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自動販売機の前
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切れかけた街灯が道の果てに明滅している。
薄汚れた壁、砕けたビールケースや得体の知れないゴミがはみ出たポリバケツに囲まれた黒ずんだ磨り硝子のドア、破れたフェンスの前に転がる空き缶の詰まったポリ袋、枯れたまま放置された幾つもの鉢植え。
昼間であれば多少人通りのある裏通りも、夜ともなれば一切の人通りが途絶える。
闇に慣れた黒い瞳を路地裏に巡らせ、
日暮 ねむる
は欠伸交じりの吐息を零す。夜も更けた。もれいびによる悪事を警戒しての夜回りも、今日のところは問題なく終わらせられそうだ。
黒髪の頭を掻く。路地の隅で不機嫌な光を灯らせる落書き塗れの自動販売機の前、
(コーヒーブレイク、と思ったけど)
「こんばんは」
背後から聞こえた幼さを残した少年の声に足を止める。夜更けの路地裏に似つかわしくない、明るい声音。
「今日は月が綺麗でいい夜だね」
少年の声に言われるがまま空を仰いで、壁と壁に挟まれた狭い空に輝く月を見る。
「……あなたからは同じ匂いを感じるなぁ」
月を瞳に、肩越しに流した視線の先、恐ろしく自然な仕草で鋏を取り出す痩せた少年の影を捉える。
少年の、黄昏に沈む闇の色した瞳と視線が交わったその刹那、ねむるは本能に近く身を翻す。一瞬前まで己が首筋があった空間を、銀色の鋏が裂いて過ぎる。
足音もほとんどなくねむるに飛び掛った少年の小柄な身体が勢い余してたたらを踏む。空を切った鋏の切っ先が自販機のウィンドウ部分に突き刺さる。
「っと、」
躊躇いなく鋏を離す少年の顔に向け、ねむるは体勢立て直す間を惜しんだ右ストレートを放つ。
大抵の人間を打ち倒す拳は、けれど少年の重ねた両掌に柔らかく包み込まれた。ねむるの拳の衝撃を受け流し、少年の小柄な体がふわりと後退する。一切のダメージも受けず、体勢も崩さず、少年はねむると距離を取る。
(受け止めます、か)
舌打ちとも笑みとも知れず、唇が歪む。自分よりも幼いその癖、少年はかなりの場数を踏んでいるようだ。
桃色の舌をちらりと出し、少年が唇を舐める。
自販機の灯を脇にする少年を間近に見て、ねむるは眉間に皺を刻む。
凶悪な笑み浮かべる少年の頬や服に斑に跳ねる、少年のものではない血。
挑発に似た眼差しを真っ向から受け止め、ねむるはちらりと凶暴な笑みを浮かべる。
どちらかが再度仕掛けるまで続くかと思われた睨み合いは、
「……あーもうやめやめ!」
少年が投げやりに言った途端に終わりを告げた。
「ぶっちゃけこれからもう一戦ってしんどいし」
おどけて両手を掲げる少年にこれ以上やりあう気のなさを見て取り、ねむるは拳から力をぬく。
「同感、これ以上疲れたら明日起きれなくなりそうだしね」
とは言え警戒は解かず距離を開けるねむるに、少年は先ほどの凶悪な笑みとは打って変わった人懐っこい子どもの笑顔を向ける。自販機に突き刺さったままの鋏を何気ない仕草で引き抜き、悪戯を自覚した子どものように困った顔をする。
「体動かした後は甘い紅茶だよねー」
ポケットから財布を出そうとして、自販機の光に照らし出された服に跳ねる返り血に気付いた。
「うっわ汚い最悪……」
手袋はめた指先で汚いものに触れるかのように服をつまみ、神経質に瞳を歪める。忌々しげに罵声を吐き捨て、そうしてまた子どもらしく唇を尖らせる。
「まあ、それなりに楽しめたからいいか」
「喧嘩、かい?」
無邪気な幼子の顔と危うい少年の顔を入り乱れさせる少年を視界に捉えたまま、ねむるは瞳を細める。
「それはお互いさま、だよね?」
からかう眼差しを向けられ、ねむるは思わず自分の服を確かめる。今日は誰ともやりあっていない。返り血も何も、もらってはいないはず。
「だってそんな感じがするもん」
「……やるのは悪事を働く奴とだけだね」
「ふうん、……にしても今日も派手にやったなー」
自販機で缶紅茶を買いつつ、少年は何でもないように応じる。
「でもこんな所でこんな面白い人に会えるって分かってたら、遊ばず真直ぐここに来たのにね」
何気ない動作で除菌シートを取り出し、己が綺麗だと認められるまで入念に拭いてから缶を開ける。温かく甘い紅茶を喉に流し込み、白い息と共に無邪気な笑みを浮かべる。
(へぇ、同類さんですか)
悪事働くもれいびを制するためと言い聞かせつつ、根底では強者との戦いを快楽ともするねむるは、目前の少年の在り様をそう捉えた。
ともあれ、それは場合によっては己の障害ともなりかねない。
(牽制も兼ねて)
「そうそう、あなたみたいな人種に聞いてみたかったことがあるんだけど」
話しかけようとするねむるの先手を打って、少年は長い睫毛に縁取られた瞳を瞬かせる。
「正義の味方ごっこって楽しい?」
そういう人間が島にいる、と知ったのは最近のこと。ストレス解消のためにしか喧嘩をしない彼にとって、『正義の味方』をする人間の意図に理解が及ばず、だからこそ興味が湧いた。
隠し持った鋏を突きつけられる鋭さで切り込まれて、
(おや、煽られてる?)
