【星幽塔】第一階層　サジタリオ城攻略戦｜リアクション

【星幽塔】第一階層　サジタリオ城攻略戦

【オーブに火を】

　椿美咲紀が運んだ風の声は確かにフランチェスカの耳に届いていた。
「――貴方達の熱いメッセージ、確かに受け取りました」
　すでにフランチェスカは狙いを遥か中庭の竜の逆鱗に定めていた。
　もちろん櫓を飛びまわるガーゴイル達が最後の抵抗をしようとする。
　が、それらはフランチェスカを護衛するもれいび達の攻撃によって瞬く間に地に落とされていく。
　そして、
「撃ちますッ！」
　フランチェスカの声とともに星の力が凝縮された一筋の光の矢が竜の逆鱗に突き刺さる。

『!?!?!?!?』

　刹那、城全体を揺らすような竜の悲鳴が城全体に響き渡った。
　星の光の矢は竜に突き刺さってなお眩い力を放ち続け、そこからポロポロと鱗が剥がれ落ちていく。
　そこはもう再生などしない。
　そして、その傷口の奥深くに――。

「「「「「オーブだ！」」」」」

　どこかで見た覚えのある透明な球体を発見したとき、彼らは勝利があと少しで手に届くところまで来ているのを感じた。

　　＊　＊　＊

　その頃。
　竜の体内に入り込んでいた骨削瓢は――。

「……おヴぅええええええええええええええええええええええっ……」

　盛大に吐いていた。
　腹の中にいる状態で、竜が動きまわったり、痛みに悶絶したりしたので、完全に乗り物酔いの状態だった。
　しかし、この男、めげない。
「ふ、ふふひひひ……。さすがにちょっと酔っちまったが、金になりそうな金貨と宝石はちょろまかしたし、まあよしとしよ……おヴぅええええええええええええええええええええええっ……」
　瓢はかなり吐いていたが、貰う物はしっかり貰っていた。
「……さて、結局、オーブも、それ以上に面白いモノも見つからなかったし、そろそろ出るとしようかねぇ」
　にやり、と悪い笑みを浮かべると瓢は竜の胃液でボロボロになった服の懐からナイフを取り出すと、自分を異物と認識して吐き出させるために、ついでに他の連中をちょっぴり援護してやるために、胃の中からメッタ刺しを開始するのだった。

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