陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
…うん…。…そう、だよね…。
…試合…してる、時の…男の子、達…。
…かっこ、よかった…。
…また…見たいな…。
…別の日に、来たら…見れる、かなあ…?
毎日殴り会うのもなかなか気が滅入るんだ。
たまには、こういう静かな日があっても、神様は別に咎めはしないさ。
…今夜は…誰も…試合を、しに…こないの、かな…?
(白狼の縫いぐるみを抱いて
壁にもたれ呟き、小首を傾げる
皆のお友達のアンクルサムだからな。器量だけは広いんだ。
だから、というべきか、その器量を上回る奴に対しては、極めて冷酷でな。
気が向いたらまた来ると良い。
人はどうかは分からんが、この場所ばかりはそう簡単になくならん。
ふゥん、じゃあその居場所とやらをぶち壊しに行ったら遊んでくれんのかな?
まあやらんけどねテロリストじゃあるまいし。
しかし相手を尊重、ねェ。さすが皆のお友達アンクルサムは言うことが違う。
心配せずとも今日はもう帰るわ。見たい深夜アニメがあるんでね。
今日戦れなかった連中は次回に是非相手してほしいもんだぜ。んじゃ、シーユー。
(欠伸を一つ噛み殺すと適当に手をヒラヒラと振って出て行った)
戦わない、という選択もまた自発的な行動だ。力を持ちながら戦わないというのは、戦うよりも難しい。
実際、腕っぷしだけで相手をねじ伏せる輩は多いが、相手を尊重しながら戦わずに勝つ輩はあまりにも少ない。
挑発するのは良いが、ほどほどにしておけよ。
(とは言うが、基本的に干渉しないつもりらしく、その場に座り込み)
…………
私は貴方のように好き好んで力を振るうっといったことをしないだけです
過去はなんであれ、……今の私は、私の居場所を守るために力を揮うだけですよ
なァに、そこのロボが身体動かしたいっつーからアンタは相手にどうかってな。
とはいえそのロボもああ言ってることだし、今日のところはお開きかね。
しかし見学、見学ねぇ。揃いも揃ってよく言うぜ。
(可笑しそうにクツクツと喉を鳴らして)
俺が血生臭いんだったら、テメーやロボは血の池地獄か何かかよ。なァ?
・・・嫌なやつだな!
まぁ、いっか。
今回は俺も見学だけにしとくよ。
壊れたら嫌だしな。
……一応声を掛けられたので こんばんは。血生臭い貴方。
私に何か御用でしょうか 私はただの見学者のつもりですが……
ひゃはは、散々出し渋ったバチだっつーの。
精々消化不良で悶々とした夜を過ごしやがれ。
もしくは――
(ツイ、と視線のみを常闇に向けて)
そこなニンジャにでも相手して貰ったらどうだ?
よォ、こんばんは。「いい匂い」のするお嬢ちゃん。
まぁ理屈で分かってても感情は如何ともし難いしな。
せめて後悔しない選択肢をとる努力をするこった。
(溜息を吐いて)
俺は基本的に姉ちゃんズの味方だが……
あの時は流石に元カレくんに同情したね、男として。
色々か。そりゃ誰しも生きてりゃ色々あるわな。
ではでは今日からオトモダチって事でひとつ。
あ、そのスマホ赤外線出来る?
(ポチポチ携帯をいじりながら)
気が合うな、俺も相当我が儘なんだ。
苦労するほど大変だったら勝手に離れてくから安心しとけ。
仲良くしたくなったらまた勝手に戻ってくるしな。
人付き合いなんざそんなもんだろ。
…………(いつのまにか周囲から少し離れた場所で皆の様子をみている)
私もそれが出来ない内の一人ね。
頭ではわかっているのだけれど…。
成る程。
(脂汗をかく様子を見て
…そんなにすごい事をしたの?
知りたいような知りたくないような…。
生まれは外国ではあるのだけれど
まあ、色々あってね。
友人が増えるのは私も嬉しい。
(スマホを取り出して
ふふ、そうして貰えると助かるわ。
とはいえ、私は我儘だから
私と仲良くしようとすると
苦労する事になるかもしれないけれど。
>鳴神
そうか?そりゃあ残念だ。
最近体を動かしてなくてなぁ。
鈍ってるだろうから運動したかったんだが・・・。(残念そう・・・に見えなくもない
いやいや俺は一度寝たら朝までグッスリだからな。
案外サクッとやられるかもしれないぜ?
