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【クリスマス】メリークリスマス、旧市街
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「……ここは……」
吹雪の風音に交じる子どもの泣き声に、それを嗤うナニカの声に、
恵御納 夏朝
は栗色の瞳を開いた。
警戒しつつ周囲を見回し、置かれた状況を急いで把握する。上着のポケットにいつも持っているねこシールを指先に確認する。これはろっこんを使うために必要な道具。
指先にシールの枚数を、ろっこんの使用可能回数を確認する。
三枚。枚数の少なさと、
(また、神魂の仕業なの……?)
状況の異様さに唇を噛む。
檻の一角に集まって、数人の幼い子どもたち。子どもたちを護るようにして、知った顔もある。
(七夜さんも……)
「……あら、夏朝ちゃん?」
聞き慣れた声を背後に聞いて、まさかと思いながら振り返る。
「お母さん!?」
「……ここ、どこかしら~?」
本土に住む母はクリスマスイブの今日、父と共に、確かに寝子島を訪れていた。娘である夏朝に会うために。
(フツウでない事に巻き込みたくはなかったのに……!)
おっとりとしたたれ目に動揺を示す娘に向け、高校生の母である
恵御納 理沙
は、高校生にも間違われるほどの童顔をふうわりと微笑ませる。金色の柔らかな髪を雪風に揺らし、檻の中に視線を巡らせる。
娘と会うために夫と訪れた島で、少しの間別行動を取ってクリスマスの街を散策していたところまでは憶えている。
(……もしかして、大人って私だけかしら~?)
檻の中に、見た限りでは高校生くらいまでの子どもたちだけしか確かめられず、理沙は湖水色の瞳を瞬かせる。
「お母さん」
(……落ち着こう)
檻の外は吹雪で、しかも恐ろしげなナニカさえうろつく危機的状況にあって、それでもどこかおっとりと落ち着いて見える母の手を、夏朝は掴む。檻の一角の集まる人々の傍に引いて行きながら、フツウでない事に色々と巻き込まれてきた夏朝は自分自身に言い聞かせる。
(落ち着いて、対処しないと)
母を、七夜を、皆を守って、
(全員無事に脱出するんだ)
今日はクリスマスイブ。
(楽しいクリスマスを過ごす為にも……!)
強い決意の表情見せる娘の横顔を、母である理沙は頼もしくも不安に思う。
檻の外の焚火の傍には、山積みにされた様々な鞄。その中に自身の鞄も見つけ、理沙は金色の眉を小さく顰めた。今の所持品はコートのポケットに入れていたスマートフォンのみ。
ポケットにスマートフォンを隠したまま、消音にする。集まった人々の影で密かに操作する。娘も妻も行方不明とあらば、
(旦那様がきっと探してくれているわ)
位置情報共有アプリを立ち上げようとして、ここが圏外であることに気付く。
(旦那様……!)
