this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
<< もどる
1
…
18
19
20
21
22
…
27
つぎへ >>
黒の森を埋める吹雪の隙間に、燃え盛る炎の塊が幾つも見えて、セルゲイは眼鏡の奥の琥珀の瞳を歪めた。
吹雪に消えぬ炎は、人外の者の使う火であるが故だろうか。それにしても、敵に居場所を知らせる火をあれほど大量に焚くは愚の骨頂。
(それとも、誰かが)
思案は、焚火の光に黒く巨大な檻が照らし出され、その檻の内に探していた施設の子どもを見るに至って吹き飛んだ。手の骨が軋むほどに拳を握りしめ、セルゲイは傍らの久隆を見遣る。己と同じに探し人が囚われていることを確かめたか、今にも魔物が多くうろつく敵陣に突っ込んで行きそうな久隆の肩を掴んで留める。
「怖いケド、ボクが囮になればミンナ助け出せるハズ」
言うなり、久隆が制止の声あげるより早く、セルゲイは雪の中を進む。久隆とサキリと距離を取り、二メートル越えの巨躯を雪積もらせた繁みから立ち上がらせる。
「エーイ! 化け物、コッチダ!」
風の緩まる瞬間を狙い、よく響く声を森の広場へと響かせる。
唐突に響き渡る男の声に、檻や焚火の周りをうろついていた山羊男たちがざわめきたつ。檻の前に立った黒サンタがこの世界にない言語で何かを喚けば、山羊男たちの何体かが威嚇の声上げてセルゲイへと走った。
焚火の炎を足元に、黒サンタが何事かを呟く。呪いの文言にも似た響きの言葉とともに怪しげな動きが放たれれば、広場に渦巻く雪と風が幻のように消えた。雪の森に走り込むセルゲイの背が、雪の白さに浮かび上がる。
セルゲイが敵の注意を引きつけたその瞬間、別の繁みに『ザ・ストレイト』、轟が立ち上がった。
「あれ、八神君だ……」
カッコ悪いからな、と轟が脱ぎ捨てた防寒着を拾い、ねむるはゴーグル越しの目を瞠る。見知った友人の姿も何人か、あまつさえ血だらけの子どもまで檻の中に蹲っている。
(一体ここで何があったの!?)
「仮にもサンタを名乗ってるのに子供をあんな目に合わせるなんてぜってぇ許さねえ!」
怒りに燃えるまま、轟は駆け出す。
「この『ザ・ストレイト』が必ず退治してやる!」
「あの黒いのが首謀者ですか……」
雪雲が束の間晴れた。天上の月が眩く白く、雪を照らす。
唇に笑みさえ刻み、月が雪を蹴り飛び出す。グローブに仕込んだ鋼糸を手首の返しで放ち、檻の格子に巻き付ける。鋼糸を引き戻す反動を使い、宙にくるり、舞う。アクロバティックな動きで檻の上に着地する。
「恨みはありませんが、八神さん達を解放させてもらいましょう!」
高々に宣言する檻の上の月を見上げ、黒サンタが悔し気に雪を蹴散らす。黒衣の袖から鍵を取り出し、檻の戸を開く。素早く手を突っ込み、一番近くにいた子どもを引きずり出す。
「お前!」
子どもを人質にしようとする黒サンタの動きに、轟が怒声を上げる。黒サンタは嗤い、子供の頸に骨ばった手を回そうとする。
凍り付くような一瞬を裂いたのは、サキリ。ダマスカスブレードで空を裂き、ろっこんの力で黒サンタの頭上に瞬間転移する。小柄な身体の渾身の力でもって、黒サンタのフードの頭に飛び蹴りを食らわせる。
「恐がらせただけ、だよね?」
雪に突っ伏す黒サンタの手から呆然とする子どもを奪って背に庇い、サキリは深紅の瞳を凶暴に煌かせる。
