対の衣装を着た精巧な造りの双子人形と
人形サイズの調度品が置かれている。
誰かがここで1人遊びしているとかいないとか。
私、友達なのに…。
友達、なのに…。
結局なんにも、できなかった…。
助けてあげられなかったよぅ…。
本土は遠いよ…。
寂しい、会いたい…。
どうして、こんなことに…。
そっ、かあ…。
迷っていて、いいんだ…。
答え、見つかるといいけれど…。
ここに来てくれただけで
私にとっては充分、感謝することなんだけどなあ…。
あ…うん。…またね。
(緩やかに手を振りかえし、姿を見送る
そうだ・・・迷っていいのさ。
迷って・・・迷って・・・迷ったなりの最高の答えを見つけ出せば良い。
ふっ、感謝されるような事はしてないし、お前を嫌う理由も無いからな。
っと・・・長く話しすぎたか、じゃあな(片手を軽く振りながら静かに部屋から出ていく
貴方も、高校生だもんね。
私達、まだ子供だし
もう少し迷っていても許されるかな…。
そう、だよね。
強がること、完全にはやめられそうにないけど
こうして弱音を吐ける様になっただけ
昔と比べたらずっと楽…。
貴方が謝る必要ないのに…。
散々我儘を言って、駄々をこねて
貴方を困らせているのは私なんだもの。
それでも嫌わないでいてくれて、私は嬉しい。
…ありがとう。
(ふわりと笑って
あぁ、なんてったって俺もまだ若いからな。
楽になってるならいいんじゃないのか?
強がって生きていくよりよっぽどマシさ。
こちらこそすまんな。
そう、それで自分探し…。
貴方も、迷ってるんだね。
いい変化も確かにあるけど、悪い変化もあるから…。
でも楽になれるなら、
変わっていくのも悪いことじゃないのかも…?
(胸に手を当て、自分を鎮めるように溜息をついて
…うん。
ごめんなさい、今の私はやっぱりちょっとおかしいみたい。
貴方に会いたくて、偶然でも貴方に会えて
奇跡がおきたみたいで、それが凄く嬉しくて…。
だから、かな…。
正直に言うと俺は自分の本性がどんなものか分からないんだよ。
別にいつも偽ってるとか多重人格とかそんなんじゃ無いんだが、いまいちどんなものか分からない。
良いじゃねぇか。
放っておいても人間なんて変わっていくもんなんだし。
・・・ま、少し時間をくれ。
今の俺はどうしても引き剥がそうとしてしまうんだ。
私は…。
弱い自分は大嫌い。
人には見られたくない。
だから、あんまりいい事に思えない…。
…貴方の本性は、そんなに人に
見せられないようなものなの?
いい事なのかもしれないけれど
まるで、私が私でなくなってしまったみたいで…。
いつか私の心の
何もかもが変わっていってしまうんじゃないかって…。
これで、いいのかな…。
…やっぱり私は、貴方からは離れない。
こんなに、大好きなの。
ずっとずっと、もっと近くにいたい…。
そんな気持ちがもう、止まらなくて…。
貴方を困らせるって分かっているけど…。
貴方といるときが、私は、なにより一番幸せで…。
だから、ごめんなさい…。
拒絶しないで…。
悪いことだとは思わないがな。俺は。
俺自身そうやって本性を出せる奴は羨ましいし、そういう人間になりたいって思う。
ま、無理だが。
いいじゃねぇか。
色々知って、仲間が増えて、お前に掛かる負担が減ってきたってことだ。
在り来たりな言葉で言うならお前は今まで一人で抱え込もうとしてた。
だが、それを一緒に抱え込んでくれる仲間が出来た。
だから少しずつ余裕が出来てる。
情けなくなんかないって。
簡単に答えなんて出ない問題なんだ。
悩め悩め。
出来る範囲で手伝ってやるよ。
それは…。
妹と二人の時はちゃんと出来てたのに、いつの間にか…。
うん、おかしい…。
この島に来てから私、
なんだかおかしくなっていってる…。
私は、弱いけど…。
こんな風に、誰かに縋らないといけない程弱くなかったのに…。
あの子がいれば他の人なんてどうでもよくて
皆不幸になればいいって、そう思ってた…。
あの子にしたことだって、
これで良かったんだって、
間違ってないって思ってた…。
後悔なんて、してなかったのに…。
あの子のことだって、
思い通りにならないなら
