陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
…やっぱり怒られてしまったわね。
出て行くのは嫌だから
私は口を塞ぐことにしましょう。
重ね重ねのご無礼をどうかお許し下さいませ。
(壁に背を預け、気怠げに目を瞑り
喧嘩勃発ならいいんだがな(肩をすくめて)
お互いの定義問題もそこらへんにしてくれ。
そういうのは学校でやってくれ、頼むから。
クールを気取るのも良いが、演じ方を間違えるとただの嫌味なヤツでしかないんだぞ。
分かったなら口を塞ぐか出ていくか、どっちかだ。
俺は嫌味や愚痴の提供先を作った覚えはない。
そう?私は結構楽しかったけれど。
喧嘩に実力だなんて関係ないと思うわ。
なんて、こんな話を続けていたら
またそこの方に怒られてしまいそうね。
別の場所とはいえ、あまり続きを語りたくはないのですが……この場で続けるつもりはないのはこちらもです。
(そのままブレイク氏やアーレンス氏を一瞥し)
喧嘩というのは実力が拮抗している者同士がすることですよ
(そのまま、壁を背にして腕組みしながら)
…了解したわ。
妙な討論を聞かせてしまってごめんなさい。
そういうわけだから、月。
この続きはまた、別の場所でね。
今晩わ、綺麗なお姉様。
これって喧嘩なのかしらね。
私にはよくわからないわ。
(軽く肩を竦め
お、なんだなんだ?
喧嘩勃発か?(ジェ-ムズさんの後ろからヒョッコリと顔を出した)
討論会にご熱心なのは大変結構だ。
だが、そういう難しい話は聡明な知識階層の人間に任せておけばいい。
そういうわけだから、その話はここで終わりだ。続きはどこか別の場所でやってくれ。
俺はその手の話が、嫌いだ。分かったな?
そうね。貴女は正しい。
恵まれている、だけれどそれでは満たされない…。
私達は気狂いだから、歪みを求めずにはいられないのよ。
貴女の平穏を害するつもりはないけれど
それもどうなることやら…。
貴女の事は嫌いではないけれど
貴女が私の邪魔をすることがあれば
私は貴女を傷つけることになる…。
…そうならないことを、ささやかながら祈っておくわ。
…………愚かな。
今の平和で平穏な世界がどれだけ恵まれているのか、非日常を望む方の考えは理解に苦しみます。
(ふかいため息をこぼし)
あなたがたがどのような企みをするか、それ自体は止めるつもりはありません。
ですが……それが私の望む平穏を脅かすと判断しざるを得ない場合は、こちらもそれ相応の手を取らざるを得ません。
できればそうならないように願うところです。
瓢はチェシャ猫も似合いそうだけれどね。
不思議の国の住民は、誰も彼もが気狂い揃い…。
そこに迷い込む者もまた気狂いだわ。
(くすくすと笑いながら
別段妙ということもないでしょう?
私は非日常が好きだもの。
フツウは壊す為にあるのよ。
瓢は人が闘う滑稽な姿を見物しに来ているのだと思うわ。
私も似たようなものね。
ここにくると、破壊衝動が疼く…。
何もかもを壊してしまいたくなるわ…。
曲者といえば曲者ですね
挑まれればお相手しますが……。
しかし意外ですね。自ら闘うという印象のない方がこのような場所にでてくるとは。
ならあっしは帽子屋かね~?
また奇妙な所であったモンだねぇ姉御
……で、そこにいるのは曲者なのか参加者なのか
………………………(口元をマフラーで隠した黒づくめ(ポートレート)の格好でそっと倉庫の一角に)
私はアリスではなくて、ただの黒猫よ。
私が迷い込むのはいつも
愉快な不思議の国ではなくて
冷たく暗い闇の世界だもの。
血の匂いがする非日常は心地いい…。
人を殺しても赦される世界で私は生きたい…。
怪我は避けられないでしょうけれど
精々死なないよう気をつけて。
死を望むなら、誰にも見つからないような場所で
私が止めをさしてあげるわ。
(くすくすと笑いながら
こんな時間に、こんなところに迷い込むなんて、さながらアリスだな。
それなりに離れていれば問題はないはずだが、怪我をしないようにだけ気を付けてくれ。
戦う意思のない女性は傷つくべきではない。
……俺も観戦するか。
殴り合いに慣れた奴らなら、多少見応えもあるだろう。
キシシ・・
(二人の会話を聞き耳しつつ一気に間合いを詰め)
そんじゃいくよ!オジさん。先手必勝だぞ、ト。
(体を回転させ神無月さんの胴へと目掛け、水平な軌道で回し蹴りを放ち)
PL:できればRPのみでやりたいかもですね。
とはいえ百戦錬磨な組長さんと喧嘩覚えたての学生じゃ力の差は歴然。
そこら辺を踏まえたうえで、胸を借りるつもりでフルボッコにされるつもりですが・・
物騒なことをしているのね。
血の香り…。
怖いような、落ち着くような…。
怪我をするのは嫌だし、
私は見ているだけにするわ。
ああ、たしかに楽しいもんだが、一方的にやりすぎるとつまらなくなってくるんだ。
少なくとも俺はそうだ。一方的に叩きのめすのを何度も何度も繰り返して、もうワンサイドゲームという意味自体に、楽しみを感じない。
殴り殴られと言う方が、コミュニケーションをしているようでやりがいがあると思うよ。
ここからPL発言なんだが、殴り合いの判定は特に設けてない。
おかしなことがあるのが嫌だという人もいるだろうし、殴り合いの判定は当事者であるPCに委ねようかと思う。
サイコロ判定がメジャーだが、RPだけでやりたいという場合もあるだろう。
それじゃ、好きにやってくれ。
面白そうな場所に現れる、それがあっしさぁ
そういう御大将もこんなとこまで出張ってきてお盛んなことですなぁ
おや、殴り合い~?てっきりなんでもありかと
死ぬ前にゃ止めるから安心してド突きあっとくれ~
やってやられてを楽しむだなんてあっしにゃよくわからんねぇ
勝てる勝負で一方的に嬲るの楽しいもんだよぃ?
殺し合いじゃなく、殴り合いというところがポイントだな。
殺し合いなら最初から人間だと思わなければいいが、殴り合いはそうはいかない。
殴れば拳が傷つくし、相手だって血を流す。我慢大会みたいなものだ。
それと殺すのは駄目だ。死体の処理が面倒だし、日本の警察は何より賄賂もなにも効果がない。
どんな些細な証拠でも見つけ出して、必ず誰かしらの情報にたどり着き、刑務所いきになるだろう。
この倉庫も取り壊され、二度と集まることはできない。
死なない程度に、殴り合いだ。
審判はリタイアの申告を無視せず、死なないようにやってくれ。
死なないのであれば血にまみれようがなにされようが、試合は試合だ。
拳というよりは、互いに痛めつけあって、痛みを感じることで生きていると感じる。
俺は少なくとも、そう思っているよ。
じゃ、死なない程度に痛めつけあってくれ。