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さまよいアルク 第三章~かそけき生命を慈しむ地下樹木園
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【森】
ひらひら。一匹の蝶が、暗がりの中を飛んでいきます。
空間は螺旋状にぐるぐると、上方へと向かって伸びているようです。一定の間隔で壁からぽこんと生えている、小さな発光植物の放つぼんやりとした青い明かりだけが唯一の光源であり、道しるべとなって、蝶を導いています。
ひらひら、ひらりと飛び続けるうち、やがて……頭上から差し込む、もうひとつの光。それは上へ、上へと飛んでいくにつれて、徐々に強さを増していくようです。
蝶はひらひら、惹き付けられるように、白い光へ向かって飛んでいきます。
宝石について何か知っているのでしょう、ツリーアンたちへの聞き込みは、けれど実に悩ましい問題を抱えているのです。
「アルクを怖がってるなら、ひとりで話を聞いてみようかとも思ったが……」
所在なく頭をかいた
御剣 刀
。白黒猫、あるいはその首に提げた宝石を見るなり怯えて、ことに肝心なところになるともごもご、いまひとつ会話がおぼつかないツリーアンと意思の疎通を図るためには、確かに彼の言葉も道理……ではありますけれど。
「アルクがいないと、言葉、分からないですね……」
フィリップ・ヨソナラ
もまた、ちょっぴり困り顔。
ふたりの視線は、
綾辻 綾花
がむぎゅっと抱いている、アルクへ。白黒猫は綾花の腕の中がたいそうお気に入りなのか、刀やフィリップの苦悩をよそに、熱心に前足の毛づくろいなどしております。
「アルクの宝石に記憶されている映像を呼び出す方法を、聞いてみたかったんだけどな。飼い主のメッセージがあったりするかもしれないし」
「ファシナラさん、やってたみたいにですか? ツリーアンさんたち、やり方、知ってるでしょうか……」
荒野で出会った夫婦は、彼らの持つ宝石を、何か特殊な粉末のようなもので灯した明かりで照らすことで、そこに記憶された映像を再生して見せてくれました。ただ、彼らの用いた手法を再現するには、知識も素材も全く足りないのが現状です。
「まぁ、ツリーアンがローシルティウムを知ってるとしても、持ち歩いたり利用してるわけじゃなさそうだからな。そこにはあまり期待できないかもしれないが……」
「やっぱり、外に出てみるしか無さそうだな」
静かに言ったのは、
毒島 林檎
です。
彼女が指差したのは、周囲をぐるりと覆っている岩盤に、一カ所だけ。ぽっかりと開いた、ツリーアンでも通れそうなほどに大きな横穴。どうやらそこから、外に出ることができるらしいのですけれど。
「動物たちは外のことを何も知らないというし、ツリーアンたちはあの調子だ。聞いても教えてもらえないのなら、自分で確かめてみるしかないだろ(『アルクちゃんとか、ローシルティウムの手がかりがあるかも!』)」
「ツリーアンさんたち、外出るの、嫌がるみたいです……でも、僕も知りたいです。ローシルティウム、悪いものなんでしょうか? 怖い言い伝えがあるとか……もし、いやなものだったら。アルクや僕たち、大丈夫でしょうか?」
うなずいたフィリップの言うように、確かに。茜色の宝石について、知っておくべきではあるのでしょう。アルクの首輪を彩るこれが、単純に綺麗なだけの石では無いことは、旅を続ける彼らにも少しずつ、分かってきたところです。
「あのう」
ぴ、と小さく手を上げたのは、綾花。アルクがつられて、にゃあとひと声。
「私も、外には興味があったんです。なので……あちらに付いていくのは、どうでしょう?」
彼女が示した先を見れば、忍び足で先を行く、見知った背中がありました。どうやら他にも、同じことを考えている仲間がいたようです。
結果、探索隊は、思いのほか大所帯となりました。
「それだけ興味があったということだろうな。みんな、気付かれないようにな?」
「はーい、修くん!」
子猫のブラックを抱いた
八神 修
が先頭に立ち、連なる一行へと呼びかけますと、
鴇波 羽衣
が元気にお返事。
