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休み時間のチャイムが鳴るなり、
灰谷 姫子
は体育科九組の教室を飛び出す。開け放した廊下の窓から流れ込む秋風に肩まで伸びた栗色の髪を揺らし、ぶつかりそうになる生徒を素早くかわして走る。
「ごっめーんっ!」
明るい声で謝りながら、走る足は一切緩めない。脇目も振らず真直ぐ向かうのは、
「オルガちゃーん!」
同学年普通科五組の
秋映・オルガ・アヴァロン
のもと。
廊下を駆けながら思い浮かぶのは、今朝方、下駄箱で出会ったときのオルガの顔。幼い頃に喉の病で声を失ったオルガは、タブレット端末をタイピング操作することで他のひとと自在に会話する。
――オルガちゃん、おっはよー!
いつものように元気いっぱい声を掛けて、けれどオルガから返ってきたのはタブレット文字の返事ではなく、鋭い眼の一瞥のみ。
構わず隣に並んで話しかけようとする姫子から視線を逸らし、オルガは足早に自分の教室に入ってしまった。追い掛けようとして、始業のチャイムに阻まれてしまった。
(オルガちゃん元気がなかったけど、どうしたんだろ……)
笑顔が一番だと思うけれど、皆が笑って居られればいいのになとは思うけれど、人間誰しも浮き沈みはある。そんな時こそ力になるのが友達というもの。
朝に突っぱねられたことにも全くめげず、気にもせず、姫子は一途に友達の居る教室を目指す。
(とりあえず! 可愛いオルガちゃんの笑顔を取り戻すのだ!)
五組教室の廊下側の開いた窓に両手を掛けて急停止する。
「オルガちゃん!」
自席で背筋を伸ばして座るオルガに向け、快活な声で呼びかける。
細いうなじを覆うほどの短い黒髪が微かに揺れた。前髪の一部を留める林檎型のピンが光る。
林檎の紅色した瞳は朝と同じに険を帯びていて、姫子はやっぱり心配になる。
(むー、やっぱり元気がない)
心配のあまり出入り扉の回るのも忘れて窓から教室内に侵入しようとする姫子に向け、オルガは自作アプリを用いて会話のタイムラグを無くしたタブレット端末の文字を向ける。
『放っておいて』
オルガにきっぱりと拒絶を示され、再度始業のチャイムに阻まれ、姫子は窓枠に掛けていた片足を下ろす。通りがかりのクラスメイトに襟首を掴まれ、引き摺られる格好で戻る。
「……」
窓から消える姫子の姿を横目で見送り、オルガは小さく溜息を吐いた。タブレット画面に残る、自分で打ち込んだ文字に視線を落とす。
(放っておいて)
心の中に呟いて、その言葉の冷たさに瞳が歪む。今日も好意を素直に受け取れなかった。
気を遣われるのは嫌いとは言え、いつものこととは言え、虫の居所が悪かったとは言え、
(……でも)
教室に教科の先生が入って来る。知らぬ間に授業が始まり、知らぬ間に授業が終わる。黒板の文字をノートに書き写しはするものの、内容は全く頭に入って来ない。
(きっと愛想を尽かされた)
放課後を待って、教室を出る。
部活や自宅に向かう生徒達とは反対方向へ、人の少ない方へと足を運ぶ。階段を登り、放課後、人気の無い屋上の扉を開ける。
一人に、なりたかった。
(慰めようとしてくれたのに)
彼女が真直ぐに向けてくれる優しさに気付いていなかったわけではない。
(……灰谷君)
一人になりたいのに、彼女の屈託のない明るい笑顔ばかりが脳裏に貼りついて離れない。彼女は笑顔を返すことも出来ない自分に対しても優しく接してくれる貴重な人だったのに。
(もう彼女の笑顔が私に向けられることはない)
あんなに冷たくあしらってしまった。
青空の光を仰ぐ。秋風に制服のスカートの裾を揺らして歩き、屋上の端に立つ。行く手を遮る鉄柵を両手で掴む。
(もう嫌)
素直になれない自分の性格が疎ましくて、こんな目にあっても変えられそうにない自分が心底嫌で、
(……っ……)
頬に触れる秋風の冷たさが増した気がした。頬に指で触れて、いつからか涙が幾筋と伝っていることに気付いた。息を吐いて、息が震えていることに気付いた。涙の熱を帯びた瞼を指で擦る。溢れて止まらない涙のうちに、
(また前のように一人になるだけ)
覚悟を決めようとした、その時。
「うわぁぁぁん! オルガちゃぁぁぁぁぁん!」
青空に響く大きな音をたてて、屋上の扉が開いた。ぎくりと涙を拭って振り返れば、開いた扉の前、もう二度と視線も合わせてくれまいと思い込んでいた姫子が顔中で泣きながら立っている。しかも呼んでいるのは、もう二度と呼ばれまいと思っていた自分の名前。
「オルガちゃぁぁん!」
衝撃のあまり涙も止まった。
(ど、どういうことなの……)
しばらく眺めてみる。涙で前が見えないのか、姫子は取り残された迷子の顔で屋上を見回し、ぐずぐずと涙を制服の裾で拭う。
見ていられなくなったオルガがこっちに居るよとばかり思わず手をあげた途端、姫子がオルガを捕捉した。一直線に駆け寄ってくる。
「オルガちゃんオルガちゃんー! 楽しみにとって置いたお団子、賞味期限昨日までだったー!」
ぶつかるように抱きつかれ、肩に涙で濡れた顔を押し付けて泣き付かれ、オルガは呆然と立ち尽くす。
「うちのお団子ぉ……」
朝からずっと元気の無かった友達を励ますため、この由々しき事態を打開するため、放課後に甘いものを食べに行こうと誘おうと思いついた直後に思い出した衝撃の事実に、姫子はこの世の終わりの如く嘆き続ける。
(灰谷君……)
いつも通りと言えばいつも通りな姫子の肩を軽く叩きながら、オルガは眉を顰める。
(さっきのこと、気にしてない……?)
