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澄んだ秋空の色を写す猫又川の川面を渡る風に長い黒髪を撫でられて、
雨宮 詩空
は琥珀色の瞳を笑みに細めた。河口に近いこの辺りの道は、風向きによって潮の香りの風が吹く。
海のにおいを胸いっぱいに吸い込んで空を見上げる。天気がよくて風が気持ちいいこんな日は、まっすぐ家に帰るのはもったいない。
今出てきたばかりの寝子島中学校を肩越しに振り返る。中学校のグラウンドからは運動部の掛け声が、隣り合わせた小学校からは下校時刻ぎりぎりまで運動場で遊ぶ小学生達の笑い声が、それぞれに聞こえてきている。
賑やかな声を背中に聞きながら、詩空は学校から程近い公園へと足を向ける。公園の紅葉がそろそろ綺麗に色付き始める。今日は公園を彩る真っ赤な紅葉と銀杏を描こう。
黒髪を揺らす風が、詩空の両袖を揺らす。
詩空には、生まれつき両腕がない。
絵を描く道具の入った鞄を首から提げて、詩空は青空を仰ぐ。こんなに晴れて風のある日は、もっと幼い頃に公園で出会ったあの人を思い出す――
「なあ、なんで?」
同じ小学校に通う同級生の男子に無邪気に問われて、小学生低学年だった詩空は言葉に詰まった。
自分達と違う。それだけで不思議がられた。最初は無邪気な悪戯だった詩空へのちょっかいも、罪悪感を感じない無邪気なものだったが故に日を追って少しずつエスカレートした。
似た境遇の人が描いた絵を見て心を動かされ、絵を描き始めたことを知られてからは、それは激しさを増した。
「絵なんか描けるもんか」
服を、靴を、筆箱を隠された。髪を引っ張られ、複数人に囲まれて醜い言葉を投げつけられた。
返す言葉を見つけられず、耳も塞げず黙って俯けば、叩き付けられる言葉は更に酷くなった。泣き出せば笑われた。
蹲ってみんなが去るのをただひたすらに待った。誰もいない通学路を泣きながら帰った。
お陽さまが傾き掛けた帰り道が寂しくて、ともだちに突き飛ばされた肩が痛くて、息を零せば涙も一緒に零れた。
滲む視界に自分の家が見え始めて、気がついた。
(だめ、帰れないよ)
このまま家に帰れば、泣いている姿を親に見られてしまう。お母さんやお父さんに心配を掛けるのは子供心に辛かった。ふたりに悲しい顔をさせたくなかった。
家に背中を向ける。逃げるように来た道をもう一度辿る。
(どうしよう、どこに行こう)
行くあてを探していて、ふと海風のにおいのする風に背中を優しく押された。髪を撫でる風に連れられて辿りついたのは、家の近くの公園。
鮮やかに色づく紅葉の公園の隅のベンチに人目を避けて座り込む。頬を伝う涙を服の肩口で拭う。ともだちの手でゴミ箱に捨てられていたのを見つけて拾い上げ、大切に持って来たスケッチブックを膝に広げる。
まだ口で文字を書くことも覚束ないのに、文字よりも更に器用な筆遣いが必要な絵の出来はお世辞にも上手いとは言えない。それでも懸命に毎日練習した絵の上には、ともだちが書き殴った心無い言葉があった。
ともだちの文字を見た途端、涙が吹き出して画用紙の上に落ちる。
止まらない涙をそのままに、鉛筆を唇に挟む。ベンチの上に落ちた金色の銀杏の葉を睨むように見つめ、真っ白な画用紙にそのかたちをなぞる練習をする。
「……今年も綺麗ねえ」
ふと傍らに響いた声に、集中し切っていた瞳を上げれば、どこか心配そうな瞳で、けれど明るく笑んだお婆さんが立っていた。
「銀杏を描いているのね」
詩空の姿も泣いている理由も尋ねず、お婆さんは詩空の隣にちょこんと腰掛けた。声もあげずに涙だけを零す詩空の背中や頭を皺深い掌で優しく撫でる。
「一生懸命に描くのね。きっと上達するわ」
お婆さんの優しい掌と心底からの言葉に、詩空はしばらく瞳を伏せる。
無邪気で残酷な学校のともだちよりも、ゆっくりと思慮深く話すお婆さんの方が何倍も信じられた。そうして信じた途端、悲しさと悔しさに張り裂けそうだった胸がふと軽くなった。
「あなたはあなたを信じればいいのよ」
あの出来事が、あの言葉が、今でも心の真中にある。今でも時々は挫けそうになる心をしっかりと支えてくれる。
公園の端のベンチに腰を下ろし、絵画道具を広げる。
幼いあの日、泣きながら描いた公園の紅葉は、中学生になった今も鮮やかに赤く黄色く色づいている。
「うわあ、きれい」
「今年も綺麗ねえ」
屈託のない歓声を上げる詩空の隣、小柄なお婆さんがちょこんと腰掛ける。
「今日は、お婆ちゃん」
あの日、元気と笑顔をくれたお婆さんに、詩空は今日も元気いっぱいの笑顔を向ける。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月04日
参加申し込みの期限
2015年04月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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