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さまよいアルク 第三章~かそけき生命を慈しむ地下樹木園
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【大樹の育むもの】
「面白そうですねー。私もご一緒していいですかー?」
との申し出は、
屋敷野 梢
。
彼女が不意に声をかけた相手は、アルクを小脇にひょいと抱えた、
オーデン・ソル・キャドー
です。彼には、できることならこの世界で済ませておきたい用事があるとのこと。
「お嬢さんは、生き物に興味がおありなのでしたね。こちらの世界の植物、樹木についても知っておきたい、というところでしょうか?」
「そんな感じですねー。そちらが良ければ、ですけど」
「もちろん、構いませんとも」
学生たちとすれ違いに、失礼して少しの間預かってきたアルクが首をもたげて、にゃあ。ひとつ鳴いて、見上げれば……わさわさといっぱいに茂った葉っぱを揺らしながらこちらを覗き込む、ツリーアン。彼はオーデンの頼みによってこの場にいるものの、あまり大っぴらに近づいてこないのはやはり、アルクの首輪にある宝石を怖がってのことなのでしょう。今は葉っぱのポーチに包まれて見えないものの、それは変わりが無いようです。
オーデンは恭しく一礼して、
「申し訳ありません、この猫がいなければ、あなたがたの語る言葉を理解できないもので。悪戯に怯えさせるつもりは無いのです」
「……うぅぅ。わ、分かったぁぁ……丈夫なぁぁ、枝がぁぁ、欲しいんだったなぁぁ。ついて、来なさいぃぃ……」
ぐるり、ゆっくりと向きを変えて歩きだしたツリーアンの後に続き、ふたりも小さくうなずきあって、葉っぱの折り重なった道を歩き始めます。
程なく、ツリーアンに導かれてたどりついたところは、あの薬草湯からも程近いあたりの、静かで奥まった森の中です。
「樹木人であるあなたにお願いするのは、倫理的にも迷うところではありますが……あなたがた以上に木にお詳しい方も、他にいないだろうと思いましてね」
「気にぃぃ、せんでぇぇ、いいぞぉぉ……わしらぁぁ、いつもぉぉ、こうしとるからなぁぁ……」
巨大なツリーアンが、そびえる大樹の見事な枝振りを選別している間に。オーデンの傍らに立つ梢は、濃密な森の香りを胸いっぱいに吸い込み、
「……んー! さすが、楽園と呼ばれてるだけありますね。草花や樹々も、動物たちも、のびのびと健やかに育ってる……って感じですねー」
と。そんな感心したような言葉とはちょっぴり裏腹な、複雑そうな表情を浮かべます。
オーデンがそれに気づいて、
「どうしました、お嬢さん。何か気になることでも?」
「んん~……」
梢は、思考を深めるそぶり。
彼女にはどこか、何か。この素晴らしく過ごしやすい世界に、引っかかるものを感じているようなのです。
「なんか、こう……この場所って。この世界の、本質っぽくない感じがするんですよね……」
「本質、ですか? ふむ。よろしければ、あなたのご意見を聞かせていただけますか?」
ゆっくりとした動きのツリーアンが、ちょうど良い枝を見つけてくれるのには、まだ少しばかり時間がかかりそうです。オーデンは手近な木のうろの縁に腰かけると、アルクを膝の上に乗せて、梢を見つめます。
彼女は目を細めて、難しい顔。
「ここは一見、生命が満ちあふれているように見えますけど。どこか、退廃的というか……例えるなら……そう。夢の国!」
「なるほど、言いえて妙ですね」
「ええ、でもだとしたら……夢の外は? 一体、どうなっているんでしょう?」
森の周囲を取り巻く、いかにも厚そうな岩盤を、ふたりは眺めます。この場所が地下洞窟の中であるなら、当然のこと、その外にだって何かがあるはずです。それが一体、どんなものであったとしても。何かが。
「取り繕った笑顔の裏には、悲しい事象があるものです。そういうものでしょう?」
「あの岩盤の向こうには、そんな現実が待ち構えている……と?」
「かもしれません」
穏やかで、素敵な世界。その裏に、何か、隠されているものがある。そんな確信を胸に、
「……知る必要がある。そんな気がするんです。アルクちゃんや、あの宝石の謎、その手がかりを得るために。知っておくべきだという気がするんです。たとえ、予想は予想のままにしておいたほうが幸せだったとしても……」
そう言い残して、梢は、ひらり。一匹の蝶へと姿を変えて、ひらひらとどこかへ飛び去っていきました。
思い返せば、この世界へとやってきてすぐのこと。洞窟の外について尋ねてみた仲間へ、ツリーアンたちは眉を下げ、渋い顔をして黙してしまったのを、オーデンも見ていました。
(夢の世界、ですか。思えばこの旅も、あの茜色の宝石と宝石を……他人の記憶や夢を、茜色の糸をたどって旅しているような感覚ですね。終着点はどこなのか、行き付く先には何があるのか)
腕の中、相も変わらずのんきにあくびをする白黒猫が、一体自分たちをどこへ導こうとしているのか。まだ誰にも、さっぱり分からないというのが現状です。
(確かに、それを解き明かすための、きっかけが欲しいところではありますが……)
「……おぉぉ。こいつはぁぁ、上等な枝だぁぁ。これならぁぁ、お前さんの、杖もぉぉ。良いもんにぃぃ、仕上がるだろぉぉ……」
ゆっくり、ゆっくりなツリーアンが掲げて見せてくれたのは、しなやかで頑強そうな枝の一振り。地球では鉄の木などとも呼ばれる紫黒檀を思わせる、オーデンの目からも、大変に見事なものであることが分かりました。
「これは……素晴らしい。これ以上のものは考えられないでしょうね」
「そうかぁぁ、そりゃぁぁ、良かったぁぁ。じゃぁぁ、わしがぁぁ……お前さんにぃぃ、ぴったりのぉぉ、ステッキをぉぉ……こしらえてぇぇ、やるからなぁぁ……」
「感謝します。おっと、こちらの真鍮飾りと、鋼製の石突はそのままでお願いできますか? 愛着がありましてね」
「わかったぁぁ。わしにぃぃ、任せろぉぉ」
ありがたくも、自ら仕上げまでしてくれるというツリーアンに、傷んだ杖を手渡し、オーデンは帽子を取って感謝の意を示します。
森の奥にある作業場へ向かうという樹木人について歩きながら、そろそろ抱かれているのも飽きてきたらしいアルクを葉っぱの道へ下ろすと、彼はとてとて、弾むような足取りでオーデンの傍らを歩き始めました。
そんな白黒毛並みを眺めながら、オーデンは、思います。
(……お嬢さんの探求心が実ることを祈りますよ。とはいえ私には、この素晴らしい旅を、もう少し。皆さんと一緒に続けていたい……そんな気持ちもまた、あるのですがね)
その後。器用なツリーアンの手によって切り出された枝は、磨かれ、形を整えられ、細やかな気配りによる様々な調整を施され。やがて、オーデンのためのただひと振りのステッキとなって、彼の手の中に収まりました。新しいステッキは、使い慣れた猫の飾りと石突がもたらす変わらない安心感と、新鮮で芳醇な木の香り、確かな堅牢さと信頼感を伴って、ぴったりと吸いつくように手に馴染みました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
前回シナリオ
さまよいアルク 第二章~太陽と月を孕む鏡面湖へ至る荒野
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
動物・自然
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月25日
参加申し込みの期限
2015年11月01日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月01日 11時00分
参加キャラクター一覧
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