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自動販売機の前
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思い返してみれば、出だしから微妙についていない日だった。
僅かに困ったような、それでも穏かな焦げ茶色の瞳で、
志波 高久
は寝子駅駅舎の外に広がる雨模様の旧市街を見渡す。
片腕には、九州の両親から寝子島の弟たちへの仕送り品の詰まった紙袋。地元にしかない食料品に始まり、弟たちが毎回複雑そうに受け取る母親選別の衣服、果ては米まで。破けぬよう二重三重にした紙袋の持ち手は鍛え上げた筋肉に鎧われた腕にさえ重く食い込む。
もう片手には自分用の簡素な旅行鞄と、こちらも両親から持たせられた、関東に住まう両親の知り合いへの妙に重たい荷物。
(確かに送るよりは日数も金額もかからないだろうが……)
実家から遠く離れた地で高校生活を送る弟たちへの仕送り用荷物はいつものこととは言え、
(この量はないと思うがな)
両手いっぱいの荷物を抱え、高久は日に焼けた頬を苦笑いに小さく歪める。
駅舎の脇に据えられた自動販売機の傍らのベンチに荷物を置こうとして止める。冬の匂いを帯びた風に吹き寄せられた雨で、ベンチの上もひどく濡れている。預かりものの荷を濡らすわけにはいかない、と生真面目に眉を寄せる。
(そもそも、)
電車を使う際にはいつも使うICカードを忘れてきたのが不運の始まり。自宅からの最寄り駅でそのことに気付いて、けれど残額が少なく、チャージの必要があることを思い出した。だから今回は現金でいいかとそう思っていた。
旧市街での用事を済ませるために寝子駅で下車し、その後徒歩でシーサイドタウンのホテルに向かおうとした途端、海から流れてきた雲が氷雨を降らせた。
突然の雨に荷を濡らすことを嫌い、電車でシーサイドタウンに向かおうと寝子駅に戻った、そこまでは良かった。
(数時間前の俺に説教をしたいところだ)
駅舎の軒先の向こう、先ほどまで見えていた月を覆い隠して雨を降らせる雲を見つめる。
(一先ず、この荷をホテルに置くまでの辛抱だが……)
黒い雨雲はいつのまにか夜空一面に連なっている。視線を遠く投げればシーサイドタウンや星ヶ丘のあたりは明るく、あの辺りまで行けば雨は降っていなさそうではあるものの、この辺りはまだしばらく降り続くだろう。
ICカードを持たない今は自動改札機を通ることはできない。
券売機で発券したいが、突然の雨に降られた人々が次々と駅舎に駆け込むため、駅の床はひどく濡れている。券売機前の濡れた床に荷を下ろすわけにはいかず、
(仕方がないか)
両腕に重たい荷物を吊るし、動きの制限された不自由な手で財布を取り出す。濡れて滑る床を危なげなく過ぎ、券売機の列の後に並ぶ。
順番を待ちながら、構内放送に耳を澄ませる。島を出て行く電車の到着を知らせられ、ホームに向かう人々の足が心なしか早くなる。
頭や肩の雨粒を払いつつ改札機を過ぎる人々の流れを眺める。
(この島に惹かれるのは何故だろう)
弟たちの様子見にかこつけて訪れるにしても、この島に赴く回数は間違いなく増えている。
現役で競輪選手を続けていくためにも、地元でのトレーニングに時間を多く割くべきであるのはよく理解している。それなのに、
(……俺自身が此処に来たいだけかもしれないな)
ふと、そう思った。
そう思わせてくれる魅力が、この島にはある。
例えば馴染みの居酒屋であったり、不意に迷い込む不可思議な町や城であったり。
この島での出来事を思い浮かべて、思わず笑みが込み上げた。
緩む口元を隠そうとして、両腕に抱えた荷物に遮られた。不自由な手元が狂い、財布が傾ぐ。小銭が零れて足元に散らばる。
「ああ、……すまない、先にどうぞ」
嘆息まじりに肩越しに振り返る。後ろに並んで待つひとに詫び、小銭を拾おうとして、
(……どう拾う?)
両手を塞ぐ荷物に途方に暮れた。
後のひとに場所を譲って半歩退きつつ、色々とついていない今日を一瞬の間に反芻する。
(否、気が緩んでいる証拠か……)
一気に襲い掛かる疲労感に僅かに肩を落とし、どうしたものかと思案していると、後ろのひとがひょいと屈み込んだ。肩に担いだズタ袋を躊躇いなく床に置き、ふたつに三つ編みにした黒髪を揺らして散らばった小銭を拾い集めてくれる。
「どこ行くんスか」
不貞腐れたような、けれど不機嫌ではない声音に、聞き覚えがあった。券売機の前に立ち、拾い集めた小銭を数える黒髪の女性に、高久は淡く笑む。シーサイドタウン駅までを、と頼み、
「ありがとう、獅子島君」
いつか世話になった女性に頭を下げる。ささやかな厚意を受けただけで、疲れかけていた心はふわりと軽くなった。
眼鏡の奥、泣き腫らしたように紅帯びた眼をちらりと伏せて、市子は高久の手に購入した乗車券を載せ、釣銭を財布に放り込む。雨降りしきる駅舎の外へ、そっと息吐くように黒い瞳を向ける。
「……いー島じゃんね」
まるでこの先長く戻れぬ故郷を懐かしむかのような眼差しに、微かに首を傾げつつ、高久は莞爾と笑う。
「そうだな、いい島だ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月27日
参加申し込みの期限
2015年08月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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