陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
ひゃはは、いいじゃねーか賑やかなの!
どうせ戦るなら派手に戦ろうぜ!
――へェ、そう来る。
(散々挑発したにも関わらず、感情的にならずに策を弄じてくる様子に感心して)
いいぜ、何か企んでるなら乗ってやるよ……!
っらァッ!
(放られたブザーを必要以上にモーションの大きな右の裏拳で文字通り「粉砕」する。
哀れな防犯グッズは燃えないゴミと成り果てたが、同時に一動作分の隙を作り出した)