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迷子の太陽と彷徨う犬
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「女将さーん! どこですかー!」
黄昏闇の九夜山の森に、智瑜の真摯に透き通った声が響く。
暮れ行く森の木々にあてもなく吸い込まれる少女の声を耳にしながら、理紗子は登山道の左右に広がる雑木林に視線を投げる。冬の日暮れは早い。加えて夜になれば冷え込みは厳しい。
(早く、見つけないと……)
見る間に光失せる冬空に、気持ちばかりが急く。
踏み出す足に疲労ばかりが蓄積して行く。心臓の音が体の内側で早鐘のように鳴り渡る。息が切れてその場に座り込みたくなる。
「っ、……」
「少し休もう」
目眩さえ覚えてよろめく理紗子の腕を、高久が掴んで支える。
「だめ、日が暮れてしまうわ」
ぐいと視線を上げて、展望台へと続く道の果て、茜の光にほとんど同化しつつ、尻尾をしょんぼり落としてとぼとぼと歩いて行く赤毛の犬を理紗子は見た。
「女将さん! ハナの女将さんよね?」
理紗子の声に、犬の三角耳がぴくりと跳ねる。葡萄色したつぶらな瞳が振り返る。
「喧嘩したばかりで帰りづらいかもしれないけど、ひとまず帰りましょう!」
理紗子から必死に宥められ、赤毛の犬はどこか人間じみた動作で首を項垂れさせた。ふいとそっぽを向き、止める間もなく四足で駆け出す。
「女将さん!」
高久は夕闇の森へ飛び込む赤毛の犬を指差す。己が身に宿るろっこん『心の打鐘』を発動させるべく、両拳を胸の前で突き合わせる。
(山よりも暖かい場所のほうがいいだろう、さぁかえろうか)
高久の心中の声を心に響いて聞かせられ、女将から姿を変えた赤毛の犬は草叢に潜り込ませようとした犬の体を僅かの間躊躇わせる。気後れするように周囲に視線を迷わせる。そうして、二人の心遣いを振り切るように山中へと駆け込む。
「待って!」
女将を追うべく草叢に踏み入れようとした足がもつれ、理紗子は森の入り口に膝をついた。
「大丈夫ですかっ」
理紗子と高久の声を聞きつけて駆けて来た智瑜が慌てて理紗子の傍にしゃがみこむ。息切れて咳き込む理紗子の背を擦る。
「俺が追う。二人は先に戻っていてくれ」
「でも……!」
「店員に女将さんは見つけたからと。必ず連れて帰るから安心しろと伝えておいてくれ」
疲れた身体に鞭打とうとする理紗子へ磊落に笑いかけて言い残し、高久は獣道じみた山中に踏み込んだ。茜の光を梢に遮られて最早夜に近い森の中を、信念宿る眼差しで見据える。
寝子島ロープウェーの展望台前駅を出るなり、
御剣 刀
は焼き鳥の包みを開いた。多少冷めはしたものの、香ばしさを帯びたタレの香りが寒空の下に広がる。
「ハナの婆さん、居たら出てきてくれ」
「黒河さん! 黒河さんー!」
『ハナ』の店内にいつも漂う匂いを感じながら、
毒島 柘榴
と刀は夕闇に女将を呼ぶ声を響かせる。澄んで赤く暮れて行く冬の空の下、二人は展望台への道を急ぐ。
ロープウェーに乗り込む時間が合わず、駅で随分と時間を食ってしまった。山の影になっていない分だけ光は残っているが、海に眼をやれば水平線の向こうに太陽はすっかり沈んでしまっている。
「懐中電灯でも持って来りゃ良かったか」
忌々しげに白髪交じりの頭を掻く柘榴の隣、刀は夕暮れ空に浮かび上がる展望台へと眼を凝らす。
「ん?」
展望台に登るための階段脇の草叢が、風でなく不自然に揺れている。刀が見ているうち、繁みを分けて赤毛の犬がぴょんと飛び出した。黒い鼻先で空気の匂いを嗅ぎ、ふらふらと刀に近寄る。
「女将さん?」
刀が呼びかければ、犬は夢から覚めたように瞬いた。刀を見、柘榴を見、きゃんと鳴いて逃げ出す。
「店員さん反省してたよ、女将さんに謝らなきゃって!」
咄嗟に焼き鳥の包みを包みなおそうとした分だけ遅れる刀を追い越し、柘榴が四十路とは思えぬ足取りで階段を駆け登る。全速力で走る犬を追い掛け、息も切らさず展望台の天辺の一角に追い詰める。
「さあ、婆さん」
展望台の鉄柵に赤毛の背中を押し付け、犬はぺたりとその場に尻をついた。葡萄色した瞳を潤ませ、追いかけて来た柘榴と、その後に続いて来た刀を見つめる。犬の鳴き声で何事か文句を垂れ、白い息を大きく吐き出す。
「息子も心配してるぜ。喧嘩の仲裁もしてやるから」
幼い頃からの知り合いでもあり、『不良殺し』と呼ばれた高校時代を知られてもおり、若い頃から足繁く通う居酒屋の女将に、柘榴は傷だらけの顔を淡く笑ませる。犬の傍に両膝をつき、乱暴な言葉のその癖、どこか優しく説く。
「あんたが居ないと『やきとり ハナ』は営業出来ねェよ」
柘榴の言葉に刀が力いっぱい頷く。
「今は店員さん一人店先で焼き鳥を焼いてるけど、あのお店は女将さんいないと始まらないよ」
それに、と刀は藍色に暮れる空を仰ぐ。空の向こう、星も輝き始めている。
「女将さん一人で山の中にいられたら俺達も心配だしさ、一緒に帰ろう?」
女将が何かを言おうと黒い鼻を上げる。人の言葉を話せず項垂れる女将に、
「……頼むから」
柘榴は手を差し伸べて乞う。
「俺らの憩いの場所に戻ってきてくれねェか、花枝さん」
強面な上にうっかり凄みを帯びる言動で怖い人と誤解されがちな男の不器用な優しさを見せられ、女将は犬の姿のままで笑った。柘榴の手にヒョイと前肢を伸ばし、お手をする。
「ああ、見つけた」
冬空の下で笑み交わす三人の後ろ、心底安堵するばかりの声が聞こえた。
「ここまで走って来たのか、志波の兄さん」
「体力には自信があるからな」
振り返って驚きの声をあげる柘榴に、高久は事も無げに笑ってみせる。緩めたきりだったネクタイを外してスラックスのポケットに突っ込み、犬の姿した女将の前に立つ。逃げてごめんなさいと頭を下げる、中型犬の姿した女将の体を軽々と抱えあげる。
「息子さんと喧嘩をしたそうだな」
人にするのと同じ口調で静かに語り掛ける。
「今回の件で、息子さんも少しはフツウでない事が起こる、ってこと分かっただろう。心配していたぞ、かなり取り乱して……な」
さぁかえろう、と言う高久の今日二度目の言葉に、今度こそ女将は素直に頷いた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月03日
参加申し込みの期限
2015年12月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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