(子供達や僕の友人を殺したり大怪我させたら八つ裂きにしてやる所だけど)
くすり、場違いに明るく笑う。
「ボコるだけで許してあげよう」
「デイジーカッター!」
檻の中、修が声をあげる。
「サンタが外のうちは、檻は皆を守る盾だ」
真ん中に集まろう、と捕えられていた人々を檻の央に集めようとする友人を、サキリは肩越しに振り返る。黒サンタの手から取り戻した子供の背を修の元へと優しく押す。
開いたままの檻の戸を守る構えに入るサキリの隣、久隆が駆け寄り並ぶ。一体の魔物も通すまいと仁王立つ。
「手伝おう」
此処まで行動を共にしてきた寡黙で頼れる『お父さん』を見仰ぎ、サキリは笑んだ。鋼のような筋肉を持つ久隆は、今にも黒サンタに掴みかかって背負い投げあたりをぶちかましそうな、腸の煮えくり返っているような、とても怖い顔をしている。
「お父さん!」
「旦那様~」
檻の内から掛けられた声に、『お父さん』が肩越しに振り返る仕草をする。サキリから見えた『お父さん』のまなざしは、今までに見たどの表情よりも優しかった。
「恵御納のお父さんだったんですね」
あまり似てないですね、とサキリが呑み込んだ言葉を言外に感じ取ったか、久隆はどこか照れ臭いような微かな笑みを厳つい目元に滲ませた。
「……今はそれどころではあるまい」
照れたことに照れて、久隆は殊更に無表情になる。難しい顔で檻の外を睨む久隆の隣、サキリはちらりと肩をすくめる。
「やれやれ、折角のイブだと言うのに」
「全くだ」
(いや……違うか)
起き上がろうとする黒サンタを、侵入者たちに怒りも露わに雄たけぶ山羊男たちをサキリは見据える。戦いの気配を感じ取り、心が高揚する。腹の底から熱が湧き出す。寒さが吹き飛ぶ。
クリスマスイブのこの戦いこそ、
(これぞ僕にぴったりのクリスマスプレゼントだ)
白い頬を上気させ、サキリはダマスカスブレードを構えた。
「メリークリスマス、最高の夜をありがとう」
応える黒サンタの言葉は、この場の誰もが知り得ぬ言語。それでも罵倒されていることだけはしっかりと感じ取り、轟はサキリと黒サンタとの間に立ちふさがる。
夏朝のろっこんにより、武器とする血まみれのナニカ入りの麻袋が持ち上げられぬほどに重くなってしまった黒サンタは、吹雪の切れた夜陰の宙に怪しげな印を指先で描き込む。途端、黒サンタの指先から光る矢が数本放たれた。
「おお!?」
怪しげな術にマスク越しの眼を瞠るも、轟は日々鍛えあげた敏捷性を駆使して光る矢を避け切る。矢に続いて次々と連携して襲い掛かる山羊男の突進を身軽に躱し、黒サンタに迫る。
黒サンタが何事か喚いてけたたましく嗤う。
「わかんねえよ!」
黒サンタがいつ放つとも限らぬ怪しげな術も恐れず、轟は黒サンタの懐に潜り込む。固く握りしめた拳の乱打を叩き込もうとして、黒サンタに忠実な山羊男の突進を受けた。
黒サンタから引き剥がされ、雪の上に倒れ込む。身体の上に乗りかかろうとしてくる山羊男の顎を跳ね起きるついでに蹴り上げる。
ヒーローとしての矜持が、轟にはある。
(何度攻撃を受けても決して倒れねえ……)
ヒーローは、と呪文のように心に繰り返す。
(ヒーローは子供達が怯え、助けを求めてる時は絶対負けちゃならねえ)
「うぉおおおぉ!」
山羊男や黒サンタの罵声を圧して、轟は吼える。気迫と共、黒サンタに再度迫る。
(そして最後には必ず勝つ。勝たなきゃいけねえんだ!)
