this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
迷子の太陽と彷徨う犬
1
2
3
4
5
…
8
つぎへ >>
「っく……!」
宇佐見 満月
のやる気に満ち満ちた低い声に、男は全身を黄金のクリスマスツリーの如く輝かせながら顔を引きつらせてたじろぐも、夕暮れの路地に足を踏ん張り仁王立つ。
「リア充爆発しろおぉおおおぉ!」
死力を振り絞って雄叫んだ、その瞬間。
「うおぉぉぉぉっ!」
輝く男の前に栗色の髪した小柄な少女がスライディング五体投地した。
「神は居たのだ……」
「え?」
「非リアの神もちゃんと居たのだ~」
店先に並ぶ満月と店員の二人組に向けて居た敵意をまるきり忘れ、男は少女を見下ろす。
「我らが非リアの神が、寝子島に使徒さまを降臨させたのだっ……うおぉぉぉぉっ」
男の足元に縋りつかんばかりの勢いで、
後木 真央
は涙を滂沱と流して男を、否、非リアの神の使徒を拝む。
「え、ちょっ、」
「分かるっっ、分かるのだっ、正しくその通りなのだ」
喜びの涙に頬を濡らし、真央はうるんだ翠の瞳で戸惑い顔の神の使徒を見仰ぐ。今の今まで眩しく輝いて居た使徒さまの尊顔から光が失せているように見えるのは気のせいだろうか。
「リア充滅ぶべしなのだっ」
拳を固く握り締めて高らかに祈りを奉げながら、真央は一瞬、子猫のように丸い瞳を顰める。誰かとナニカ、それこそリア充じみたナニカがあったような――
「うぉぉぉん、使徒さま降臨が遅すぎるのだ~!」
思い出せない誰かとの何かを記憶の彼方に振り切って、真央は号泣しながらトレンチコートにブーメランパンツ姿の男の腰に全力で体当たりした。
心からの信仰をこめた弾丸のようなぶちかましが鳩尾に決まり、男が潰れた蛙の声で呻く。
「非リアの真央ちゃんがどんなに肩身が狭かったと思ってるのだっ! うぉぉぉん!」
恨み言と泣き言を織り交ぜ、声をあげて真央は泣く。腹筋にがっつんがっつんヘッドバッドの嵐を見舞う。
無垢なる祈りと言う名の野獣の如き暴行を浴びつつも、非リア神の使徒はありあまる信仰心に暴れる信徒をやっとの思いで引き剥がした。鳩尾をほとんど涙目で抑え、踵を返す。
「使徒さまー!」
少女の熱い呼びかけを振り切り、非リア神の使徒は心底怯えた全力疾走でその場から逃げ出した。
「真央ちゃん頑張りますのだ」
夕風に翻るトレンチコートの背中に誓い、真央はポケットから取り出したスマートフォンのカメラで神の使徒の背中を激写する。奇跡を目の当たりにした胸の高鳴りを誰かに伝えたくて、
「修ちゃん」
一番に思い浮かんだ親友にメールを送る。もちろん写真も添付して。
『修ちゃん、真央ちゃんは神の使徒に出会ったのだ!』
「神は居たのだ寝子島に神が降臨したのだ真央ちゃんも布教に燃えるのだっ」
メールを打ち込む端から昂ぶる心の内を口からだだもれにしつつ、その通りの文章をスマホに打ち込む。一抹の躊躇いもなく送信ボタンを押す。
「お嬢ちゃん」
「わひゃぅっ?!」
電波を飛ばした夕焼け空を見つめていて、不意に掛けられた声に奇声あげて振り返れば、最初に神の使徒と向き合っていた参道商店街のお好み焼き屋『うさぎ屋』の店主が大真面目な顔で立っている。
「ちょいとお願いがあるさね」
「真央ちゃんにできることなのだ?」
「『ねこったー』ってできるかい?」
頷く真央に、満月はまず自分の名を名乗る。そうしてから、旧市街に出没するトレンチコートな筋肉男たちの情報と、彼らを見つけ出す人手が欲しい旨を書き込んでもらえるよう、できるだけ多くの人々の目に触れてもらえるように頼む。
「お願いさね、真央ちゃん?」
『ねこったー』に情報を書込み、人々に情報を拡散してもらえれば、きっと多くの寝子島の住人たちに危険を知らせることができる。
