化した篭手を目の前で交差させてガードした。
　しかし、ガードの上からでも強烈な衝撃が襲い、轟はかなりの距離を吹き飛ばされて痛烈なダメージを負う。
「……だ、大丈夫っ！？　すぐに回復するよっ！」
　十文字若菜が駆けつけて、轟に癒しの力を使う。
　竜はさらに追撃をしかけようとするので、若菜は手鏡を割ってろっこんで障壁を作り、それを防御した。
（……っ。このままじゃ埒があかない。ここは攻めないと……！）
　竜の攻撃を若菜はあえて自らの身体を竜の前面にさらけだし、その攻撃を防御結界で受け止めて、積極的に隙を作りだしていく。
「おら！　竜野郎！　俺を無視してんじゃねぇぞっ！」
　と、次に竜の正面に現れたのは握利平だった。
『!!!』
　竜もさすがに疲れが見えてきている。
　それでも、竜が腕を振るって、利平を迎撃しようとすると、そこにフランチェスカの登場で士気を高めた解放軍の弓兵部隊を連れた壬生由貴奈と水上桜が現れて、左右から一斉に援護射撃を仕掛ける。
「うちらの星の力は狩人だからねー」
「遠距離から、タイミングをあわせて一気に仕掛ければ！」
　由貴奈と桜が星の力の加護を受けた最初の一矢を左右から放ち、そこに後ろの部隊から数に物を言わせた矢の嵐が殺到する。
『……!!』
　竜は翼を盾のように閉じて、それらをガードした。
　それから、もう一度前を見たとき、
『……!?』
　正面から来ていたはずの利平が目の前から消えていることに気づいて、竜は目を見開いた。
「後ろだ！」
　後ろで、サーベルタイガーにまたがった利平が竜を呼んだ。
『!?』
　竜が後ろを振り返る。
　そのわずかな隙に利平を乗せたサーベルタイガーこと添星叡知が竜の顎近くまで跳躍する。
　そこからさらに利平はタイガーの背中を蹴って跳躍し、逆鱗付近まで近づくと――。

「くらいやがれ、圧縮した空気を零距離で二連打する――にぎりっぺダブルゼロォ！！！」

　自慢のろっこん《にぎりっぺ》を応用した必殺技を竜の逆鱗を下段からアッパーのごとく叩き込んでいた。

　　　＊　＊　＊

　そして、その結果として、竜は悲鳴とともに弱点の逆鱗をもれいび達の前にさらすことになった。
　そこに、八神修が指示したタイミングで投じられた豪の槍がぶすりと突き刺さる。
「よし、美咲紀！　フランチェスカに風でメッセージを！　あのハンカチがはためいている場所が、竜の弱点だと！」
「りょーかいです！」
　修の声に、椿美咲紀は笑って応じ、星の力で櫓へとメッセージを飛ばした。