【ハロウィン】劇場版　ねこじま魔法少女大戦　H”（エッヂ）｜リアクション

【ハロウィン】劇場版　ねこじま魔法少女大戦　H”（エッヂ）

　その頃、凶悪なバーサークアルティメットダークオカマ（略してBUDO）こと尾鎌蛇那伊は、１人の魔法少女めいた魔法少年に足止めされていた。
　魔法少年の名は、八神修という。

　彼は今、星ヶ丘で人気のスイーツを手土産に、パンプキンクイーンへ会いに行こうとしていた。
　夏に取得した二輪車免許を駆使し、バイクで旧市街までカボチャを轢き殺しながら突き進んでいた。
「魔法を使う奴が相手なら、八神家奥義を使わざるを得ない」
　そう決意を固めた矢先に、尾鎌が目の前に現れたのだ。
「尾鎌、悪いが俺は先を急ぐ。レディを待たせているんだ。退いてくれ」
「カッカドゥドーゥ！！」
　しかし、もはや人語を忘れてしまった彼は、ただの変態モンスターであった。
　ＤＮＡに刻まれし色業拳の怨霊が、魔法少女とニンジャの衣服を破けと自身のソウルに囁いているのだ。
「ＺＥＮＲＡ！！」
　そして尾鎌はヘンタイシャウトとともに、穿いていたドロワーズを破り捨てた。
　無論、ＺＥＮＲＡと化した尾鎌に、葉っぱなんて必要なかった。
（我々には神魂でモザイクが掛かっているように見えるが、現地では無修正です）
「……俺は少女だが、男だ！」
　八神は意味深な言葉を吐くと、メガネを掛けて返信の呪文を唱えた。
「剣閃！」
　瞬時にマジカルアーマーを装着する八神。
　黒スーツに漆塗りの鎧帷子。日本刀を腰に差し、ニヒルに唇を釣り上げる。
　畑仕事を終えたあと、「今度、料理してあげようか？」と甘くささやきそうなグッド・ルッキングであった。
「魔法少年キャンドルカッター・ヤ＝ガミンだ」
　ヤ＝ガミンはネクタイを緩めつつ、不敵に微笑む。
「俺様の邪魔をするか……。いいぜ、八神家奥義の肩慣らしにちょうどいい」
　メガネを掛けた俺様モードのヤ＝ガミンが歩を進めた。
　すかさず尾鎌が衣服を剥ぎ取らんと飛びかかった！
「ＺＥＮＲＡ！！」
　だが八神は魔力で尾鎌を弾き返した。
　盛大に吹っ飛んだ尾鎌だが、なんと空中２段ジャンプで帰還してきた。
　大乱闘でスマッシュな芸当は、彼が忍者になりきれなかった名残だと推測される。
「ＺＥＮＲＡ！！」
　勢いに乗った尾鎌の豪腕が空を裂く。
　ああ、このままでは１秒後にヤ＝ガミンは中傷どころか丸裸になってしまう！
　だがヤ＝ガミンは止まらない。
　止まらないどころかダッシュで尾鎌に接近！
　そして手を伸ばし、右手をシェイク、左手で手刀を放った。
「八神家奥義、サイドワインダー！」
　蛇の蛇行の如き手の軌道が、尾鎌の弱点を的確に突く！

「ア　ッ　ー　！」

　地面に転がり痙攣する尾鎌。
　その姿は寝子島に水揚げされたサンマを彷彿とさせた。
　だがなぜだろうか、尾鎌は股間を押さえたまま幸せそうな表情を浮かべている！
「久々に試したが、腕は衰えてないようだ。……因果なもんだな」
　八神はバイクにまたがると、再びエンジンをふかして町役場を目指す。
「八神家の教育の賜物とはいえ……こんなスキルが役立つ日が来るか」
　自棄気味に吐き捨てるヤ＝ガミン。
　残された尾鎌は、とろけそうな目つきでバイクの背を見送るのであった……。

＜尾鎌蛇那伊：昇天＞