祈るように掛けた電話も、やはり繋がらない。
繋がらぬ夫への頼みの綱に、理沙は瞼を閉ざす。
「お母さん」
娘の声に顔をもたげる。
同じことをしようとして、同じように不可能を知ったのか。ポケットに手を入れて唇を噛む娘に思わず手を差し伸べる。たじろぐ娘をためらわずに抱きしめる。
「大丈夫よ」
(大丈夫……旦那様ならきっと助けにきてくれるわ)
腕の中にもがく娘の髪を撫でて離し、近くに蹲る子どもの傍に腰を下ろす。泣きはらした目で途方に暮れる子どもの肩に着ていたコートを着せかける。助け求めるようにしがみついてくる別の子どもの首にマフラーを巻く。監視の男たちの目を盗み、
「おばさん達がついてるから~!」
そっと小声で子どもたちを励ます。
膝まで埋まる雪を掻きのけ掻きのけ檻の周りを廻っていた黒衣の男が、ふと足を止めた。黒サンタに続くようにして檻の周りや雪風にも消えない焚火の周りを巡り積もる雪を踏み散らしていた数人の山羊男たちも足を止める。
「……んだよ」
強がる弥次郎に向け、黒サンタは楽しげな笑い声を黒衣の下から漏らした。マントの下から鍵束を取り出し、檻の鍵を開く。ずるり、と黒衣の下の手に引きずる麻袋が不気味な音をたてた。見れば、ナニカの詰められた袋からは赤い血のようなものが滲みだし、黒サンタが歩を進めるごとに檻の中に血色の道ができる。
黒サンタが一角に集まる子どもたちの一人の手を強引に引く。連れて行かれようとした子どもが甲高い悲鳴を上げる。
「待てよ、やるなら俺をやれ!」
迷うことなく彰尋が立ち上がる。子どもを檻の外に連れ出そうとする黒サンタの腕を掴む。
くすり、黒サンタが嗤った。
嗤うまま、麻袋で彰尋の胴を打つ。
「おおっりゃー!」
隙を突いて麻袋と鍵を奪うべく突進した弥次郎を、檻の外で見張っていた山羊男が飛び込み薙ぎ倒す。
「ねえ、どうしてこんなことするの?」
檻の中に倒れ伏すふたりの少年をひらりと飛び越え、少女がひとり、黒サンタの前に立つ。ろっこんの力で少女の姿した二十一歳の無花果は、恐れげもなく可憐に笑ってみせる。これもまた、囚われのヒロインならばどうするかと考えた結果の行動。
(ヒロインも僕同様荒事はからっきしだからな……)
まずは犯人との対話から脱出のヒントを得ようとする。対話が可能であれば、黒サンタの言い分を聞くことができる。そうすれば、
(そうすれば――)
取りつく島もなく、黒サンタは踵を返す。山羊男と泣きわめく子どもを引き連れ、檻の外へと出て行ってしまう。
(……大人しく王子様や勇者の救出を待つ他ないか?)
氷のように冷たい鉄格子を両手で掴み、無花果は歯噛みする。
その隣の鉄格子をマリベルと復活した弥次郎が掴んで揺する。檻の外、蹲る子どもに下卑た笑い声を降らせる黒サンタに向け、
「やい黒い変質者! 夢の中とはいえ人を泣かせたり困らせたりするなんて最低や!」
「あぁ俺が悪い子だって? 期末テストの点がちょっと荒ぶったけどよぉ!」
口々にギャアギャアと喚きたてる。
「黒いとはいえサンタさんみたいな恰好なんかして性質がわるい! あそこにいる子なんてウチと同い年の女の子やないか! よわい人にして手をだせんかい! やーいやーい!」
「補習は真面目にやったぜ? そんなちょーいい子の俺を閉じ込めるとはどーいう事だぁ! おいこら聞けよじーさん!」
真っ直ぐに黒サンタを挑発する関西弁の金髪少女と、あることないこと関係なしに喚く黒縁眼鏡の少年の前、山羊男が仁王立つ。横長瞳孔の金色の目で見下ろされ、涎まみれの黄色い歯と赤い歯茎を剥き出して威嚇され、マリベルは顔を引き攣らせる。
(ホラーか! この夢ホラーなんか!)
いつかに見た怖いビデオを思い出すマリベルの隣で、弥次郎は強気な笑みを浮かべて鼻で笑ってみせる。
「かーちゃんの雷に比べりゃ全然怖くないぜ」
「……それは、……えらい怖いお母さんやね」
鼻息荒い山羊の前で顔を見合わせるマリベルと弥次郎の脇、理沙が進み出る。手には檻の端に積もった雪を固めた雪玉。
「やめなさーい!」
檻の中から外へ、黒衣の男に目掛けて雪玉を投げつける。忠実な山羊男が黒い男の前に立ちふさがって雪玉を受ける。
「お母さん」
娘の夏朝に気遣われ、腕を引かれて、ふと理沙は気付いた。黒衣に黒髭、クリスマスイブの夜に臓物の入りの袋で『悪い子』をぶん殴る――
(黒サンタ!)
