館の扉を開き、目と足とを外界へ向ける。
穏やかな風吹く春の午後。
退屈と眠気を持て余した一人と一人の気ままな散歩。
*花風冴来(RKM002612)
大和無銘(RKM003437)
両名のお散歩RPトピックです。
何か御座いましたらキャラクターメール等でご連絡下さいませ。
お手伝いしてくれるのぜ?
嬉しいのぜー。
後で見て回るのぜ?
(アホ毛が左右の部屋を指す様に揺れ
少年も何か迷う様に視線を彷徨かせる。
たっぷり数秒黙り込んでは脱衣所に続く扉の方に入って行き
少女の言葉に振り返って不思議そうな顔)
もも…?俺を背負って濡れてるから、着替えなきゃダメなのぜ?
一人の方が落ち着くのぜー?
(どうやら、一緒に入る事に対した疑問は無いらしく
更に半歩程扉に近付いては「お風呂、お願いするのぜー」と虚空に向かってペコリと頭を下げて)
あ…そうですよね。
無銘君のお家ですしね。
(自分自身でも何故付喪達に尋ねようとしたのか
わからないといった様子で
けれど深く考えることはせず
案内されるがまま後をついていき)
お掃除の方は、また追々。
私も微力ながらお手伝いさせて頂きますね。
(彼一人で住むにしては随分と広い屋敷。
自身が加わったとしても
整えるにはそれなりの時間がかかりそうだ。
そのように考えながら辺りを物珍しげにゆったり見回す。
どうやらこの少女は非常にマイペースであるらしい。)
お風呂場はあちらですね。
私はどうしましょうねぇ…。
一緒に入らせて頂くというのも吝かではないのですが。
…?
服の場所なら分かるのぜー
(アホ毛がゆっくりと通路の方を指し、その方向へと進んで行く。
よく見渡せば通路の奥、2つ扉が開いており。
片方は少年の部屋の様で)
まだ、あんまりお掃除出来て無いのぜー。
(もう片方の部屋は浴場に通じているらしく、
ある程度の広さの脱衣場があって)
海は川とは少し違いますからねー…。
(少々苦笑しつつ招かれるまま彼の後に続いて館の中へ)
うんと…。
(着替えとは言ったが、ここにきたのは初めてで
何処にそういったものが仕舞われているのか皆目見当もつかない。
彼の様子には気がつかぬまま内部をゆったり見回して)
…付喪さん達、もしいらっしゃいましたら
無銘君のお洋服があるお部屋まで案内して頂けませんでしょうか?
着替え…ちょっとベトベトするのぜー。
やっぱり海は違う感じなのぜ。
(服を摘めば未だに湿っていて、少し居心地悪そうに身震いした。
背伸びして扉を開けては、彼女を招き入れる様に手招きをする)
…?
(一瞬固まる彼女の動きに小さく首を傾げるも、
踏み込み過ぎるのが自分の悪い癖、そう学んだ。
だからこそ口を噤んで、小さく息を吐き出して)
?
(彼が頭を下げた方向へ視線を向けるも
自身の目には別段変わったものは映らない。
ただ、彼がそうしたからには其処に誰かがいるのだろうと
立ち上がってはそちらに向けて丁寧に頭を下げた。)
ん、そうですね。姉さんなら何か…。
(帰りを待たずともスマートフォンを使って連絡を取れば
とポケットの中のそれに手を伸ばしかけるも
先ほどの姉の様子を思い出し、その手を下ろす。
…何かあるとまず第一に、彼女の都合を考えるより先に
甘え頼ろうとする気持ちが芽生えてしまう。
悪い癖だと内心で反省した。)
はい、いらっしゃいました。
先ずは中に入ってお洋服を着替えましょうか。
(愛らしい仕草に微笑みつつ、そう)
よいしょっとー
到着なのぜー
ただいまなのぜー…
(ゆっくりと背から降りては身体を伸ばす。
当然の様に誰も居ない空間に小さく頭を下げて)
むむむー、姉さんが帰って来たら聞いてみるのぜー?
あっ、いらっしゃいませーなのぜ!
(嬉しそうな表情のまま、そんな事を言っては
自分のマントの端っこを摘んで広げながら、ご挨拶。
なんとなく館の付喪の真似をしてみて)
はい。お疲れ様でした。
(弾む様に軽く撫でられては小さく微笑み、玄関前で静かにしゃがむ。
釣られる様にして周囲をゆるりと見渡して)
おや、そうなのです?
仲良くする方法…何がありますかねぇ。
(姉の様な発想は浮かばないにせよ
仲良くしたいと、そう言った思いはあるらしく
小首を傾げて考える仕草をみせ)
付喪さん達は今も傍にいらっしゃるのでしょうか…?
帰って来たのぜー。
降りるのぜー
(足をフラフラと動かしては、
遊ぶように少女の頭にポンポンと触れて
既に先ほどの雰囲気は無く
館の周りを見渡していて)
見る事が出来なくても、聞く事が出来なくても、
結構仲良く出来るみたいなのぜー?
仲良くしてくれる人が大好きなのぜー。
(少年が言うに付喪は人に友好的な物が少なからず居るらしく
少女の姉に当たる少女は所謂「コックリさん」を通じて交流を図った
存外、此方から干渉出来ないだけで、その辺りに漂う風のような存在なのかもしれない
何処か嬉しそうに少年のアホ毛が揺れた)
……?
