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寝子島高校
【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
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雪降る旧市街商店街のどこかからクリスマスソングが流れ出している。
耳元に押し当てたスマートフォンから聞こえる無機質な音声ガイダンスに、
恵御納 久隆
は眉間に深い皺を刻む。
寝子島高校の寮に生活する娘に会うため、妻と共に寝子島に来て数時間。別行動をしたほんの十数分のうちに妻の姿が消えた。不審に思い妻のスマートフォンに電話を掛けて、呼び出し音が掛かるよりも先、電源が入っていないか電波の通じない場所にいる旨を告げる音声ガイダンスが流れだした。何度掛けてみても、それは同じ。
娘との待ち合わせ時間が迫り、もしや妻が先に行っているのではないかと一縷の望みを懸けて娘との待ち合わせ場所に向かって、けれど妻どころか娘の姿さえそこにはなかった。
(理沙、夏朝)
先程待ち合わせに遅れる旨をメールした娘からも返事はない。
元よりの強面がますます険しくなるまま、久隆はごつい拳を握りしめる。長躯を鎧う筋肉がぎしりと軋んだ。
駄目元でスマートフォンの位置情報共有アプリを起動させる。登録済みの妻の位置情報が拾えないか試してみるものの、
(……駄目か)
画面の地図上に妻の位置は記されない。
雪のちらつく旧市街に鋭い視線を走らせる。旧市街が背にした九夜山を見遣る。山の一角、温暖な気候のはずのこの島にあって不思議なほどに厚い雪雲に覆われた場所を見つけ、ちらりと首を捻る久隆の脇、ふと車が停まった。
運転手つきの車の後部窓が開く。
「君も、噂の子供さらいを捜しているノカ?」
窓に覗いた銀髪の青年に声を掛けられ、久隆は唇を引き結ぶ。
「どういうことだ」
「誰かを捜しているヨウにみえたヨ」
眼鏡の奥の琥珀の瞳を細める、己よりも大柄な外国人の青年を暫し見つめ、久隆は肯う。
「妻と娘を捜している」
「ボクもネ、噂を聞いたら心配デネ」
運転手には先に向かうべき場所を指示し、
セルゲイ・ボスコフ
は車から降りる。
「その噂、教えてもらえるだろうか」
生真面目そうな黒い瞳を強張らせた久隆に詰め寄られても動じず、セルゲイはおおらかな笑みを浮かべる。琥珀の瞳に静かな光を宿し、セルゲイはクリスマスの街に流れる『黒い森』にまつわる噂を口にする。
「施設の子が帰って来なくてネ」
ボランティアをしている児童養護施設の子どもが行方知れずになっていると聞き、星ヶ丘で開催されていたパーティ会場から矢も楯もたまらず飛び出した。専属運転手に頼み、噂の発端である九夜山の麓まで送り届けてもらった。
「『黒サンタ』……」
『ひと』であり寝子島外に普段住む久隆は怪訝そうに眉を寄せる。突拍子もない噂ではあるが、
(まさか……)
どうしようもなく募る不安に突き動かされ、久隆は黒い雪雲に覆われる九夜山の一角を見仰ぐ。
決意宿る瞳を旧市街商店街へと戻すなり、久隆は付近に開いていたスポーツ用品店へと飛び込んだ。クリスマスツリーの飾られた店内を足早に巡り、防寒具と救急用品をクレジットカードで購入する。
新品の防寒具を纏いつつ店を出ると、セルゲイが動じぬ顔で何枚もの毛布を車のトランクから取り出し鞄に詰めようとしているところだった。
「寒いといけないから毛布もあるヨ」
星ヶ丘の自邸から持ち出した毛布を手際よく鞄に押し込み、重さを感じさせぬほど軽々と広い背に負う。
久隆と黙したまま頷き合い、セルゲイは車の運転手に短く合図し、車を先に走らせた。
雪を巻き上げクリスマスの街に去る車の向こう、街灯の光と雪を静かに浴びて立つ、白銀の髪と緋色の瞳持つ少年。