女将が目にしたという十二人もの破廉恥な悪漢を捕らえる手助けにもなるかもしれない。
(あたしゃこんなハイカラなもんは分からないしねぇ)
くわえたまま忘れていた煙草を携帯灰皿に片付け、店員に頼んで借りた店の固定電話から自分の店に電話をかける。元気よく電話に出た弟に、しばらく姪っ子と共に店番をするよう有無を言わせず命じて、できたかい、と真央を振り向く。
「ぅおわっ?!」
何かを思い出そうとするかのように、どこか呆然と満月を目で追いかけていた真央は、満月と目があった途端、まるで誰かから告白を受けたようにスマホを取り落としかけて慌てた。
「どうかしたかい?」
「なんでもないのだ!」
思い出しかけたナニカを再び記憶の彼方に追いやって、真央は『ねこったー』画面を呼び出す。
「使徒さまを崇める人が増えるかもなのだ! 満月ちゃん、頭いいのだ!」
翠の瞳を輝かせ、意気揚々とねこったーに呟く。撮ったばかりの使徒さまの後ろ姿も貼り付ける。
「拡散希望、なのだ」
「使徒さま、ねぇ」
「使徒さまー! どこにおいでなのだー!」
困ったように頭を掻く満月に満面の笑みを残し、真央は駆け出す。満月とは少し目的が違う気もするが、先ほどの『使徒さま』への礼拝という名の暴行を見た限り、結果は似たようなものになるかもしれない。
「で、あんたは何してるさね」
「えっ、あれ?」
途方に暮れた顔で空っぽの店内を見つめていたかと思えば、知らぬ間に七輪を軒下に引きずり出して手際よく炭に火を入れ始めていた店員を、満月は腕組みして見下ろす。
「女将さんがあんなことになって混乱するのも分かるけどね、あんたがシッカリしなくてどうするさね」
店員を叱り付ける満月の背後を通り過ぎかけた自転車が、急ブレーキで停止する。
「あのっ、」
愛用の自転車から急いで降り、スタンドを立てる間も惜しんで、
宮祀 智瑜
は満月と店員の傍らに駆け寄ろうとする。
「きゃ?!」
慌てるあまり、足が絡んだ。そのまま道にダイブしかける智瑜の肩を、
「っと、」
ひょいと伸びたスーツの逞しい腕が事も無げに抱きかかえて支える。
「大丈夫か」
「わっ、ありがとうございます!」
黒い瞳を丸くして深く頭を下げる黒髪の少女に精悍な頬を静かに笑ませる男に、満月は息を呑む。大抵の荒事にも動じず、むしろ昂ぶりさえする彼女の瞳が乙女のように動揺して潤む。
「志波、さん……」
「ああ、宇佐見さん」
今晩は、と満月にも軽く笑みかけ、
志波 高久
は島に来る度訪ねる居酒屋の店員を見やる。臨時休業の紙が貼られた格子戸を見つける。
寒空の下をここまで旅して来るうちに熱い一杯が恋しくなり、島で馴染みの居酒屋に飛び込もうとしたが――
「女将さんに何かあったんですかっ?」
高久は店員に詰め寄る勢いの少女と、遠慮深げに場を譲る満月の傍らに立つ。
「その話、俺にも聞かせてもらおうか」
「良ければ、私にも」
夕暮れの細道に、気弱そうな声があがる。
「何かあったの?」
「深倉さんか」
「今晩は、志波さん」
凍える風に華奢な肩をすくめ、
深倉 理紗子
はこの店で偶に顔を合わせる男に会釈を返す。時ならず人々の集う古びた居酒屋の店先に歩み寄る。
病院勤務の過労が祟って倒れ、療養休暇を命じられたのが秋の中頃。少しの間だけだったはずが、回復芳しくなく、療養期間は己の焦燥に反してずるずると伸び、一ヶ月に及んだ。焦っても仕方がない、なるようになると思えるまで、心から休めるようになるまで、長くかかってしまった。
ようやく体調が戻り仕事復帰が叶いはしたが、療養は明けたばかり。大事を取ってしばらくの間、勤務時間は短縮されている。以前は深夜だった退勤時間も、だから今日はまだ陽の残るうち。
(『ハナ』で夕食にしようと思っていたのだけれど)