いっそ壊してしまおうって、思ってたのに…。
いつの間にかこんな風になって…。
全部壊してしまいたいって気持ちと
何も壊したくないって気持ちが入り混じって
どっちが本当の気持ちか、わからないの…。
こんなのってない…。
私、情けない…。
演じてるねぇ・・・まぁ、薄々気づいて居たというかバレバレではあったが・・・。
うーん・・・すまんがその問いに対する答えは無いな。
俺も経験なくてどういえばいいのか分からん。
だって、普段は演じているだけだから。
こんな姿を誰かに見られるのは
本当は凄く、凄く怖いの…。
巻き込みたく無い、か…。
私がこのまま変われなかったら
妹まで危ないって、わかってるけど…。
それでも、貴方の傍にいたい…。
なんでだろう…。おかしいな…。
私どうしちゃったんだろう…。
違和感・・・そうだなぁ・・・違和感とは言わないが、なんか変わったなって。
いけないとは言えないんだ・・・俺の我儘だからな。
だが、できれば巻き込みたくない。
そう思ってる。
そうじゃなくて…。
今の態度も、変なのかなって。
うん…。
私の為を思って言ってくれてるって
わかっては、いるの…。
でも…貴方から離れるのは、やっぱり凄く辛い…。
近くにいたい、触れていたいって、どうしても…。
こんな苦しい思いは、もうしたくない…。
このままじゃ、いけないの…?
・・・おう。
変も何もその言葉で喜ぶのは一部の特殊なご趣味の持ち主の方々だけだ。
お前妹にもべったりだったもんなぁ・・・ま、人間関係なんてそんなに上手く行くもんでもないしさ。
あんまり深く考えるんじゃねぇよ。
気にすんな。
暇って訳じゃ無いが、忙しいって程でも無い。
ただ、やっぱり近付き過ぎだ。
貴方がそう言うなら、そういうことにしておきましょう。
(穏やかに笑い
うーん…。
こんなことばかり言っているから
愛が重いだとか言われちゃうんだろうなあ…。
あれ?違うの?
(不思議そうに首を傾げ
普通に…。そんなに変…?
適度な距離感って、あんまり分からない…。
好きになると、どうしても近づき過ぎるの。
そうやって迷惑をかけて嫌われるのも怖くて
離れたら今度は離れ過ぎたり…。
上手くできない…。
今だって本当にこれでいいのかな、
って思っていたりして…。
貴方は忙しい、でしょう?
なのに私、こんな話に貴方を付き合わせてしまってて…。
本当に、ごめんなさい。
何を言う。俺は完璧だろうが。
はっはっはっ!まぁ、好かれるのは悪い気分じゃねぇが、困ったな(苦笑い
そういう訳じゃねぇよ!なんかその罵り文句嫌だし!
もっとこう・・・んー・・・なんと言うんだろうな。
普通にだ。
そりゃあ、お前の大切な人のためにはならねぇな。何事も適度が大切だ。
あはは、困る貴方を見るのは凄く楽しい。
そんなこと言って、
本当は完璧だなんて思ってないんでしょ?
でもね、そんなのどうでもいいの。
私は貴方が大好きだから、
貴方がどんな人であっても
ずっと貴方を褒めていたいの。
そうなの?でもどうしよう…。
他の人がいるときなら兎も角
今貴方に毒を吐く気にはなれなくて…。
「罵られる方がいいだなんて
やっぱりマゾヒストなのね。この変態。
そんなのがトップだなんて
貴方について来る人達がかわいそうだわ!」
…とか言えばいい?
分かってるんだけど、でも…。
大切な人が誰かと仲良くしていると
やっぱり寂しくて苦しくなるの。
そうして誰かが私から離れていくのが嫌で
ずっと閉じ込めておきたいだとか
時間なんて止まればいいのに
だとか思っちゃったりして…。
無理だってわかっているのにな…。
…。
(困った顔でじっと顔を見つめ
お前・・・。何か調子狂うな!
というか俺が余りにも完璧過ぎて誉めることしか出来ないのはわかる。
だが、そんな俺は謙虚でな!誉められるとどう返せばいいか分からなくなるんだ。
昔のお前の方がなんか話しやすかったぞ・・・。
おいおい、そんなことで嫉妬されても困るって。
うー…。駄目なの?
貴方のことだったら
幾らでも褒めることできる気がするのに…。
他の子を慰めてる貴方の姿は
私、あんまり見たくないなあ…。
嫉妬しそう…。