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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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世界滅亡劇場
「はぁ……っ、はぁ……っ！」
屋敷野 梢は走っていた。
天利 二十と別れてひとり、夕方の街を走っていた。
いよいよ隕石の姿が大きく見えてきた街には人影もまばらで、ともすれば何事もない日常に戻ったかのような錯覚さえある。
しかし、そんな感傷はすぐに空に浮かぶ影が打ち消してしまう。向かうべき場所はひとつだ。
「……」
御剣 刀が静かに佇んでいた。
「……ようやく来たか」
寝子高の裏手の小高い丘。刀はこの半日ずっと精神集中をしていた。
「はぁ……ええ、お待たせしました」
梢は軽く息を切らしてここまで来た。
庭に植えたリンゴの種、楽しく過ごした日常、何ということもない、些細な約束。
「覚悟を……決めてきましたよ」
屋敷野 梢は走ってきた。
この世界を、救うために。
☆
「おー、おっさんちょっと時間ねぇか？」
新江 天懸のそんな一言で、天利 二十はキャッチボールに付き合っていた。碧南と梢と別れた後の天利に予定などあろう筈もない。
そろそろ隕石が落ちてこようかという夕暮れに、公園でキャッチボールを楽しむ風景は一種異質なものだったが、ふたりは何も気にしていなかった。
「なぁおっさん、あんたこれからどうすんだよ」
ボールを放った天懸が聞いた。
「どうもしない、部屋戻って酒飲んで寝る」
ボールを取った天利が答える。
そのあまりといえばあんまりな返答に、天懸は軽く吹き出した。
「ぶはっ、おっさんらしいな。世界の終わりだっつーのに、逃げたり慌てたりしねぇのかよ」
返って来たボールをまた投げる。
「ああ、そういうのはまだやりたいことがある奴がするもんだ」
ばしっ、と天利から強めのボールが返って来た。天懸はそれに合わせて少し強めのボールを投げた。
「枯れてんなぁ、おっさんには何もねぇのかよ？」
「……んー、少なくとも、一日でできることじゃねぇなぁ……そういう坊主にゃねぇのか？」
また強くなったボールが返って来た。
「……」
ぱしっ。
「……」
ぱしっ。
「おっさん……俺さ」
「ん？」
「ずっと野球やっててさ、昔」
またボールを投げる。
「へぇ。初耳だな」
返って来る。グラブへの衝撃が心地いい。
「言ったことねぇからな……やっぱこう、身体動かしてねぇと駄目なんだって。こんな時でも……さっ！」
天懸が放ったボールが一直線に天利のグラブに納まり、気持ちのいい音が鳴った。
天利はボールを返さない、天懸は自分のグラブを外して公園を見渡した。誰かが終末の知らせに捨てていったのだろうか、野球用の金属バットが落ちていた。
「９回裏、２アウトか……」
天懸はそれを拾った。軽く振ると空を切る音が力強く響く。
「よっ」
軽く右耳を引っかく天懸。耳からの血が指先に付着し、そのまま近くに投げ捨てられていた角材に触れ、組みなおす。
天懸のろっこん『アンハッピーバード』は右耳からの血が手に付着した状態で物体に触れることで、その対象をガラスに変えることができる能力だ。それを利用して、空中にガラスの階段を作り上げた。
「……ピッチャーだったからな。バッティングの練習は退屈だったけどよ……」
その階段を昇りながら呟く。
透明なガラスの階段は、まるで天懸が空中に浮かんでいるような錯覚を与える。
天利はふたり分のグラブとボールを持ったまま、天懸を見上げていた。
「ま、あれだけでけぇ球だ。今なら打ち返せるだろ」
天利とキャッチボールをしている時に、ふと浮かんだ天懸のひらめき。それはこの世界での彼の『秘密』の力であった。
まっすぐにバットを伸ばし、隕石を指す。
「見てろよ……宇宙の果てまで飛ばしてやるからよ！」
☆
「ふぅ……まだ先は長いのだ……」
後木 真央は小さな祠に手を合わせ、祈りを捧げた。
「オネコサマ……隕石から世界を守る人たちを助けてください……その願いに、力を貸して下さいなのだっ」
真央は仲間と別れてから、ひたすらに寝子島中の神社を回っていた。
もちろん、何のアテもなくただ神頼みをしているのではない。
「幸運を……授けて下さいなのだ……」
寝子島には人々を癒し幸運を授ける猫の神さまが多数存在する。
この世界では、少なくともそうだ。
真央はその猫神様に仕えるする猫の使途なのだ。
日頃は寝子島中の猫……おネコさまに奉仕して、猫神様が幸せを集める手伝いをしている。それが、この世界における真央の『秘密』だった。
そして今こそ、その溜め込んだ幸運の力を使う時だと真央は判断した。
時間はない。急いで寝子島の神社全てを回って猫神様へと願いを掛けて回らなければ。
「真央ちゃんは……こっちで待ってるのだ。だから……みんな、がんばるのだ！！」
迫り来る隕石を眼前にして、真央はまた祈りを捧げた。