「何だ、今日は臨時休業か?」
「でも、炭の匂いがしてたけどな」
小さく首を傾げる女医の後ろ、粗野にも響く壮年の声と空腹らしい少年の声が響く。
「今晩は、店員さん。焼き鳥……って、何かあったのか?」
足を緩める女医を追い越し、黒髪の少年が七輪の前に何故か正座している店員の傍に駆け寄りしゃがみこむ。空腹に耐え兼ねた表情でここに来た目的の焼き鳥を催促しようとして、
御剣 刀
はぐるりを囲む人々に初めて気がついた。
「どうした、何事だ」
刀に続き、長身の壮年男性が店員の前に立つ。刃のように鋭い瞳、浪人のように結い上げた白髪交じりの髪に筋肉質な体躯、一見まるで暗殺者の風情の男を見上げ、熊の容貌持つ居酒屋の店員はどこか安堵の表情を浮かべた。
「毒島さん」
旧市街にある薬局『アネモネ』の薬剤師、
毒島 柘榴
は、僅かに唇を歪める。不器用に店員に笑いかける。
「持ち帰りの焼き鳥が欲しかったんだが、そうも言ってらんねェようだな」
以前、柘榴の愛する妻は『ハナ』で妊娠を告白した。その時に居合わせた人々から受けた祝福を思い出し、柘榴は苦虫を噛み潰したような顔をする。くすぐったい思いを噛み殺す。
「妊娠中の奥さんにですか? 体調崩されたんですか」
「自宅謹慎中だ」
顔を青褪めさせる店員に、柘榴は首を横に振る。
「あのじゃじゃ馬、妊娠中のストレスですぐに暴れようとするから相手するこっちも大変だ……」
「相変わらずですか」
「相変わらずだよ。で、好物の焼き鳥でご機嫌取りって寸法だ」
それに、と柘榴は眉間に不機嫌な皺を刻む。眼光だけで人を射殺しそうな顔つきをする。
「巷で噂の変質者と遭遇して何かあっても困るしな」
「変質者、ですか」
「ここに来る道すがら、御剣の兄ちゃんに聞いたんだよ。最近ここいらに全身金色に光る露出狂の男が出るってよ」
「それは……」
衝撃を受けた顔で黙り込む店員に、
「前にぶちのめして警察に突き出したんだけど、懲りてなかったんだな」
刀が静かに頷き畳み掛ける。
正にその金色に輝く男の件で女将と口論になったことを悔いて頭を抱え、謝らなきゃと呻く店員に、柘榴が重ねて問う。
「で、何事だ」
「ええと、何から話せばいいのか……」
「全部まるっと話せばいいさね」
まごまごする店員を見かね、こちらも色んなことに色々こっそりショックを受けていた満月が立ち上がる。手短に事情を説明する。
「追いかけなくちゃ!」
女将が犬になって失踪したと知るなり、まず智瑜が顔色を変えた。決意に唇を引き結び、自転車に飛び乗る。
だって『ハナ』は宮祀青果店の常連さん。祖父も『ハナ』の常連さんで、いつも世話にもなっている。それに、
(女将さんを元に戻したいし、理由も知りたいし)
女将が向かったらしい九夜山を仰ぐ。
「参道商店街のみんなに聞いてみます!」
「光る悪漢が出てるから気をつけるさね!」
「はい!」
心配気に声をかけてくれるお好み屋の店主に大きく頷き、智瑜はしょんぼり顔の店員に笑いかける。
「赤毛の犬は目立ちそうですし、きっとすぐ見つけ出せます!」
「ありがとう」
スカートの裾からタイツに包まれた伸びやかな脚を覗かせ、元気よく走り去る宮祀青果店の優しい看板娘に、店員は半泣きで手を振る。
「さて、何処から探すか……」
茜の光に染まる路地へと視線を投げ、高久は栗色の瞳を細める。
(事情を聴く限り……ナニカが起こったのか)
「なんにせよ夜になったら冷え込みも厳しい、探すなら今だ」
「母を捜してくれるんですか」
「心配なのは分かるが店を空にするわけにもいかないだろう、手伝わせてもらおうか」
(……って、ええええ!)
頭を下げる店員に快活に笑う高久の横顔を見上げ、満月は顔には出さずにこっそりショックを受ける。
(志波さん、悪漢退治じゃないんだぁ!)
