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「お帰りなさいませ」
ホワイトブリムでまとめた白い髪と清潔感溢れる白いエプロンを揺らし、群青の瞳を笑みに細め、
北条 冬華
が丁寧なお辞儀で出迎えたは、
「ただいま」
メイド兼モデルとして仕える
桜 月
。
白銀の長い髪を黄昏の風になびかせ、月は黄昏よりも紅い瞳をどこか夢見るように瞬かせる。いつもはメイドが数人並ぶ出迎えが冬華ひとりであることにも気付かぬ素振りで、手にしていた日傘を冬華に渡す。
銀糸の髪に縁取られた、抜けるように白い頬がふわり赤く染まっている。
(……大丈夫でしょうか)
色素が極端に少ないため太陽に弱い月を心配して、冬華は優しげな眉を僅かに寄せる。陽光少ない時間を見定め、念には念を入れて日傘を差して歩いているとは言え、そうまでしても尚、彼女の肌は紫外線に過剰な反応を示す。
月さん、と声を掛けようとして、冬華は唇を噛んで声を殺す。こちらには見向きもせずに自室へと向かう月の姿に、見覚えがある。夢見るような、上の空な瞳。服のデザイナーになる夢を目指し、一心にデザイン画を描き続けている彼女の華奢な背を、冬華は黙して見送る。きっとまた、何かいいデザインをたくさん思いついたのだろう。
「……私も、頑張らなくては」
月から預かった日傘をメイド服の胸に抱き、冬華はスカートの裾を翻す。広い玄関の所定の位置に日傘を仕舞い、張り切って向かうは、寮の一室とは言えぬほどに立派な、ほとんどひとつのお邸のような星ヶ丘寮の厨房。
いつもであれば、月からのモデルの要請がない限りは先輩メイドの指示に従いメイド業務をこなしているものの、シフトの調整ミスでもあったのか、邸内にメイドの数は少ない。主に気取られぬよう、それでもいつもより慌しげな先輩メイドから、今日だけお願い、と申し訳なさげに夕飯の仕度を頼まれている。まかないは自分の分だけでいいから、とも。
煌々とした光に照らし出される、二LDKの自宅アパートの台所よりずっと広い厨房を前に、冬華は腕まくりする。
「月さんがいつも食べているような料理には及びませんけど……」
請け負ったからにはきちんと作らなくては。
(けど、何を作りましょうか)
自宅の三倍はある巨大な冷蔵庫の前に立つ。観音開きの扉を引けば、巨大冷蔵庫の中、魚介に野菜、果物に肉、整然と収められた材料。
(大抵のものは作れますね……)
余りに大量な食材に、冬華は思わずたじろぐ。ここから何を選び、何を作ればいいのだろう。大体にして、普段から本職の料理人が腕を揮う食事を口にしている月の舌は肥えている。普通のものを出したところできっと喜んではくれない気がする。
(とはいえ、)
凝りすぎて失敗しては元も子もない。
大量の食材を前に、群青の瞳をしかめ唇を尖らせ、考えに考えた挙句、
(うん、自分が作れる範囲で出来る事を為しましょう)
結論に辿り着いて、冬華はひとり大きく頷く。
作らなくてはならない食事は月と己と、二人分。
となれば、まずは。
慣れない上に広い厨房から圧力釜と米を探し出す。手早く米を研ぎ、圧力釜に米と分量分の水を入れる。米に水を吸わせている間に鍋に水を張り、火に掛ける。鰹節で出汁を取る間に素早く具の豆腐と若布を切り分ける。小口切りにした小葱は供する直前に掛けるため、小皿に取り分けておく。
料理人お手製らしい味噌を溶かし、具材を入れて沸騰する寸前で火を止める。これで一品、味噌汁は完成。
圧力釜を火にかける。圧力釜で炊くご飯は炊飯器で炊くよりもふっくらもちもち、おまけに炊き上がりも早い。
ご飯が炊けるまでにメインとなるものを作ってしまおう。
(旬の食材は大事です)
冷蔵庫で見つけた秋刀魚を取り出す。嘴は黄色、目玉は澄んで背腹には張り、新鮮そのものの秋刀魚に必要な調味はシンプルに塩だけ。
振り塩した秋刀魚二尾、熱したオーブンに入れ、大根をおろす。
ぴかぴかに磨きこまれたステンレスの作業台に必要な食器を並べて、
「これだけだと何だか……」
冬華は首を捻る。寂しすぎる気がする。もう一品、欲しい。
思いついたのは冷奴。味噌汁に使った豆腐は、冷奴にしても美味しそうだった。
新しく出した小皿に水切りした豆腐を置く。味噌汁用の刻み葱と花鰹を添える。胡麻油と醤油を少しずつ。
(これでいいですね)
オーブンが秋刀魚の焼き上がりを知らせる。
月の食事を銀盆に乗せ、食堂に運ぶ。配膳を済ませ、熱いお茶を淹れる。心づくしの食事の準備を整えて、冬華は月を呼びに向かう。
迷いのない色鉛筆の線で、己の心に踊る様々なイメージを白い紙に描きとめてゆく。明確な形を与えてゆく。
(今日は調子がいい)
次々にノートのページを捲り、次々に衣装のデザインを描き進めながら、月は深紅の瞳を笑みに細める。
心に過ぎる色を求め、机に散らばる色鉛筆を取ろうと手を伸ばそうとして、
「すみません、月さん」