ゆっくりと前を歩く、他と比べてもひときわ立派に茂った、大きなツリーアン。岩盤に開いた大穴をくぐり、どこかへ……恐らくは外へと歩いて行く樹木人を、彼らは尾行しているのです。
「ちょっとだけ、罪悪感はあるけど……やっぱり、好奇心が勝っちゃうもんね」
「俺たちには必要な情報が得られるかもしれないしな。仕方がないさ」
ちらと振り返れば、合流した刀やフィリップ、林檎に綾花、それにアルクが後に続き。さらには、
「みんな、考えることは同じってことか。何か分かると良いんだが」
やっぱり今回は真面目モードな
志波 武道
に、こちらもきりりとした顔の
呉井 陽太
。
「危ないところかもしれないから、気を抜かないようにしないとねぃ……」
「でも何があんだろーなー、おっそうだ! アルクだっけ、おやつ食うか~? ほーらほら」
「うーんいつも元気で、頼りがいがあるナァー春彦君☆」
唐突に放り出された異世界の旅を満喫している、
楢木 春彦
。彼はアルクとも瞬く間に打ち解けたらしく、差し入れに持ってきた木の実など、ひょいと口へ入れてやったりしております。
一行は、ツリーアンに気付かれないよう適度に距離を開けながら、螺旋状にぐるぐると巡るスロープを上へ、上へと登っていきます。
刀、それに林檎といった腕に覚えアリな面々は、ちょっぴり警戒しつつ、
「さて、何が出てくるか」
「動物たちを狙う外敵がいたり……もしくは、この施設は何かの実験場で、監視役がいたりしてな(『気を引き締めていこうね!』)」
林檎と共に治癒能力を持つフィリップも、きゅっと口元を結んで、
「何かあったら、すぐ、治します!」
「頼りにしてるぞ。ああ……光が見えるな。もう少しで出口か」
差し込む白い光に、少し目を細めた修。歩みを進めるたび、強くなっていく明かりは、確かに彼らへ、居心地よくも岩盤に覆われた空間からの、一種の解放感を感じさせてくれました。
「あ! 出口みたいだよー、あそこ!」
羽衣が言って、たまらず、駆け出します。
そうして……彼らは楽園の外、その光景を目にしました。
「……ああ。みなさん、来たんですねー」
一足先にたどりついていたらしい、
屋敷野 梢
の乾いた声と同じくらいに、乾いた空気。
あたりには、緑……地下でこれでもかと背丈を伸ばした大樹林に比べれば、ずいぶんと細く貧弱ではあるものの、木々がぽつり、ぽつりと並んでいます。近くには小さな水場もあり、甲殻のような鱗を持つ奇妙な小魚が、群れを成して泳いでいるのが水底に見えました。どんなに荒廃した土地が広がっているのかと思いきや、地上にもまたこじんまりとながら、自然を目にすることができました。
ただ……彼らが思わず凝視し、言葉を失ってしまったのは、それらのためではありません。
梢が目線を投げた先を、彼らもぽかんと口を開け、見つめます。
「……何だ? あれは……」
「これはちょーっと、想像以上だったかもねぃ……」
つぶやいた武道や陽太にだって、地上に広がっているであろう可能性について、いくつかの予想はありました。けれどそのいずれとも違って、目の前……遠く、数百メートルも向こうに見えるそれは、思いも寄らない光景であったでしょう。
春彦が指を差し、尋ねました。
「なあ。ローシルティウムって……あれのことじゃねぇの?」
それは、言わば……茜色の輝きを放つ、森。
無数の、巨大な、あまりにも巨大な、ローシルティウムの結晶たち。それらが前方、草原の向こうにいくつも、いくつも。数えきれないほど……地平線を余さず覆うほどに、地へ突き立っています。
螺旋階段の出口である穴の後方には、ひっそりとした林が続いていて、まるであのローシルティウムの森は、全てを飲み込まんとしてこちらへ広がってきているような。その、途上であるようにも見えました。
「……やぁれやれ。今度のぉ、新入りはぁ……イタズラ好きだとぉ、聞いておったがなぁ」
ぬう、とあっけに取られた彼らの上から覗き込んだのは、あのツリーアンです。彼はアルクを恐れず、と言うよりどこか諦観のようなものを覗かせながらに、瞳には他の樹木人と比べてもいくらか理知的な輝きが宿り……そして茜色の結晶群を、悲しそうに眉を寄せて眺めます。
