陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
あはは、そうかもね。
そういう時って女の子の方が度胸があるものだから。(笑って
そうね…。
口喧嘩もあまりして欲しくはないけれど。
体が傷つかなくても心が傷つくわ。
貴方は楓というのね。
綺麗な名前だわ。
二人ともお疲れ様。
貴方達の勇敢さを私も見習った方がいいかしら。
(金属音に眉を潜め
うるさあい…。
頭に響く…。
はっはっはっ!無茶するな!
二人ともお疲れ(立ち上がって拍手するが、金属のためやかましい
こう、技の掛け合いってのも面白いものだな
刃物も銃器も勘弁してもらいたいな、死人が出たら厄介だし、トラウマキットはここにはない。
そっちのは自分で戻したか。骨は治るが間接や筋肉を傷めると後で響くから、その技はやめとけ。ニンジャ、とかいうのなら大丈夫かもしれないがな。
お互いによくやった。殴り合いとは違うものだったが、なかなか面白いものを見ることができて楽しかったよ。
(折るつもりの極めをあっさり外されて意外そうに)
おお、関節外しも出来んのか。器用なヤツだな。
(即座に追い打ちを掛けようとするも降参の意を受けて立ち止まり)
あァ? んだよもう終わりかよー、ちょっと楽しくなってきてたのによー。
何か奥の手とか無ぇの? 刃物でも銃器でもいいからさァ。
(ぶちぶちと不平を漏らしながらもひとまず納得した様子で頭を掻き)
バァカ、空手に弱点なんか無いんだよ。
まーでもお前なかなかイケてたぜ。
喧嘩齧っただけの素人だったら再起不能にしてやろうと思ってたが、ちゃんと考えて動いてたしな。
ただその嵌め直した関節はあとでプロに診てもらったほうがいい。故障するかもしれんぜ。
(名前を聞かれて)
俺? 俺はナルカミカエデだ。
音の鳴るにゴッドの神、紅葉の楓。覚えたか?
で、そういうお前はどちら様だよ。
(花風の言葉にケタケタと笑い)
そうかァ? こんなもん軽い運動だろ。
女の方が色恋沙汰が絡むとよっぽど無茶するじゃねーか。
しっかしコロコロするのも駄目怪我するのも駄目じゃあもう口喧嘩くらいしか残らねェな!
…。
(ほぅ、と深く溜息をついた後
何処か寂しげに微笑み
男の子って本当に無茶が好きよね。
…酷い怪我をしなくてよかった…。
私の持つ力が治癒の力なら
怪我をしてもすぐに治してあげられるのだけど
残念ながらそうではないから…。
できる限り怪我はしないでいて欲しいわ。
くっ!!
(落下の瞬間とっさに受身を取り、
極められた腕の肩関節を敢えて外し、腕を抜き間合いを取るも
その場に座り込み腕をさすり)
・・はぁ、参ったネ。腕が上がらなくなっちゃった。
寝かせりゃこっちが優位と思ったんだけどなあ。
・・ギブアップ・・万策尽きたよ、僕の負けダネ。
(ボコン!と外した関節をはめたうえで逆の手のみ上げ降参の意を表し)
キミ・・すごく強いネ。名前を聞いてもいいかな?
能ある鷹は爪を隠すってな。
まぁ、能があるかどうかはともかく自分の力は隠しておきたいんだ。
意味もなく見せびらかすものでも無いだろう。
まぁ、怪我しても治るしいいか・・・(二人を眺めながら
だろうな。それで正しい、……っ!
(正面からタックルをモロに食らう。意外なほどにあっさりと重心が地面から離れ)
だが。それで勝てんのはスポーツ空手相手まで、だ。
(地面との衝突までの僅かな滞空時間。
その間に、わざと脱力していた四肢を日暮に絡ませてクルリと身体を捻らんとする。
いかな奇術か、楓の企みが成功したならば両者の上下は入れ替わり、
尚且つ日暮の肘が極まった状態で落下するだろう。そのままでは確実に、折れる)
よし、チェック・・
(鳴神さんがブザーを粉砕した一瞬の隙を狙いタックルを行い)
戦車の装甲の塊みたいな外見をしていて、いうものだな。(肩をすくめて)
入院するまででもなんでもしてはいいが、ここの事は話さないでくれよ?
ただでさえ貴重な廃墟なんだ。殴り合う場所がなくなったら困るだろう。
はっはっはっ!本当に可笑しな話だよなぁ!(微妙に機械風の声で笑って
二人とも怪我するなとは言わないが、入院するくらいまではやるなよ?
ひゃはは、いいじゃねーか賑やかなの!
どうせ戦るなら派手に戦ろうぜ!
――へェ、そう来る。
(散々挑発したにも関わらず、感情的にならずに策を弄じてくる様子に感心して)
いいぜ、何か企んでるなら乗ってやるよ……!
っらァッ!
(放られたブザーを必要以上にモーションの大きな右の裏拳で文字通り「粉砕」する。
哀れな防犯グッズは燃えないゴミと成り果てたが、同時に一動作分の隙を作り出した)
ありゃー・・なんだか賑やかになってきたなあ
(頭をポリポリかきながらポカンとした後、冴来さんに一瞬視線を向け)
さてと、ヤバそうな時のためのジャッジ役もいることですし
お兄さんの言葉に甘えて、ネムさんから行かせて貰うヨ!
(言い終えると一気に駆け出し、パンチのモーションをフェイントに交えタックルの姿勢を取り)
そんじゃ、遊戯開始と行こうじゃないヵ
(栓を抜き、鳴り出した防犯ブザーを手前に放りだし)
成る程。
そういうこと…。
あはは。確かにおかしいわ。
人とロボットが普通に会話してるなんて、ねぇ。
本当によく出来たコスプレよね。
(笑って
…頑張ってね。
(ねむるに心配そうな視線を向けて小さく呟く。
俺には高度なAIが・・・とか言いたい所なんだが、普段は人間なんでな。
人間臭いのは許して欲しい。
見学に来ただけだ。
それに俺は荒事が苦手でね、か弱いんだよ(笑いながら)
レフェリーといっても、いざという時のストッパーにすぎないから、わざわざ申告する必要もない
好きに殴り合って、好きにぶちのめされたり、ぶちのめしたりしてくれ。
ああ、そこのロボットは殴り合うなよ? 死人が出そうだからな。
(ニヒルな笑みを浮かべつつ)
おっと、バッサリふられちまった!
悲しいねぇ泣いちゃいそうだぜまったくよー。
(何が楽しいのか、口の端を釣り上げて笑みを深め)
あ、その目は信じてねぇな。
酷ぇなァこんな好青年つかまえて……って、は? え、ロボ?
(突然現れた非常識極まりない存在に一瞬ポカンとして)
しかも普通に会話してるし! 知り合いなのかよ!
うっは何だそりゃ、無理無理もう耐えらんねー!
あはははははッ!!
(妙に人間臭いロボットの動きにとうとうゲラゲラと声を上げて笑い出した。勝負に意識が向いているようにはとても見えない)
この島にどんな奴等がいるか興味があってな。
まぁ、見学だ。
あら、私を気に入ってくれたの?
でもごめんなさい。
貴方は私の好みではないわ。
(冗談めかした口調で返し、くすりと笑って
律儀、ねぇ…。
(胡散臭そうな視線
…。
(ロボットが入ってくるのを見て
パチクリと瞬きし
眠いなら寝ていればいいのに…。
・・・(二メートルくらいある人狼のような姿をしたロボットが入ってくる
・・・(座る
・・・ふわぁ(あくび