遠慮がちな声と共、ドアをノックする音を耳にした。
音が聞こえなくなるほどの集中が途切れ、月は白い睫毛をしばたたかせる。
「……冬華さん?」
胸に抱え込むようにして色を描きつけていたデザイン帳を机に乗せ、
「ごめん、気付かなかった」
椅子から立ち上がり、部屋を横切る。閉ざしたドアを開け、外に立つ冬華に微笑みかける。
「良い匂いだな」
「夕食が出来ましたので……」
自室に篭もっていたときには気付かなかった食事の匂いに笑みを深めれば、おそらく幾度もドアを叩き声を掛け続けてくれていた冬華は深い青の瞳を柔らかく細め笑み返してくれた。
「もうそんな時間になってたんだ。うん、直ぐに行くよ」
素直に頷きながら、月はほんの少し睫毛を伏せる。
思うのは、広い食堂でのひとりきりの食事。傍にメイドが控えてはいるものの、主が使用人と一緒のテーブルにつくことはない。
友達である冬華との関係も、今はメイドとその主。
(線引きはキッチリとしておきたい、が……)
丁寧にお辞儀して廊下を戻ろうとする冬華の凛と伸びた背筋を見つめる。
「冬華さん」
思い切って、声を掛ける。
「はい、何でしょう?」
「その、悪いが、……」
特別扱いを声にするのは、思いがけず躊躇われた。
「……一緒に、食べてくれないか」
それでも、一人のご飯はやっぱり寂しい。
月に頼み込まれるかたちで共にすることになった己の分の食事を月の前の席に配膳しながら、冬華は不意に心配になった。
(そういえば味見してなかった……)
いつも家で一人きりのごはんを作るときのように二人分のごはんを作ってしまったけれど、大丈夫だろうか。
「今日は和風なんだね」
月は楽しげに席に着くなり、どこか不思議そうに首を傾げている。
「少しいつもと雰囲気が違うような……」
二人で手を合わせ、二人で食事を口にする。
いつもの味付けとも雰囲気とも違うけれど、炊き立てのご飯と味噌汁の組み合わせはいつ食べても美味しい。脂の乗り切った秋刀魚も、その塩加減も、とてもご飯が進む。
どうにも気持ちが悪い秋刀魚の内臓だけを器用に分け、そっと横に避けながら、月は同じ食卓で同じ食事を口にする冬華を見遣る。
ただ歩くにしても振り返るにしても、冬華の所作は育ちの良さを思わせる。食事にしてもそれは同じ。
綺麗な箸使いで秋刀魚の内臓も残さず食べている冬華を見、月は恐る恐る秋刀魚の内臓の欠片を箸で取る。口に運び、舌に広がるほろ苦さを嫌って顔を顰める。
「口に合いませんでしたか……?」
月の顔を目にして、冬華は肩を落とす。合えばいいと思っていたけれど、自分で食べてみた感じは悪くなかったけれど、だめだっただろうか。普段から美味しいものを食べている月に、こんな食事を出してはいけなかっただろうか。
「ああ、シェフが変わったのかな?」
内臓の苦さをお茶で流して顔を上げて、月は冬華の落ち込みように目を丸くする。どうかしたのか、と問おうとして、
「申し訳ありません」
「えっ?」
深く頭を下げて詫びられ、ますます混乱する。
「今日は私が作ったんですが、ごめんなさい、美味しくなかったですか」
「これ冬華さんが作ってくれたの?」
「はい……」
「そっか、そうかあ」
呟きながら、月は炊き立てのご飯を口にする。熱い味噌汁を啜り、秋刀魚を味わう。胸を満たすのは冬華の作ってくれたご飯と、それから、温かい何か。ふわふわと心を浮かれさせ、頬を緩ませる、何か。
にやついて止まらない頬を指で押さえ、月は冬華に笑いかける。
嬉しくて堪らなかった。ひどく感激していた。
「ありがとう冬華さん、本当にうれしいよ」
喜びを包み隠さず、素直に言葉にする。顔中の笑顔にする。
「新しいデザインが一つ出来上がっちゃうくらい」
自分の内で最上級の歓喜を表す言葉を口にしながら、月は箸を動かす。
「あの……」
「えっ?」
心底美味しそうに食事をする月に味の如何を問いかけて、冬華は首を横に振る。彼女の笑顔が、何より確かな答え。
「いえ、良かったです」
安堵に胸を撫で下ろし、気を取り直して食事を再開する。作ったご飯を喜んでもらえて、本当に良かった。
「冬華さん」
「はい、何でしょう」
いつもと変わらぬ笑みを浮かべる冬華に、月ははにかんだ笑みを向ける。ひとりの食事を寂しいと思いつつ、それでも慣れたつもりでいたけれど、案外そうでもなかったらしい。だってこうしてふたりでご飯を食べるのは、こんなにも嬉しい。こんなにも心が弾んで、こんなにも胸が温かい。
月は鮮やかに笑う。
「また機会があったら冬華さんに作って欲しいな」
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月17日
参加申し込みの期限
2015年08月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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