『さすがにこれだけ溜まってくると、分けなきゃならないか』
「――?」
誰かの声に、君は振り返る。
もちろんそこには誰もいない、眼前に広がっているのはいつもの寝子島だ。
「気のせいかな」
君は元の方向を向き直った。季節は初冬、少し肌寒くなってきた。そろそろ冬物のコートを出さなければならないだろうか。
そんなことを考えていると、なんとなく今日の天気が気になった。もちろん雪はまだ降らないだろうが、雨なら降るかもしれない。
「――」
けれど次の瞬間、君の思考は真っ白になる。もはや今日の天気などどうでもいい。
何故ならば、空を見上げた君の両目に映ったのは、今にも落っこちてくるように見える巨大隕石だったからだ。
「……なんだよ、これ」
呟けるのはその程度。何が起こったかなど分かるはずもない。
だが、これだけは分かる。あと数十時間――おそらく一日もあれば、あの隕石はここに落ちてくる、ということだ。
理由は分からない。いや、そもそも隕石が落ちてくることに理由などはないのだ。
その隕石はあまりに巨大で、寝子島を目がけて落ちてくることはすぐに予想できた。
だが、あれがひとたび落ちてしまえば寝子島どころの騒ぎではない。落下の衝撃による地震、津波と共に巻き起こされる災害によって、地球全体が影響を受ける。
その結果、地球上の生物は全て死に絶えるだろう――地球という星は、死の星となるのだ。
「そんな……どうして」
理由などないと分かっていながら、君は呟くかもしれない。
あまりに唐突に突きつけられた現実に崩れ落ちてしまうかもしれない。
だが思い出してほしい。
君たちには、この現状を打破する力があるということを。
「そうだ……思い出したぜ。どうして忘れてしまっていたんだ」
さぁ、立ち上がれ。そして、その拳を振り上げろ。
「実は俺は○○だったんじゃないか!!!」
そして、この寝子島と地球を――救ってくれ。
みなさんこんにちは、まるよしと申します。
今回は神魂の影響により、巨大隕石が落下してくることになりました。
あまりに影響力が大きいため、テオドロス・バルツァが世界を分けてくれましたので、皆さんはそちらの世界に入っています。
ガイドには登場しましたが、今回リアクション内にテオは登場しません。アクションをかけられても無駄になってしまいますので、ご注意ください。
さぁ、皆さんは迫り来る巨大隕石を何とかして、この世界を救うことが出来るでしょうか?
◆隕石について
落下したら地球がほぼ滅亡できる隕石のサイズは、直径約1km程度だそうです。今回、寝子島を目がけて落ちてくる隕石のサイズは直径10kmほどのサイズです。落下すれば確実に地球は滅ぶでしょう。
接近速度は比較的ゆっくりで、肉眼で目視できるようになってから実際に落ちてくるまでは約一日かかります。
皆さんは、隕石が落ちてくるまでの間にしたいことをしておく必要があるのです。
◆実は○○?
このシナリオに限り、皆さんはひとつだけ特殊な『秘密』を持つことが出来ます。
『実は私は○○だったんだ』という『秘密』をアクション内で自由に宣言することで、PCは事態を解決するための都合の良い設定を付加することができます。
『もれいび』であれば、自分のろっこんを『超強化』することができます。例えば肉体強化系のろっこんにこの秘密を使えば、隕石を粉砕できるかもしれません。どうやって宇宙に行くかはまた別問題ですが、色々と工夫してみてください。
また、自分のろっこんにはない方向性の能力を付加することもできます。ですが、自分のろっこんと秘密の方向性を合わせたほうが、力は強く発揮できるでしょう。ろっこんを『超強化』する場合は、秘密の設定にさほど凝る必要はありません。勿論、凝っても構いません。
『ひと』であればろっこんを強化することはできませんが、自分に都合の良い『設定』を付加することができます。『実は天才科学者』『実は某国大統領』『実は宇宙人』『実は超能力者』など、自由に考えてください。その立場を利用して、なんとか隕石の衝突を回避するのです。その立場に合った一般的な施設な権限などを行使することができます。ただし、他PCの行動を制限する目的で行使することはできません。
『ひと』が『超能力者』になって超能力を使うことはできますが、その場合『もれいび』がろっこんを『強化』した力には遠く及びません。
『もれいび』であっても『設定』を付加することはできますが、その場合ろっこんの『強化』はできません。
複数人のPCで協力しあえば、より効果を発揮することができるでしょう。
◆したいこと
『明日世界が滅ぶとしたら、何したい?』
定番の命題ですが、今回はこれを楽しむことができます。静かに最後の時を迎えるのか? その時隣にいるのは誰でしょう? 最後の食事は? それともあくまで解決策を求めて走り回るのでしょうか? 時間は一日あります。
必ずしも『秘密』を使って隕石衝突を回避するだけではありません。こういう状況になった時、PCはどうするだろうか、というロールプレイもできるでしょう。
◆神魂の影響
この世界にはPC以外の一般人も普通に存在しますが、隕石の衝突が回避された時、この世界は閉ざされ、人々の記憶は封印されます。参加PCの記憶は残っていても構いませんが、それにより『地球を救った』という功績が誰かに認められることは一切ありません。この事件は『なかったこと』になるのです。
◆NPCについて。
前述しましたが、テオドロス・バルツァは登場しません。
NPC天利 二十はアクションをかけられた方がいればとりあえず登場します。
◆アクションについての目安。
アクションをかける際、PCの台詞や心情を交えて下さると、キャラクターの雰囲気を掴みやすいです。
そのPCが何をしたいのか、そのために何をするのか、という目的と手段をはっきりさせるとGMとしても行動を取らせやすく、その目的を叶えやすくなります(あくまでも目安、ですが)。
今回は特殊ルールがありますので、色々と工夫を凝らすことで、より楽しい物語になると思います。
今の時刻はだいたい朝の登校時です。はたして明日の朝陽は無事に地球を照らしてくれるでしょうか?
では、今回も楽しいアクションをお待ちしています。よろしくお願いいたします。