「……僕も、混ぜてもらっていいかい」
柔らかな笑みを白い頬に湛え、
サキリ・デイジーカッター
は九夜山の『黒い森』に向かおうとしているふたりに話しかけた。
「君は」
「『黒い森』の噂を聞きました。僕もあなたたちと同じです。友達を助けたい」
『ひと』らしき久隆にサキリは小さく頷く。
本当のところ、サキリを導いたのは不意に頭の中に流れた
テオドロス・バルツァ
のいつもながらの勝手な声。
(なんとしても助け出す)
街の子どもたちと、それから、この島で得た友人たちが浚われたと聞けば、街で静かにクリスマスイブを過ごしている訳にはいかない。
テオドロスが投げやりに与えて来た情報をもとに防寒着を着込んだ。服の中に自身のコレクションの中でもとっておきの業物、ダマスカスブレードを仕込んだ。
動けば肌に触れる革鞘入りの刃の感覚に、刃物依存症なサキリは目前に立つふたりの存在も一瞬忘れて甘い笑みを唇に滲ませる。
「行きましょう」
もう片手に持った強力な懐中電灯を握りしめ、サキリは九夜山への道中に出会ったセルゲイと久隆に言う。
行く手を阻む壁のように、突如として風雪が雪崩寄せた。
「く……」
呼吸さえ奪う吹雪にも怖じず久隆は足を踏み出す。
「ボクが先に」
「しかし」
「ダイジョウブ、任せテヨ」
大柄とは言え二十歳には届いていなさそうな青年を先に立たせることを躊躇う久隆のごつい肩を叩き、セルゲイは軽い足取りで膝まで埋まる雪に踏み込む。
久隆は視界もほとんど効かぬ周囲を警戒しながら、雪に何かの痕跡を捜そうとしているセルゲイと、雪に軋む樹の枝にペンライトを縛り付けるサキリの位置を把握する。
(逸れてしまえば一大事だ)
噂によれば、『黒い森』には山羊頭の怪人が彷徨うと言う。
「……慣れているな」
低く零せば、独り言を聞きつけたサキリが人当たりの良い笑みをペンライトの小さな光の環の中に浮かべた。
「僕達はこの手の荒事には慣れているんですよ」
「エー、ボクはそうでモないヨー」
「そう?」
ニコニコと笑い続けるセルゲイの横顔を深紅の瞳に捉え、サキリは短く笑み返す。
(でも、堅そうだ)
無防備そうに背を見せているその癖、下手に切り掛かればすぐさまに組み伏せられてしまいそうな気がする。喉笛を噛み裂かれてしまいそうな気がする。
セルゲイが分厚く纏う穏やかな空気の内、極く僅かに混ざる違和感を肌に感じて、けれどサキリはそれに気づかぬ振りをする。何にせよ、今の彼はこの雪中行軍の強い味方。互いに反目を抱く理由はない。
(今のところは、かな)
「ただ、僕達の力を見ないように気をつけてください」
『ひと』の視線は、『もれいび』の己に宿るろっこんはその作用を減衰させる。状況にもよるのだろうが、下手をすれば発動さえ阻害されてしまう。
サキリの言葉に首を捻りつつも、久隆は顎を引く。今は、彼らが何者であろうと、妻と娘が助けられるのですあればどうでも良かった。
「止まっテ」
雪風に紛れ、セルゲイが低く囁く。積雪に覗く熊笹の群れに身を潜めるセルゲイに倣い、久隆も身を低くする。サキリは素早く木の影に身を隠す。
「山羊の化物か……」
吹雪の帳に蠢く山羊の頭持つナニカを見、久隆は呻く。雪に迷っているようにも、獲物を求めているようにも見える化物の数は、認められるだけで五体。
(雪に塗れつつ隠れやり過ごしたい所だが)
先に進むためには戦闘もやむを得まいと腹をくくったところで、木の影に身を潜めたサキリが化物たちの居るのとは別方向へと顔を向けた。
サキリの意図を汲み取り化物たちから視線を逸らそうとして、止める。
「……見なければ良いのだろう」