屋敷野 梢は走っていた。
天利 二十と別れてひとり、夕方の街を走っていた。
いよいよ隕石の姿が大きく見えてきた街には人影もまばらで、ともすれば何事もない日常に戻ったかのような錯覚さえある。
しかし、そんな感傷はすぐに空に浮かぶ影が打ち消してしまう。向かうべき場所はひとつだ。
「……」
御剣 刀が静かに佇んでいた。
「……ようやく来たか」
寝子高の裏手の小高い丘。刀はこの半日ずっと精神集中をしていた。
「はぁ……ええ、お待たせしました」
梢は軽く息を切らしてここまで来た。
庭に植えたリンゴの種、楽しく過ごした日常、何ということもない、些細な約束。
「覚悟を……決めてきましたよ」
屋敷野 梢は走ってきた。
この世界を、救うために。
「おー、おっさんちょっと時間ねぇか？」
新江 天懸のそんな一言で、天利 二十はキャッチボールに付き合っていた。碧南と梢と別れた後の天利に予定などあろう筈もない。
そろそろ隕石が落ちてこようかという夕暮れに、公園でキャッチボールを楽しむ風景は一種異質なものだったが、ふたりは何も気にしていなかった。
「なぁおっさん、あんたこれからどうすんだよ」
ボールを放った天懸が聞いた。
「どうもしない、部屋戻って酒飲んで寝る」
ボールを取った天利が答える。
そのあまりといえばあんまりな返答に、天懸は軽く吹き出した。
「ぶはっ、おっさんらしいな。世界の終わりだっつーのに、逃げたり慌てたりしねぇのかよ」
返って来たボールをまた投げる。
「ああ、そういうのはまだやりたいことがある奴がするもんだ」
ばしっ、と天利から強めのボールが返って来た。天懸はそれに合わせて少し強めのボールを投げた。
「枯れてんなぁ、おっさんには何もねぇのかよ？」
「……んー、少なくとも、一日でできることじゃねぇなぁ……そういう坊主にゃねぇのか？」
また強くなったボールが返って来た。
「……」
ぱしっ。
「……」
ぱしっ。
「おっさん……俺さ」
「ん？」
「ずっと野球やっててさ、昔」
またボールを投げる。
「へぇ。初耳だな」
返って来る。グラブへの衝撃が心地いい。
「言ったことねぇからな……やっぱこう、身体動かしてねぇと駄目なんだって。こんな時でも……さっ！」
天懸が放ったボールが一直線に天利のグラブに納まり、気持ちのいい音が鳴った。
天利はボールを返さない、天懸は自分のグラブを外して公園を見渡した。誰かが終末の知らせに捨てていったのだろうか、野球用の金属バットが落ちていた。
「９回裏、２アウトか……」
天懸はそれを拾った。軽く振ると空を切る音が力強く響く。
「よっ」
軽く右耳を引っかく天懸。耳からの血が指先に付着し、そのまま近くに投げ捨てられていた角材に触れ、組みなおす。
天懸のろっこん『アンハッピーバード』は右耳からの血が手に付着した状態で物体に触れることで、その対象をガラスに変えることができる能力だ。それを利用して、空中にガラスの階段を作り上げた。
「……ピッチャーだったからな。バッティングの練習は退屈だったけどよ……」
その階段を昇りながら呟く。
透明なガラスの階段は、まるで天懸が空中に浮かんでいるような錯覚を与える。
天利はふたり分のグラブとボールを持ったまま、天懸を見上げていた。
「ま、あれだけでけぇ球だ。今なら打ち返せるだろ」
天利とキャッチボールをしている時に、ふと浮かんだ天懸のひらめき。それはこの世界での彼の『秘密』の力であった。
まっすぐにバットを伸ばし、隕石を指す。
「見てろよ……宇宙の果てまで飛ばしてやるからよ！」
「ふぅ……まだ先は長いのだ……」
後木 真央は小さな祠に手を合わせ、祈りを捧げた。
「オネコサマ……隕石から世界を守る人たちを助けてください……その願いに、力を貸して下さいなのだっ」
真央は仲間と別れてから、ひたすらに寝子島中の神社を回っていた。
もちろん、何のアテもなくただ神頼みをしているのではない。
「幸運を……授けて下さいなのだ……」
寝子島には人々を癒し幸運を授ける猫の神さまが多数存在する。
この世界では、少なくともそうだ。
真央はその猫神様に仕えるする猫の使途なのだ。
日頃は寝子島中の猫……おネコさまに奉仕して、猫神様が幸せを集める手伝いをしている。それが、この世界における真央の『秘密』だった。
そして今こそ、その溜め込んだ幸運の力を使う時だと真央は判断した。
時間はない。急いで寝子島の神社全てを回って猫神様へと願いを掛けて回らなければ。
「真央ちゃんは……こっちで待ってるのだ。だから……みんな、がんばるのだ！！」
迫り来る隕石を眼前にして、真央はまた祈りを捧げた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年11月29日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年12月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年12月06日 11時00分