そう尋ねるためにタブレットを操作しようとした指先が固まる。自分からそれを聞くことは怖かった。だから、いつも通りに接することにする。
(ずるいな……私)
姫子の強さに甘えてしまう自分の弱さに僅かに瞳を伏せつつ、泣き喚く姫子の両腕からもがいて逃れる。せめて笑顔を向けようとして、やっぱり出来なかった。いつも通りの仏頂面で、タブレット画面に言葉を記す。
『カフェに行こう』
「えっ?」
『美味しいスイーツがあるから』
「いくいく!」
『私が行きたいだけだから』
ぶっきらぼうに示した言葉に、姫子はさっきまでの泣き顔はどこへやら、満面の笑顔になる。
「お金の心配ならないぜ! こんな事もあろうかと!」
全身で飛び跳ね、素晴らしく爽やかな笑顔で一度は言ってみたかった台詞を口にする。
「姫ちゃんは、お小遣いをビミョーに取っておく子なのだよ!」
ついでに決めポーズのサムズアップもしてみせる姫子をしばらく見つめて後、オルガは眉ひとつ動かさずに傍らを通り抜ける。
『そう言えば、どうして私が屋上に居ると?』
「え、だってオルガちゃん、元気ないときは大抵ここだよ!」
事も無げに言われ、不思議そうに首を傾げられ、オルガは思わず困惑して俯く。
(なんだか敵わないな)
俯くオルガの頬に、一途に見つめていなければ分からないほどの微笑みを見つけて、姫子は訳もわからず、それでも嬉しくて全身で跳ねて笑った。
星ヶ丘の住宅地にある隠れ家カフェのテラス席で、オルガと姫子は向かい合って座る。
オルガの目の前にはいい香りの湯気をたてる紅茶と、大きめにカットされた林檎のアップルパイ。蜜が甘く光る熱いパイの上には冷たいバニラアイス。
「オルガちゃんのも美味しそう!」
大きなお団子と餡子の盛られた抹茶パフェを前に、姫子がスプーンを握り締める。
『ここのアップルパイ好きだから』
テーブルに置いたタブレットで素早く返事をし、オルガはフォークを手にする。
触れるより先にとろりと溶けて崩れるアイスとアップルパイをフォークに乗せ、口に運ぼうとして、
「……てぃ! 隙ありぃ!」
無造作に身を乗り出した姫子に、口元まで近づいていたアップルパイを強引に食べられてしまった。
(勝手に食べるな……!)
至福の時間を邪魔されたことに怒りつつ、姫子の顔との距離の近さに戸惑い、オルガは思わず身を引く。
「えへへ、おいしー!」
姫子は何でもないように元の位置に戻り、どこまでも幸せに笑う。
「そんなに怒らないでよー」
オルガの眉間に寄った皺さえも軽く笑い飛ばして、自分の前の抹茶パフェをひと匙すくう。三つしかないお団子も一つ、おまけに付ける。
「ほら、うちのもあげるから!」
あーん、とスプーンを差し出され、オルガは更に戸惑う。眉間の皺がますます深くなる。
(子供っぽいことして……)
差し出されたスプーンを見る。期待感でいっぱいの姫子の顔を見る。
断るに断り切れず、恥ずかしさを押し殺して渋々身を乗り出し、甘いクリームとお団子を口にする。
「美味しい?」
満足げな顔で問われ、不機嫌顔のまま小さく頷く。とんでもなく恥ずかしい思いをしたのに、でも、不思議な充足感を胸に得てしまって、
(……何故)
その理由が分からず、オルガはますます困惑する。
友達と食べるアップルパイはいつもよりも美味しくて、困惑はいつしか自省に変わる。
このまま、彼女の優しさに甘え続けてしまっていいのだろうか。
このまま別れてまた明日でいいのだろうか。
(……ここで素直にならなくちゃきっと後悔する)
「いやぁ、まんぞくまんぞく! また来ようね、オルガちゃん」
旺盛な食欲でパフェを片付け、上機嫌な姫子を前に、オルガは姿勢を正す。真直ぐに友達を見つめる。
『さっきはごめん』
「さっき? って?」
勇気を振り絞って頭を下げたのに、姫子はきょとんと目を丸くするばかり。全く覚えて居ない様子の姫子に、思わず拍子抜けして、オルガも一緒に目を丸くする。
(もしかして気を遣ってくれたのだろうか……)
疑いの眼を向けるも、姫子にその様子はない。それどころか、オルガと眼が合って心底嬉しそうに笑う。
(やっぱり敵わないな)
このまま彼女に甘えてしまっていいのだろうか。そう思いながらも、彼女のどこまでも明るい笑顔につられて、オルガは林檎色の瞳を和ませる。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月04日
参加申し込みの期限
2015年04月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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