(ニヤリと笑って自分の首を手で刎ねるジェスチャー)
そりゃ勿論強いに決まってんだろ。地上最強の格闘技が空手だ。
刃物で俺に勝ちたきゃ宮本武蔵でも連れてこいっつーの。
1つ助言するとすれば、自分の身を守る一番の方法は「自ら危険に近づかない事」だぜ。
それが出来ない人種が少なくないのは困りモンだが。
(やれやれ、とでも言うように肩を竦め)
あー俺は上に姉貴が5人いてなー。
よん姉……、もとい4番目の姉ちゃんがそりゃもう無茶苦茶するヤツでなー。
一昨年彼氏にフラれたときなんか――
(と、そこまでヘラヘラと話していたのだが急に脂汗をかきはじめて)
――いやホント、女ってすごいよね(遠い目)
まあ紅葉っつっても春生まれなんだけどな俺は。
へぇ、サキね。金髪碧眼だし外国人かと思ったが早とちりだったか。
ともあれ美少女とお友達になりたくない男子高校生は居ねぇのさ。
(言いながら携帯を取り出す。未だにガラケーだ)
なァに気にすんなフラれんのは慣れてる。
ま、精々嫌われないよう頑張りましょうかね。
(ケタケタ、とどこか楽しげに肩を揺らした)
(ロボに向けていた闘志を唐突に引っ込めて)
あー確かにあいつらは強いわなー。
完成直前のトランプタワー崩されたときは流石の俺も膝を屈したわ。
やっぱ今日はお前いいや、その気が無い奴とバトってもつまんねぇし。
おお、すまんかった。(笑いながら拍手をやめる
何を言っているんだお前たちは。
どこからどう見てもか弱いロボットだろうが・・・あの円形のお掃除ロボットの方がまだ強いな。
格闘技なんて初心者も良いところだって。
まぁ、それでもいいなら相手してやらんこともないが・・・
そうね、無謀だわ。
貴方って子は…。
あんまり危ない事をしては駄目よ。
取り返しのつかない事になったらどうするの。
あんまり心配させないで頂戴。
(溜息をついて
どんな獲物より…。
空手ってそんなに強いの?
刃物よりずっと強いのかしら。
(子首を傾げ
確かにそういう言葉もあるけれど、ね…。
傷つけ合う事は趣味ではないけれど
自分の身を自分で守れる様にはなりたくてね。
無茶は…そうね。しているかもしれないわ。
もう染みついてしまっていて、どうしようもないのよ。
…貴方の周りにもきっとそういう人がいるのね。
(何処か悲しげに視線を落とし
確かに女性の様な名前ではあるけれど
貴方に良く合っていると思うわ。
貴方が見せてくれた闘志も
紅葉も同じ赤いものだから。
私の名前は花風冴来よ。
メールアドレス?
ええ、構わないけれども…。
私とお友達になってくれるの?
さっきは好みじゃない、なんて言ってごめんなさいね。
私、貴方の事結構嫌いじゃないみたい。
きっと好きになれると思うわ。
(柔らかに笑んでみせる
いやいや、戦ってる顔を見せたくないだけさ。
マスクの力で強くなったりとかは多分ないと思うよ。
あはは・・それはそれで面白そうかも。
格上さんが相手ならたまには奇襲も悪かないかもね。
でもま、鳴神君には効かなそうだなあ・・
(おどけたように笑いながら)
ひゃはは、心配なさンなマリーンの旦那。血くらい自力で止められるっての。
それにどんな得物遣われようが、空手の方が強い。
(冗談めかしてニヤリと口の端を吊り上げ)
いやはや俺も最初は殴り合うつもりで来てたんだけどな。
そこなゴーグル仮面の読みが意外と良いもんだからつい色々使っちまった。
つーか金属の手で拍手とかしてんなよロボ! うるせーぞ!
はいはい応援どーもね。
(ひらひらと適当に手を振り)
おっとそれは早合点だぜ美少女ちゃん。
喧嘩するほど仲がいい、とも言うじゃねーか。ぶつかり合って深まる仲ってのもあるもんさ。
とは言えアンタはそれこそ口喧嘩までにしといた方がいいだろうけどな。
特別鍛えてねぇだろうし、さっきの話じゃないがいざとなると無茶する方だろ。
(スゥ、とどこか遠くを見るように目を細めて)
良い名前だろ。
まァよく女と間違えられるのが難点だけどな。
ところで美少女ちゃんはお名前なんてーの? メアドと一緒に教えてくれ。
(マスクを外すのを見て意外そうに)
オイオイ普通に外すのかよ。じゃあ最初から外しとけよな。
それともそれ被ると強くなる系の能力なのか? まあいいや。
ねむるかー苗字も相まって何か眠くなる名前だな。ヨロシク。
嬉しいも何も戦るのに相手の了解なんざとる必要無ぇだろ。
何なら寝首掻きに来たって構わねぇぞ。
……ああ、それは俺も「興味ある」なァ。
(言いながらロボに瞳を向ける。闘志を漲らせた、挑発するような視線)
うーん・・ま、隠してもしゃあないもんな。
(そっとマスクを外し)
僕の名前はは日暮ねむるだよ。鳴神くん、よろしくね・・
これからもまた手合わせしてくれたら嬉しいな。
冴来さんと・・えっとロボットさんも応援ありがとね。
まあ、今日の僕の手合わせは勇敢というよりか無謀な感じだったからね。
正直真似はあんまりオススメできないかな・・(微笑みつつ)
えっと・・ちなみにロボットさんは格闘は強いのかな?
ちょっと興味あったりして。
審判してくれてありがとう、ジェームズさん。
もしまた手合わせする際はよろしくね(ぺこり)