その頃、御剣ハーレム隊一行は、何故かPECの横嶋 下心と七峯 亨と合流していた。
「そっかぁ！　刀も俺たちの仲間なんだね！」
　横嶋隊長は爽やかな笑顔をたたえていた。
「ようこそ！　PECは君を歓迎するよ！」
「誰が入るか！！」
　御剣は即答で断った。
「……こんな変態たちと俺が同じカテゴリーにいること自体、なにかの間違いだ……」
　御剣はがっくりと肩を落とした。
　だが、ムッツリストの業が巡り巡って発露したと考えると、彼自身もどこか納得せざるを得なかった。
「俺はただ、ラッキースケベが多すぎるだけなんだ……」
「いいじゃねぇか、ラッキースケベ！」
　七峯もまた、サムズアップをしながら爽やかに微笑んだ。
「男はやっぱ、ラッキースケベだよな！」
　そう言いながら隣にいるキオネ（北条 冬華）のたわわな乳房を掴んだ。
「おっとすまねぇ。やけにフィットする球体だと思ったらおっぱいだったな」
「ま、魔力向上の、ため……です……！」
　キオネは必死にセクハラに耐えていた。
「そしてタッチ、エンド、ゴー！」
　キオネのおっぱいを揉んだあと、クールにダッシュ、３秒後には道向かいにいた発酵の魔法少女リア・タワー（塔ヶ崎 璃亜）の魔力の詰まった胸元を揉みしだいていた。
「ひゃあぁん……！？　そんなに揉んだら……大きくなっちゃいます……！」
　リアのおっぱいは魔力タンクであり、全開放しないようにおっぱいで抑え込んでいるのだ。
「なん……だと……？　揉めばデカくなるって都市伝説じゃなかったのか！？」
　大きくなると言われたら揉まずにいられないのが変態の性（さが）だ。
「俺にも大きくさせる手伝いをさせてほしいな！」
　横嶋隊長も参戦！
「嫌がる美少女の歪んだ顔付き……ゾクゾクしてきた……」
　触手さん（朝野 未沙）も興奮！
　水の魔法弾を自分の頭からかぶると、ろっこん『あなたの後ろに這い寄る触手』を発動！

　両手両足を触手に変えて、リアの膨れた魔力袋へ螺旋状に絡みついた。
「いやっ……いやですぅ……なんで、こんなことに……不幸です……」
　リアは膨れ上がる魔力（とおっぱい）を必死に両腕で抑えていた。
　くい込んだ触手と二の腕で変形する胸元が、どうしようもなく扇情的である。
　これに同行していたおっぱい賢者のマスター握（握 利平）は、己のリビドーを奮い立たせる他なかった。
「はち切れんばかりの魔力。例えるなら極上の酒で満たされた革袋！　ブラボー！」
　昂ぶったマスター握は乳揉不敗の誇りにかけて、唖然として光景を見守るプリズマスカーレット（小山内 海）へ駆け寄った。
「おい、そこの魔法少女！　揉　ま　せ　る　ん　だ　！」
『えぇ！？』
　驚くスカーレット。
　だが乳揉不敗は迷わなかった。
「安心したまえ。魔力が上がる。なぜなら俺はおっぱい賢者だからだ」
『そんなっ、説明は？』
「揉めばわかる！」
　マスター握は控えめなスカーレットの胸を優しく愛撫しはじめた。
（刀くんと違って……とっても激しいよ……！）
　蹂躙される胸元の感覚に、思わず彼女は目を固く閉じてしまう。
　しかし、マスター握はそうとも知らずに、スカーレットのおっぱい批評をはじめた。
「フム、固さの残る未成熟な果実。大丈夫、お前の未来は明るいぞ」
　マスター握はバストアップマッサージも兼ねて念入りに揉み込んでいく。
（なんか……エステみたいだよね……）
　そこかしこで行われているセクハラ行為に、スカーレットの心は麻痺しかけていた。
　と、その時、マスター握の体に異変が生じる。
「ハァ……ハァ……さあ、俺の物理も漲って来たぜ」
　マスター握の身体が白く輝き始めた。
「お前に、今こそ俺の全てを与えよう！　受け取れ、この魔力を！」
　彼の身体がビクッと大きく痙攣する！
「白昼夢・精霊乱舞（ホワイトナイトメア・スピリッツバーニング）！！」
　マスター握の体にまとっていた白いオーラが濃縮魔力となってスカーレットの顔に浴びせられた！
『きゃっ！　目に入った……！　口の中も……』
　顔の皮膚から白い魔力を吸収したスカーレット。
『すごい……チカラが溢れてくる……！』
　無事にパワーアップを完了させることができたようだ。
　一方、マスター握はというと？
「……ふぅ」
　真っ白に燃え尽きていた。
「握君！　しっかり！」
　ビールメンポの狩人さんじゅうにさい（小野田 万里）が抱き寄せる。
　すべてを伝え切った握の呼吸が徐々に弱まっていく。
「……小野田さん。美女なのに……なんでそんなに残念なんだ……？」
「握君、ダメ、目を開けて！　よく見て、美女のあたしは残念じゃないわ！」
　半分抗議めいた狩人さんじゅうにさいの呼びかけに、握が目をカッと見開いた。
「そうよ！　君にはまだ、揉んでいない乳が沢山あるのよ！」
「……いや、もう、揉んださ」
　握は自分の右手を眺めながら満足そうに呟いた。

































――指……腱鞘炎だ……。




























　その右手が、だらり、と力なく地に落ちた。
　彼の目は、二度と開くことはなかった。
「握くぅぅぅぅぅぅぅんっ！！！」
　狩人さんじゅうにさいが泣き叫ぶ。
「なんて、なんてことだ……！」
　七峯も涙がこぼれないように天を仰いだ。
「利平……！　無茶しやがって……！」
　横嶋隊長は、青空に浮かぶ握に向かって敬礼をした。

　握の大漁旗トランクスの幻影が大空に昇っていく。
　トランクスを見上げて目頭を熱くする変態たち。
「お前のおっぱいへの情熱……、不覚にも、俺も感動した……！」
　御剣も横嶋隊長にならって最敬礼。
「安心して、利平君……、キミのおっぱい意志はあたしが受け継ぐから……！」
　右の触手でリアを絡めとり、左の触手でキオネを締め上げる触手さんも涙が止まらない。
　唯一、完全に蚊帳の外状態のスカーレットは吹き出しテロップで呟いた。




『わけがわからないや……』


＜握 利平：死亡確認（死因：おっぱい揉みすぎ）＞