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ミッドナイト・フリーキー・ショウ! ~モノクローム・ラブ
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【別離】
野外音楽堂の空の下、ピアノは壊れたままで、いくら鍵盤を叩こうと、あの凛とした音を奏でることはありません。
行ってしまった彼と同じように。
時任 彼方の死の真相を、
斑鳩 遙
は知りません。彼の自殺は本当に唐突で、脈絡や予兆も感じ取れず、遺書や書置きのひとつすらありませんでした。大学時代から続く十年来の付き合いがありながら、なぜ気づかなかったのかと、遙は幾夜も自責の念に苛まれながらに過ごしたものです。
親友、などと言ってもその形はひどく歪なもので、彼は遙を独善的に支配したがりました。気紛れに振り回し、手元に置いて束縛し、遙の生活を戯れに引っ掻き回しました。人生をすら弄んだとも言えます。一片の憎しみも抱かなかったと、到底断ずることはできません。
それでも遙が彼の親友であり続け、その人格を否定しなかったのは、ひとえに彼が魅力的な男であったからです。
壊れたピアノの前に座り、鍵盤の上に指を添え、深呼吸。やがて、弾き始めます。当然のこと、いくら遙の指が滑らかに踊ろうとも、壊れたピアノが心躍るような楽曲を奏でることはありません。
音楽の心得などない遙のそれと比べて、親友はまさしく天才的なピアニストであり、それこそが彼を親友と呼び続けた理由のひとつでもありました。
悪魔的、と遙はその業を表現します。彼の音楽の才は、巧みで、緻密で、大胆で、その芸術性はまるで人を翻弄する悪魔のような魅力を持ち、遙を惹きつけました。絡めとられた、と言っても良いかもしれません。容易に離れることは叶わず、遙は彼の奏でるピアノに聞き入り、惚けたように称賛するばかり。
そしてそれこそが、彼にとって遙を側に置きたがる最大の要因でした。音楽の才のみならず、彼はその人柄までもが悪魔的で、遙は彼の自尊心や優越感を満たすための観客、もっとも間近で聞き惚れることを許された最前の聴衆であり、彼の引き立て役に過ぎません。そうと自覚しながらも、遙に彼を親友と呼ばせるだけの、まさに悪魔的な魅力を持つ男。それが、彼でした。
そんな彼の、生前のあの超然とした顔を思い浮かべながら、遙は一心に鍵盤を叩きます。ずぶの素人である遙は本来、ピアノなど弾けません。彼はそれでいい、と遙へ言いました。弾ける必要など無いと。遙はただの観客であり、音を奏でるのはあくまで彼の特権なのです。
だから……ピアノが壊れて音を奏でないことにこそ、今は、救われる思いもあります。あの悪魔のように魅力的な演奏と比較されても、困ってしまうのです。
鍵盤を叩くたび、ひとつ。叩くたび、またひとつ。彼と自身の歩んだ風景を回想しながら、遙は一心に、指を滑らせ続けます。
不意に肩の上へと乗せられた手が、彼のものであるはずはありません。後ろから、遙の肩へと手をかけ、鳴らないピアノを弾く遙の手元をじっと見つめているのが、彼であるはずはありません。時任 彼方は既に、自ら命を絶って久しいのですから。
遙はもちろん、その感触や視線が幻影であることを知っています。気紛れに遠くへと旅立ってしまった親友へと思いを馳せるあまりに、自身の心が見せた泡沫のような錯覚であることを知っています。けれど、都合が良い、とも思います。弔いを届けるべき相手がすぐ側にいて聞いているなんて、これほどに都合の良いことがあるでしょうか。指先へとこもる力も増すというものです。
なおのこと、ピアノが鳴らないことに、遙は感謝します。見よう見まねの拙い演奏を聞かれることに、気恥ずかしさが無いわけではありません……もっとも技術の巧拙など、この場にあってはさして重要なことでは無いのでしょう。大切なのは指先に乗せる感情、思いです。
もし誰かが……例えば彼ほどで無いにしろ、ピアノが得意で親切な誰かが無償でその役割を引き受けようと申し出たとしても、遙は頑として譲ることは無いでしょう。これは遙だけに許された、親友としての……そう。特権なのですから。
今はもういない、彼へと贈るレクイエム。どんなに遠くても、音など無くても、彼ならきっとそれを受け取り、下手くそな演奏を嘲笑するのでしょう。
笑い合うように、遙もまたかすかな笑みを浮かべ、鍵盤を叩き続けます。
届けます。遥か、彼方へ。
ふ、と軽くなった肩の感触。離れていく気配。こつこつという靴音すら聞こえてきそうで……振り返ればきっと、こちらも見ずに、片手を振って歩み去っていく親友の背中が見えたでしょう。
遙はもちろん、それを確かめることもなく、片手を振り返しただけ。
その日を境に、ようやくにして、遙は親友と袂を分かちました。
ピアノの音色は空高く鳴り響き続け……ふと、彼の好んだ鈴蘭の香水の香り、そのたなびく残り香を追って空を見上げたところで初めて、遙はいつしか自分が、月明りに満ちた夜に包まれていることに気付きました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
恋愛
SF・ファンタジー
オールジャンル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年11月28日
参加申し込みの期限
2015年12月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年12月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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