「昔、むかーしのことだがぁ……わしらはぁ、あのあたりの森にぃ……住んでおったのよぉ」
「森……? あの結晶に覆われたところは、昔は森だったのか?」
刀が尋ねると、ツリーアン……他の樹木人と比べてもより大きく、長老とでも呼ぶべき存在であるらしい彼は、旅人たちへと語ってくれました。
「あの、『ろーしるてぃうむ』はぁ……ある日、突然、現れたぁ。地面からぁ、ぽこ、ぽこ! となぁ。結晶はぁ、少しずつぅ、少しずつぅ……大きくなっていったぁ。広がっていったぁ。わしらはぁ、森をぉ、捨ててぇ……逃げるしかぁ、無かったぁ」
いわく。かつてはこのあたりも、見渡す限りに森が広がっていたそうです。そこでは天にも届かんばかりの大樹がそびえ、自然の恵みは動物たちを健やかに育み、穏やかで豊かな森に包まれて、彼らは生命を謳歌していました。
けれど、やがて前触れも無く、変化が訪れます。現れた茜色の結晶群は、森の樹々や、泉や、そこに暮らす生き物たちや、何もかもを飲み込みながらに数を増やし、広がっていきました。
「……『
ツチボタル
』だぁ」
「ツチ……なんですか?」
唐突に飛び出した単語。耳慣れない言葉。梢が身を乗り出し、聞き返します。
「わしらにもぉ、あれのことはぁ、ようわからん……あれはぁ、石の中におってぇ……見えんくらいにぃ、小さくてぇ……少しずつ、少しずつぅ、這い出てきてはぁ、石をぉ、育てるぅ」
「石の……ローシルティウムの、中に……?」
旅人たちの視線は自然と、アルクの首元へ。にわかに注目を浴びて白黒猫が首をかしげて、みぃと鳴き……ツリーアンは、語り続けます。
「わしらはぁ、思ったよぉ。このままじゃぁ、わしらと仲良しのぉ、動物たちがぁ、おらんくなってしまうぅ……」
森を形作っていた大樹たちに、ぼんやりと自我が芽生え始めたのは、その頃だったといいます。
枝や根を絡ませ手足を形作り、動き回ることができるようになった彼ら、ツリーアンは、結晶の広がりから逃れて、森の動物たちを伴い遠い地へと移り……逃れ逃れて。地上にはもはや、先々にまで安穏と暮らせる場所は無いと確信した彼らはやがて、地面に穴を掘り始めました。
そうして彼らの育ててきた、地下樹木園に息づく生命たちは、結晶に飲まれた森から連れ出すことの出来た動物たちの、最後の末裔なのだそうです。
「じゃがぁ……それでも、いずれはぁ……ここもぉ、あの石たちにぃ、飲まれるのだろうなぁ……何千年先かぁ、何万年先かぁ……それともぉ、何十万年先かはぁ、分からんがぁ……」
「……えっ。何千? 何万年?」
羽衣がふと、きょとん、目をしばたかせながらに聞き返します。
ツリーアンの語る話が、想像もつかないほど……途方もない年月を経て綴られてきた、いわばこの世界の歴史そのものであることに、旅人たちはようやくこの時になって気付きました。
茜色の美しい宝石、ローシルティウムに付きまとう、滅びの陰。けれどそれはとてつもなくゆっくりと進行するものであり、側にあるだけですぐにも影響を及ぼすようなことは、どうやら無さそうです。
「わしらはぁ、ここにぃ、新しい森を作りぃ……動物たちはぁ、生き残るためぇ、様々にぃ、形を変えてきたぁ……それでもぉ、終わりはぁ、いつかぁ、訪れるのだろぉ。だがぁ、それはまだまだぁ、先のことぉ……わしらはぁ、これからもぉ、ずっと、ずっとぉ……わしらの大好きなぁ、動物たちのためにぃ、働き続けるつもりだぁ」
優しいツリーアンはそう言って、彼らへにっこり、微笑みました。好奇心旺盛で一風変わった新入りも、彼ら樹木人たちにとっては、大切な隣人とそう変わりは無いのでしょう。
物言わず、遠くを見つめた旅人たちの瞳の中へ、きらきらと。茜色の結晶たちはただ、まばゆく光を返しながらに、美しく輝くのみです。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月25日
参加申し込みの期限
2015年11月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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