けれどねむるは動じぬ笑みを返す。
(打算的って面じゃ似てるのかもね)
「じゃあ逆に聞くけど、君は定期的に行う部屋の掃除に楽しみを感じているのかい?」
「部屋掃除?」
「結局のところスケールが違うだけ、僕は旧市街という大きな部屋を掃除しているだけなんだ」
本当のところは違う。
自身の身内に降りかかるかもしれない害を、そのリスク要因を一つでも多く減らしたいだけ。親しい人間を守りたい、それだけ。そのためにも、己の戦いを好む性癖は都合が良かった。
ただそれを真っ正直に、初対面の、しかも好戦的な少年に伝える気にはなれなかった。
「僕自身にとって居心地のいい空間となるように、ね」
だから少し嘘を混ぜ、少年の様子を探る。
「……なるほど部屋掃除か」
缶に唇を付けたまま、少年は僅かな納得を見せて頷き、軽やかな笑い声をあげた。紅を混ぜたような黒い瞳が楽しげに細くなる。
「結局は自分のためなんだ」
「当然」
真実を嘘に隠して、ねむるは笑みを返す。
「他人のためとか御託並べる奴らよりあなたは好感持てるなー」
得られた好感の分だけ、ねむるは少年に近づく。傍らに立ち、自販機で自分の缶コーヒーを購入する。
並んで飲料を口にしながら、ねむるは少年の頬を汚す誰かの返り血を目に映す。ポケットからハンカチを取り出し、少年の頬を示す。
「血、ついてるよ」
少年に抱いた好意を示して差し出す。
「ありがと」
返り血さえつけていなければ、下手をすれば少女とも見紛う白い頬に花咲くような笑み広げ、少年はねむるからの好意を受け取る。頬に貼りついて固まりかけた血をごしごしと乱暴に擦り取り、ついでに除菌シートも使う。
「ねえ」
「ん?」
「先輩としてのアドバイスあったら教えて欲しいな」
「先輩、ねぇ」
目的は違えど、夜な夜な殴り合いに身を投じるふたりは揃って夜明け前の暗い空を仰ぐ。
「そうだなぁ、間違いなく言えるのは一つだけ」
缶コーヒーを口にしながらしばらく考えて後、ねむるは傍らに立つ危うげな少年を見遣る。
「今の君のやり方じゃ、いつかボロが出る」
心底不思議そうに首を傾げる少年に向け、小さく息を吐く。温かく白い息が夜空に流れ出し、冷たく冷えて色を失くすまで見送る。
荒んだ瞳と無邪気な瞳の両方を持つ少年の身形はいい。小柄ではあるけれど病的に痩せてもおらず、血色もいい。少なくとも、服を買い与え、食事を与える身内は確かに居ると見ていい。
「それで君が捕まりでもしたら身内が悲しむんじゃないかな?」
己にも常々言い聞かせる言葉を、そのまま少年への助言とする。
『先輩』からのアドバイスを受けて、少年は白い眉間に皺を刻む。こちらを見つめる『先輩』を見返し、素直に頷く。
「確かに最近ちょっと派手にやり過ぎたかも」
ちらりと肩をすくめ、
「反省ー、バレちゃったらもう楽しめないもんね!」
あっけらかんと笑う少年に、ねむるは似たような笑みを返す。コーヒーの残りを干そうと缶を傾け、ゆるゆると白み始める空を見る。この時期、夜は長いが明け始めれば朝は見る間に訪れる。
「そろそろ帰らないと皆起きてきちゃう」
空になった缶を几帳面にゴミ籠に捨て、少年はねむるに手を振る。
「そういえば名前、聞いてなかった」
三夜 架月
だよ、と少年は仮面を掛け変えるかのように明朗な優等生じみた笑顔になる。よろしくね、と声を弾ませる。
「そういや自己紹介が遅れたね」
日暮 ねむる
だよ、とねむるはのんびりと微笑んで見せる。よろしくねぇ、と手を振って、
「あ、言い忘れてた事があったんだ」
その手を下ろして拳にする。
「僕の身内にはくれぐれも手出ししないでね」
路地に残る夜闇に笑みを沈める。
「君が相手でもその時は潰すから」
「あはっ、それって脅し?」
ねむるの低い声を明るい声でいなし、架月は顎を引く。
「怖いなぁ……善処するよ」
黒い瞳を細める。次に邂逅する時、彼は敵だろうか、味方だろうか。相手の立場への期待感を胸に、踵を返す。
振り返りもせず軽い足取りで路地から去る少年に、
「……じゃあね~」
もう一度手を振り、ねむるは大欠伸をする。うっかり話し込んで遅くなってしまった。今日も徹夜で通学になりそうだ。
(ま、授業中寝るから問題ないんだけど)
カラン、空き缶をゴミ籠に投げ捨てる。
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年07月27日
参加申し込みの期限
2015年08月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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