陽がすっかり落ちたころ、工場と寝子電の騒音に混じって自家発電機の駆動する音が聞こえる。
穴と言う穴をキャンバスやベニヤ板でふさがれた第3倉庫――夜な夜な殴り合いの試合や、会合のようなものが開かれているという噂のここが、音の発信源のようだ。
自家発電機の電力で中は照明があるが、薄暗い。
そんなところで、今日も今日とて誰かしらがここに集まりにくる。
へぇ、友人。そりゃあ確かに残念だ。
恋人だったらノした後で乗り換えを提案したんだけどな!
(冗談めかしてクツクツと笑い)
いやいや俺は律儀な男だからな。
さっき言った通り、不意打ちのお詫びとしてこうして余所見したまま無防備に一発殴られようってわけだ。
さあ、そういう事だから早く来いよゴーグル仮面。
何なら得物使ったって構わねぇぜ……!
(日暮の接近には気が付きつつも、相変わらず余所見をしたままで構えも取らない。どうやら次の一撃は本当にそのまま直撃を食らうつもりらしい)
(冴来さんの表情に一瞬目をやり視線を戻し)
心配させちゃったかなあ。あはは・・
さてと、どうしたものカナ。
oO(参ったなあ・・挑発こそしてるけど隙が全くない。恐らく立ち技じゃ相手の方が圧倒的に経験値は上、正攻法じゃボクの付け入る隙はない・・となれば、引けるカードは限られてくるねえ・・)
それじゃ、レフェリーさんとお兄サン。僕から行かせてもらうヨ。
まずは一発・・
(そう言い放つと一気に間合いを詰め、右ストレートの予備動作をし始め)
…。
(蹴りを避ける様子をみて安堵の溜息をつき
残念だけれど恋人ではないわ。
ただの友人よ。
(肩を竦め
余所見だなんて随分と余裕ね。
勝負の相手から目を逸らさない方が
いいのではないかしら?
…あの人と一緒に行くつもりでいるのなら
こういう光景にも慣れないといけないわよね…。
(極小さな声でぽつりと呟く
お、今のを避けるか。
本気じゃないにしても充分狩る気で蹴ったンだが。(心底意外そうに)
こう見えても実家が空手屋でね。
そう言うテメーは……(相手の体格、骨格、筋肉量、所作振舞い等々を観察し)
……やっぱどう見ても素人だよなァ。
素人は素人でも実戦経験のある素人、ってトコか。
ゲーム。ゲームねぇ。
よしよしそれじゃあこうしようぜ。
(そう言って彼我の距離を十歩分ほど空けると、構えもせずにクイクイと手招きして)
さ、今の不意打ち一発分のお詫びだ。どっからでも打ち込んできな。
あーそれとそこの金髪美少女、アンタこのゴーグル仮面の彼女?
もしそうならなるべく優しく綺麗に倒すよう工夫するが。
(と、花風の方に顔を向ける露骨なまでのよそ見)
(レフェリーのコールに対してはチラと視線を向け、軽薄にニヤついたまま軽く頷いた)
楽しいことになってきたな。
レフェリーは俺がしよう。相手をぶちのめした方が勝ちだ。
殺すんじゃないぞ。これは殺し合いじゃなく、ただの殴り合いなんだからな。
(焦った様子もなく、楽しげに、けれど淡々と)
ン?今の声は・・
(冴来さんの声のする方に視線を向け)
ってうわっ!?
(前蹴りに気づき横に転がり間一髪で回避し立ち上がり)
ビックリするなあ、もう・・
にしてもスゴイ蹴りだね、さっきのアレ。あんなん喰らったら一発でのびちゃうよ
お兄サン、相当鍛えてる人だネ!こりゃ楽しくなりそうだ。
(おどけた様子で話しつつ拳を構え)
んじゃ、ゲーム開始といこうじゃないの。
な…!ちょっと貴方!
いきなり蹴りかかるだなんて!
(血相を変え、止めに入ろうとして思いとどまり
ああ…。
でもここは、そういう場所、か…。
私が口出しをすることではないわね…。
おっ、マジで?
いやーありがてぇありがてぇ、態々夜中にこんな倉庫くんだりまできて何もナシじゃあ
消化不良で睡眠不足になっちまうところだったぜ。ハジメマシテーヨロシクヨロシク。
(軽薄にペラペラと喋りながら歩み寄り)
――で? 何を悠長に準備なんざしてやがるド素人。
(座り込んでいる日暮の顔面目掛け容赦のない鋭い前蹴りを放った)
あら、はじめましてかな?
(物陰からそっと顔を出し)
ボクで良かったら手合わせしようよ。
こー見えて結構強いよ?ボク・・
(地面に座りバンテージを巻きながら)
どうしよう?お兄サン・・
よう、邪魔するぜぇ。
この倉庫で面白そうなことやってるって聞いたんだが……(周囲を見回し)
どうにも間が悪かった感じかねこりゃ。喧嘩相手になりそうな奴が居やしねぇ。
数年ほどリラックスすることを忘れてたからな、そのせいかもしれない。
ただでさえ過敏な神経をすり減らして、地球の反対側でなにをやっていたんだか、と思うこともあるな……。
意外と多いもんだと思ったんだが、そういうものか。
もっとこう、血の気の多い奴が来るかと考えてたんだ。社会に対する不満だとか、不安だとか、そういったものをここでぶちまけてくれるような、そんなことをな。
夢は眠りが浅いときにみると
本で読んだことがあるわ。
リラックスした状態で眠れば
深い眠りが得られる…とか。
夜更けにこんな場所へ出向く人間は
そう多くないでしょうしね。
幽霊なら私達の目に見えないだけで
集まってきていたりするかもしれないけれど。
……しかし、意外と集まらないものだ。
悪夢しか見なくなると、起きている時間の方が平和に思えてくるぞ。
目覚めると、まず救われたと感じる。夢から覚めて良かった、現実に戻ってこれたと。
良い夢も悪い夢もない。俺はただ、夢も何もない眠りが欲しいだけだ。
悪夢は見たくないわね。
目覚めが悪くなってしまうわ。
だけれど、願いが全て叶う夢も目覚めた時に苦しみそうね…。
聞きたくはあるが、寝るときは静かにしてもらいたいな。
また別の悪夢を見てしまいそうで少し怖い。
(苦笑して)
怨嗟の声でも添えりゃいい子守歌になるかね?
さて、今夜は何が起きるやら、だな。
なにも起きない夜は夢見が悪い。
(倉庫の隅に座り込んで)
(PL:最後の投稿より時間が経ったのでリセットいたします)
許すも何も、発言の裏の掻き合いは場違いだということが分かってくれればいいんだ。
そんなことはここでやる必要はない。相手を貶める必要もない。むしろ尊重し合ってほしい。
そこで男が殴り合っているが、会話であれを真似るのはやめてほしいだけだ。