できれば一緒に行きたかった。そうしてできれば仲良くなりたかった。野球観戦で同席したときから、外見どストライクな彼に一目惚れしていた。
それなのに。それなのに。
「深倉さんも女将さんを探しに行くのか」
「ええ」
恋する男は満月の知らない女性と、満月が見る限り親しげに話し合っている。
「喧嘩して相当に興奮しているわよね。九夜山方面へ行ったと言っても、頭に血が上っている状態ではかなり遠いところ……それこそ山奥へ行ってしまっていてもおかしくないわ」
「そうだな」
しかもどうやら一緒に協力しあって山中を探す方向に話がまとまりつつある様子。
悶々とする気持ちを微塵も顔色には出さず、満月は掌に拳を叩きつける。恋心は一旦胸の奥に封じ込め、悪漢退治に闘志を燃えあがらせる。
夕焼け小道を睨む満月の瞳が捉えたは、燃え上がる夕日の色を背に悠然と駆けて来る、鎧の如き筋肉を纏うた巨漢。
輝く裸身の男の再来かと満月が身構えるも、よく見れば、男は先ほどの悪漢よりも更に一回りは長身な上に分厚い。顔も濃い。目元にはレッドパープルのアイシャドウとマスカラ、割れたセクシーな顎の上の唇には薄紅ルージュ。
「あら、騒がしいわね」
頬紅さした精悍な頬に艶やかな笑み刻み、男はその巨躯に似合わぬ優美な言葉を放った。
「どうしたの、困りごと? あたしに何かお手伝いできるかしら?」
「尾鎌」
「あら、刀ちゃん」
「丁度いいとこに来たさね少年! ちょいと手伝っておくれね!」
見た目に反して刀と同年代な弱冠十六歳、
尾鎌 蛇那伊
少年を見止めるなり、満月は間髪入れず手助けを頼む。
「なあに?」
「事情は道々に話すさね!」
色んなストレスを背負い込み、満月は凶暴な色を瞳に宿らせる。
「そんじゃ、行ってみようかねぇ」
「待って下さい姐さん!」
店員が店の奥から木刀を持ち出し、満月の手に握らせる。
「くれぐれも気をつけてな」
「あっ、うん……」
高久から声を掛けられた瞬間にトーンダウンしつつも、満月は蛇那伊を引き連れて大股に歩み始める。
夕日に去る満月の背を見送りながら、高久はそっと息を吐く。他人に裸体を晒して歩く男の事件も気になりはしたが、そちらの事件にはなるべく関わりたくなかった。
(なんだ……)
歯切れ悪く眼を伏せる。瞼を過ぎるは問題の男と遺憾ながらばっちり重なる身内の姿。
(一切の手加減が出来そうにないからな……)
男を見つけた刹那に殴り倒す未来が容易く予見できた。許すべからざる悪漢とは言え、容赦のない鉄拳を幾重にも、しかもうっかり浴びせてしまうのはしのびない。
「行こうか、深倉さん」
「そうね、志波さん」
寝子島神社方面へと向かう二人に手を振る、相変わらず正座したままの店員の前、刀は改めてしゃがみこむ。
「女将さんには後でちゃんと謝りな。さっき言った通り、女将さんが言ってた変態はマジでいるから」
神妙に頷く店員に、刀は焼き鳥を幾つか包むよう頼む。
「女将さん、お腹空いているかもしれないし」
手を動かしている方が落ち着くと思ったか、店員は大きく頷き、大急ぎで焼き鳥の準備に取り掛かる。
(神魂かそれ以外のナニカかは分からないけれども)
「捜しだして元に戻してやる、任せろ」
高校生の力強い言葉に、取り乱し気味の店員が今日何度目かの涙目になる。
「……ったく、しかたねぇ! 俺も探してきてやるから」
(神魂関連の面倒事かよ)
鬱陶しげに顔を顰めつつ、柘榴は息を吐き出す。あっちでもこっちでも面倒事ばかり、碌でもない状況ばかり。それでも、起こってしまったことは仕方がない。出来ることから片付けていくしかない。
「太一!」
「ッ、ハイ!」
名を一喝され、店員が直立不動で返事する。
「しみったれた顔してねェでちゃんと焼き鳥焼いておけよ!」
1
2
3
4
5
…
8
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
迷子の太陽と彷徨う犬
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
バトル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年12月03日
参加申し込みの期限
2015年12月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!