低く唸るように言うなり、久隆は身体を丸めるようにして吹雪に飛び込んだ。雪を蹴立て、山羊男に肉迫する。山羊男が咄嗟に振り回した蹄の一撃を地を這うように体勢を低くすることで避け、胸元の黒い獣毛を掴む。雪を踏む二足歩行の足を払い、引き倒す。柔道に言う組技に持ち込む。
頑丈そうな顎と歯をガチガチと鳴らし噛み付こうとする山羊男の頸に肘を回す。胴に足を回す。締め落としにかかる。
妻が、娘が、この先にいるかもしれない。
「……邪魔をするな!」
久隆は吼えた。
誰かの父であり夫である久隆の必死の行動を目の当りにして、サキリは眦を決する。ダマスカスブレードを取り出し、光を消した懐中電灯を雪に捨てる。
柄を握りしめ、空間を切り裂くイメージをする。己が身に宿るろっこん『斬空舞踏』で瞬きのうちに敵の背後に移動する。久隆に襲われる仲間のもとに駆けつけようと白い息を撒き散らす山羊男の背、業物の刃を埋め込む。肋を縫い心臓を貫く。
敵の断末魔を耳にするよりも速く、次の敵の背後に瞬間移動する。
風雪に響く仲間の悲鳴に警戒する敵の背を切り裂く。
(浅い)
不意に負わされた傷に怒声上げて振り向こうとする山羊男の視線を攪乱するが如く、高速連続転移を繰り返す。別の山羊男の腕を裂き、また別の山羊男の獣足を薙ぐ。惑わされて混乱に陥る山羊男の懐に一瞬のうちに潜り込み、化物の横長の瞳孔が歪むを深紅の瞳に映して甘く笑む。胸に刃を押し込む。
銀色緋眼の魔物がその細腕に持った刃で吹雪を裂く。
久隆が山羊男を締め落として立ち上がる頃には、その周りに居た山羊の化物たちは雪に伏していた。
熱帯びた白い息を雪の中に吐き、サキリは動きを止める。刃掴む手を脇に垂らし、静かな眼差しに周囲を見回す。久隆に気絶させられたナニカが一体、急所を突かれて倒れ、動かぬままに黒い霧状になって消えるナニカが二体、サキリたちには意味を解せぬ呪いの言葉を撒き散らしながら、負傷した手足を庇って雪の森に逃げ込むナニカが二体。
間髪入れず追おうとして、短く息を吐く。慣れぬ雪に思いがけず疲れた手足を軽く振る。優先すべきは、今の仲間を危機から守ること。
そのためには、仲間から離れすぎてはいけない。無理をしてはいけない。
「ダイジョーブ、追うヨ」
熊笹の葉群からセルゲイがひょこりと大柄な身体を覗かせた。サキリが捨てた懐中電灯を拾い、サキリに手渡す。慣れた足取りで雪を踏む。
「ついて来てネ」
戦闘を終えたふたりが頷くのは目の端にも確かめず、セルゲイは雪の表層に鋭い視線を投げる。
サキリが敢えて殺さず負傷させるに留めおいた山羊男たちが残した足跡を辿る。彼らが逃げようと必死に掻きのけ折れた枝や、蹄の手で掻いた木の幹を確かめる。特殊な訓練を施された軍人の如く的確に魔物の痕跡を読み取り追跡する。
(獣の匂い)
雪に塗れた樹の幹にこびりついた獣毛に恐怖を嗅ぎ取った瞬間、その身を、その身の一部を巨大熊に変えられるろっこんを宿すセルゲイは酷薄な笑みに瞳を歪ませた。
(血の香り)
恐怖の匂いは、セルゲイのろっこんを発動させるトリガーとなっている。
今にも身体の何処かが熊に変化してしまいそうな疼きを感じながら、セルゲイは分厚い手袋の掌で顔の下半分を覆った。
熊の嗅覚を頼りに、友人や家族を助けようとする少年と男を、山羊男が助けを求める方向へ、黒サンタのもとへと案内する。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
49人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月06日
参加申し込みの期限
2016年02月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月13日 11時00分
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