(きっと次こそは。
その先に続く言葉はカラス達の鳴き声に上書きされ
少女の耳に届くことはなく。
聞き返すのも野暮と考えたか、はたまた何も考えていないのか
少女は小さく小首を傾げるのみで真意を確かめることもなかった。)
皆、というと付喪の皆さんでしょうか。
私に付喪さん達の姿は見ることは出来ませんが
歓迎して貰えるなら嬉しいです。
(少しドキドキします、とそう言って笑い
前方に見える古い屋敷を青の瞳に映してそれを目指す。
少年を背負う少女を先導するように
小鳥が二人の元から飛び立って屋敷の玄関前に降り)
さあ、無銘君。
もうすぐお家につきますよ。
まだまだおっきくなるのぜー。
そしたらきっと…次こそは
次こそは大切な物を離さないのぜー
きっと、それが出来るのぜ
(言葉尻が徐々に小さくなり、
最後の方に至っては
ほぼ0距離の現状ですら聞き取りにくい掠れた様な声で
あるいはカラスの発する音で掻き消えたやもしれない声
次こそは、その言葉が何を意味するのか
少しずつ、そして確実に少年が何かを思い出す前兆は始まっていた)
お客さんなら大歓迎なのぜー
皆もきっと歓迎してくれるのぜ?
ん…。そうですね。
大人になって背が伸びれば視界も広くなりますし
高いところにあるものにも手が届くようになります。
私はもう高校生なのでもうあまり背も伸びないでしょうけれど
無銘君はこれからもっと、ぐんぐん背が伸びますね。
(しみじみとそう言いながら指し示された方角へ視線を向け
視界に映る小道へ歩を進める。
遥か上空を飛ぶ数羽のカラスが響かせる
哀愁を漂わせる鳴き声を耳にすれば
穏やかにそっと目を細め)
無銘君はお家で一人暮らしでした?
もしご不安な様でしたら一晩泊まっていきますね。
なのぜ!
なんとなく、声が出やすい気がするのぜー
(おぶさったまま手を離しては軽く伸びをして)
わかんないのぜー。
でも、きっと…色々な物に手が届くのぜ。
(伸びをしては館に続く小さな小道を見付け「アッチなのぜー」と指を指し
もう少ししたら離れる事になる温もりに再度体を寄せた)
そうですか。
では一安心、ですね。
(背に生じる感触に擽ったそうに微笑み)
大人に、ですか?
大きくなってなにかしたい事でも?
(視線を前方に向け、彼の住居である屋敷を探しながら尋ねる。)
お目覚めだぜー
なんだか頭がスッキリした気がするのぜ。
(微かな揺れを感じつつ
大丈夫という言葉に甘える事にしたのか、
少女の背に頭を擦り付ける様に)
俺も早く大きくなりたいのぜー。
帰ったら大人になれる物が無いか聞いてみるのぜ
おや、お目覚めですか?
(背に負った彼を振り返り、穏やかにそう声をかけ)
私は大丈夫ですのでお気になさらず。
こうして誰かをおんぶした経験はあまり無いので
新鮮な気持ちで楽しいです。
私はどちらかといえばいつも面倒を見て頂いたり
お世話して頂く側でしたから。
ん…んぅ
(とても懐かしい感覚がする。
思えば、この島は少年にとって故郷なのか
あるいは…
記憶の中にある場所は、色が無く
此処では無かった、その確信すら怪しくなる。
ゆっくりと流れる映像が薄れ始め
徐々に意識が浮上し始める
身体に残る気怠さを小さく首を振って振り払い目を覚まし)
あふぅ、ちょっと…寝ちゃってたみたいだぜ。
重くないのぜー?
(未だに頭に残る靄の掛かった様な感覚は一度置いておき
自分を背負っている少女に声を掛けて)
志を 果たして…♪
いつの日にか 帰らん…♪
(回された腕に力が篭るのを感じ
支える腕に少し力を込める。
彼が今まで何を見てどう生きてきたのか。
先程義姉と何があったのかも、自分は何も知らない。
義姉のように感受性に優れているわけでもなく
想像することも然程得意ではなく。
不安がり庇護を求めるような気配を
なんとなしにぼんやりと察したが故の行動。
暖かな懐かしさを感じさせる歌をゆっくりと歌う。
自身の故郷は、はて。何処だったか。
今遠い幼い頃、父と母と暮らした家。
自らの生まれ故郷。
そこへ帰ったとして、愛した父も母も既に亡い。
それを少しばかり哀しく、寂しいとは思えど
孤独を感じてはいなかった。
亡き父と母は、姿は見えず、声は聞こえずとも
自分と義姉とを天から見守っているに違いないのだから。)
…
(歌を聴きながら意識は半ば夢の中
触発される様に頭に流れる光景は白黒の空
誰かの声、優しい物から怒号まで、
それは忘れていた物なのか、忘れようとしている物なのか
風に流される様に、自分を追い越していく無数の影
伸ばした小さな手をすり抜け、
そして、また過ぎ去っていく
夢の中で意識が混ざり
まるで透明になった様な感覚に恐怖を覚え
無意識に少女の首に回していた腕に力が籠る
「次」は離さない様に
シャボン玉の様に儚く愛しい子
少年自身も知らない、自分に聞こえる声
そして、何処か懐かしさを覚える存在の今は見えない目が
とても穏やかに見守っている事を)
兎追いし かの山…♪
小鮒釣りし かの川…♪
(夕暮れの街に寄り添うようにして
ゆったりと歌われるそれは
遠く離れた山を、川を、父母を、友を。
愛しき故郷を想う歌。
忘れることのできぬ場所。
雨に風に触れようと、いつでもそこを思い出す。
今は離れているけれど、いつか志を果たしたならば
また故郷へと帰りたい。
生まれ育ったその場所を大切に懐かしむ歌を
淑やかに優しく柔らかく、子守唄として響かせながら
街を行き、ゆるりと視線を巡らせる。
…彼のいう彼らに歌は届いているだろうか。
例え届き、応えてくれたとしても
霊感と呼ばれる力を宿していない自分に
それを知ることは叶わないのだろうけれど。)