思いを固い拳に代え、雪をも踏み潰す勢いで地面に強く踏み込む。黒サンタフードの下の暗い瞳さえ見える至近距離から、相手の防御さえ打ち破る一撃必殺の右ストレートを放つ。
「ストレイト・スマッシャー!」
ヒーロー姿の男の渾身の一撃を腹に受け、よろめいた黒サンタの背中が檻に当たる。
「チャーンス!」
賑やかな声と共、弥次郎が躊躇いもなく檻の内から黒サンタの黒衣の袖を掴む。脇に手を回して羽交い締めにする。
「やっちまえ、ヒーロー!」
喚いた途端、黒サンタが肩越しに振り返った。黒髭に覆われた口元が怪しい呪文に動く。瞬間、夥しい量の光が弥次郎の眼前に閃いた。
黒サンタが肩越しに放った怪しい光と、それに伴う平手で全身を叩かれたような衝撃に驚き、弥次郎は黒サンタの袖を離す。吹き飛ばされるように藁の山に尻餅をつく。
「だっ、大丈夫?!」
「おう、ヘーキヘーキ」
焦った声をあげる野次仲間のマリベルに片手をひらひら振りつつ、弥次郎はじりじりと痺れるように痛む身体を一撫でする。
(痛い、ってことは)
「うっそマジぃ、夢じゃねーの?」
ということは即ち、
「あの山羊マジモンかよ! やっべぇ!」
無類の動物好きは檻に囚われた状況もうっかり忘れて興奮する。
「ちょっ、山羊! 山羊カモン! 角触らせろよ、胸毛も触らせてくれよ! うっひょー!」
目をきらきらさせて檻の中から恋人を求めるように手を伸ばす弥次郎を恐れ、山羊男たちがじりじりと檻から距離を取る。取ったところを思いがけず遠方の樹上から鋼糸を使って雪上に舞い降りた月のナイフの一撃を、瞬間移動で空間を渡り背後に現れたサキリのダマスカスブレードの刃を浴びて斃れる。
「大丈夫、大丈夫やからな」
檻の内外に繰り広げられる様々な戦いに怯える子どもを胸に強く抱きしめ、
マリベル・ロイス
は小さく優しく囁き続ける。隙をついて逃げるにしろ、外の黒サンタたちが全滅するまで待つにしろ、子どもたちを落ち着かせて行動させなければならない。
(誰かが脱出するんならウチは囮になろ)
さっきみたいに騒ぐのもいい。黒髪眼鏡の動物好き少年のように檻に近づいた山羊男や黒サンタを両手で捕まえてもいい。少年は夢ではないと口走っていたが、それも真実かどうかはわからない。現実と見せかけてやっぱり夢の中、ということも充分にありうる。どうせ夢の中なら自分はどうなっても、少しでも時間を稼ごう。
(七夜さんが心配だし)
亜麻色の髪の少年と黒髪の少年に守られ、無防備に眠る
七夜 あおい
をちらりと見遣る。眠る女性を守るのは、同性の自分の方がきっといい。
(ウチは檻には最後まで残って寝ているお姫様を守る)
固い決意を翡翠色の瞳に宿し、マリベルは真剣に檻の外を見つめ続ける。
檻の周り、いつか山羊男たちは全て雪の上に倒れ伏している。
残るは黒サンタばかり。
「待て!」
声を張り追い縋る轟に光の矢を放って振り払い、黒サンタは疲れた足取りで森の影に逃げ込もうとする。
黒衣引きずる黒サンタの頭上、幾筋かの銀色の鋼糸が音もなく走る。切れない糸は、黒サンタが逃げ込もうとした黒い森の樹に巻き付く。糸を手繰るグローブの強い力を操り、月が空を生身に渡る。宙にくるりと身を翻し、黒サンタの前に立ち塞がる。ナイフを構えようとして、ふと後ろに視線を流す。
「譲ります」
ぽつり零して横に飛び退く月の脇を、
「このクソサンタ! テメエ、俺の海と千歳に手出ししてんじゃねえ!」
森から飛び出した
御剣 刀
が駆け抜ける。刃引き刀を振り上げ、
「くたばれ!」
怒りと共に振り下ろす。
刃を潰した刀の、それでも十二分に威力のある武器の一撃を肩に受け、黒サンタは悲鳴を上げて蹲る。
「子供に怖い思いさせんな!」
黒サンタの背後の檻を、檻に押し込められた人々を顰めた黒い瞳に映し、刀は怒鳴る。
「子供にとってのサンタさんはな、『優しくてあったかいおじいさん』なんだよ!」
刀の言葉を聞いてか聞かずか、黒サンタはもう一度だけ最後に笑った。
そのまま、動かなくなる。
<< もどる
1
…
18
19
20
21
22
…
27
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
49人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月06日
参加申し込みの期限
2016年02月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月13日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!