目の前に居る男がドイツの伝承をもとにしていると気づいた途端、元ドイツ人な理沙は白い頬を紅潮させた。両手で力いっぱい鉄格子を叩く。
「この子達は、連れ去られる程の『とっても悪い事』なんてしてないでしょう!」
母の普段滅多と見せぬ激怒の声を間近に聞き、夏朝は目を丸くする。そうしながらも、檻の外を見つめる。檻の内の騒ぎを一瞥の後、黒サンタが己の足元の子どもに向けて麻袋を振り上げる。
その瞬間を狙い、ポケットの中からねこシールを取り出して自身に貼りつける。ろっこんで己の身を僅かに軽くし、進化能力の発動条件を整える。間髪入れず、別のねこシールを黒衣の男目掛けて射出する。
雪風を裂いて飛んだねこシールが、男が振り上げた血の滴る麻袋に貼りついた。卒然として鉄塊の如く重くなった己の武器に、黒サンタがよろめく。平衡を崩し、雪の上に尻をつく。
黒サンタに怯えることも忘れて呆然とする檻の外の子どもに向け、夏朝は最後のねこシールを放つ。雪の中を容易く歩いて来られるほどに子どもの体重を軽くする。
「こっちに!」
軽くなった身を不思議がる間もなく、夏朝に呼ばれるまま懸命に駆けて来た子どもに夏朝は檻越しに手を伸ばす。檻を挟んで抱き寄せる。
「皆に、手を出すな……!」
怪我をしても構わなかった。皆を守りたかった。
立ち上がる黒サンタに、夏朝は敢然と言い放つ。
夏朝の目の前、金色の髪がふわり流れる。夏朝と子どもを傍らから優しく抱きしめ、向かってくる黒サンタを真っ直ぐに見据えるは、夏朝の母。
(夏朝ちゃんが皆を守るなら)
それならば、己も夏朝を、皆を庇おう。
「私は」
重くなった麻袋を捨て、雪を蹴立てて近づいてくる黒サンタを、理沙は決死の瞳で睨んで叫ぶ。
「……『もう』子供を喪いたくなんてないのよ!」
下手をすれば高校生ほどにも見える理沙の言葉にか気迫にか、黒サンタは興を削がれたように雪の中に足を止めた。立ち尽くして雪を浴びる黒サンタの袖を、突として白い少女が引く。
その場にいる誰もが気付かぬ間に黒サンタの傍らに立って、銀色の波打つ長い髪を雪風に遊ばせる、純白のワンピース姿の少女。
「メリークリスマスなのです」
まるで春風の中にいるかのような穏やかな表情で、
ゼロ・シーアールシー
は恐ろしげな顔した黒髭の男に微笑みかけた。
「鍵をくださいなのですー」
幼子がサンタにプレゼントをねだるが如く、袖引いて顔を見上げる。
黒サンタが嗤う。
ゼロが笑う。
黒サンタの骨ばった指先が伸びて、ゼロの白い額に触れる。チカリ、硬質な光が瞬いて、ゼロはあおいと同じに眠りの淵に沈んだ。
寝入ったゼロの腕を掴んで引きずり、黒サンタは悲しげな悲鳴をあげる理沙の前に立つ。母と子どもを庇って強い眼差しを叩きつけて来る夏朝を無表情に見下ろし、夏朝の腕から子どもを引き剥がす。檻の戸を開け、ゼロと子どもを檻の中へぽいと捨てる。
「大丈夫、もう大丈夫……」
夏朝に抱きしめられた子どもが大声を上げて泣き出す。
「……ごめんね、守れなくてごめんね……」
泣き出しそうな表情の理沙に抱き上げられて、安らかな寝息たてていたゼロは小さな息を吐き出した。雪色の瞼を閉ざしたまま、夢見るように微笑む。
「えっとね、助けに来たのですー」
寝言のように呟く。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
49人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年02月06日
参加申し込みの期限
2016年02月13日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年02月13日 11時00分
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