怪人セブンの選択｜リアクション

怪人セブンの選択

　一方、無事に仲間と合流を果たした壬生。
　そこには待ち合わせをしていた十文字若菜の他にも、七緒璃音と風雲児轟、花風冴来と日暮ねむるの姿があった。
「あっ、由貴奈さん！　こっちです！」

　海賊姿の十文字が手を振って声を上げた。
「由貴奈先輩、ホシはこのイベント会場の中にいますぜ」
　ドラマの刑事のような口調でイベント会場を指差す七緒。
　彼女はいち早くビリオンの情報を月居からメールで知らされていた。

（ビリオンがトナカイの格好で船乗ってるねぇ。順当に考えたらこのお告げの原因かもしれんよね。しっかし、本当にこの季節にトナカイスーツってワンテンポ遅れてるというかなんつーか……）
　七緒は風雲児を誘って単独行動にならないように同伴してもらい、イベント会場を先にぐるっと一周してきていたのだ。
　途中で十文字も加わり、同じく九重と接触を考えていた冴来と日暮とも合流。
　壬生が来るまでの間、イベント会場で九重が出てこないように彼らは見張っていたのだ。
「用意がいいねぇ。んじゃ、早速ビリオンに会いに行こっかぁ」
「最初の接触はウチに任せて。なるべく自然に接するいい方法があるから」
　七緒が『私にいい考えがある』と言わんばかりのドヤ顔を披露していた。
「七緒先輩に秘策があるなら俺は任せるぜ！」
　高機動型マンボウくんコスプレの風雲児は、被り物のマンボウくんをしきりに上下に揺らした。
　完全に視界が覆われているように見えたその被り物に、壬生が思わず疑問を投げかけた。
「それ、前が見えてるのかなぁ？」
「壬生先輩、心・配・無・用！　視界は良好だ！　それにスーツアクターを目指す俺にとって、こんな被り物くらいどうってことないぜ！」
「そういえば、スーツアクターの視野ってすごく狭いんだってね。僕、テレビ番組で見たことあるよ」
　日暮は風雲児の言葉に感心していた。
「そろそろ行きましょう？　もしメサイアがこの事件の原因だとしたら、一刻も早く止めないとだわ」
　冴来はおどおどしながらも使命感に満ちた口調で皆を促した。
「そうだね、善は急げって言うし！」
　十文字の言葉で、一斉に九重説得班がイベント会場へ突入していった。