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笑顔になるまで
【ハロウィン】駒鳥のお葬式
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――むかし、むかし。
ちいさな島に、ちいさな女の子がおりました。
かみなりぐもの色した女の子のひとみには、おとなには見えないナニカが見えました……
エナメルの黒い靴が地を這う樹の根に掴まえられる。暗い森を渡る湿った風に震える紅の髪が梢から垂れる野茨の蔦に絡まり引かれる。
「パパ」
金糸雀の声で父を呼ばわる。
「ママ」
幾度も転んで傷ついた細い腕を伸ばして母の手を乞う。
梢が幾重にも重なり陽を遮る黒い森に、歌う小鳥の姿は無い。跳ねる獣の姿は無い。森の闇が音を呑み込み、迷い込んだ無垢な少女さえその懐に押し隠す。
「パパ、ママ」
幼い
ネミッサ・ネモローサ
は父母を恋い慕う。ヘンゼルとはぐれたグレーテルのように真っ暗森を彷徨い歩く。
ヘンゼルとグレーテルは森の奥にお菓子の家を見つけられたけれど、ネミッサが見つけられるのは、陰鬱な色して捩れて重なり、緑の闇を生み出す魔女のような巨木ばかり。
魔女の樹の枝に髪を掴まれ、ネミッサは痛みに小さな悲鳴をあげる。指を伸ばして枝に触れれば、幼い少女の薄い皮膚は容易く樹皮に傷ついた。
引き裂かれた指先に赤い血の小さな珠がぷつぷつと膨れ上がる。闇に浮かび上がる鮮やかな血の色は、寂しさとひもじさに喘ぐ瞳にひどく温かいものに見えた。桃色の唇を指先につける。
甘そうに見えた血は、けれど吐き気がするほど不味かった。あどけない少女の瞳に失望が浮かぶ。
「パパ、ママ」
熱い息が森の闇に白く溶ける。
お出かけ用のドレスの下、白い肌が寒さに粟立つ。からっぽのお腹が悲しくて、手を取ってくれるパパもママもいないのが寂しくて、目の前が涙に滲む。ぽろり、一粒零れてしまえば、涙はとめどなく零れて落ちた。
「パパ、ママ」
ネミッサはひとりぼっちでぐずぐず泣きながらパパとママを捜して歩く。
森に来るまでは素敵だったのに。とっておきのドレスにとっておきのボンネット、おでかけの時にしか履けないぴかぴかの靴。パパとは右手、ママとは左手を仲良く繋いで、とってもご機嫌にお家を出たのに。
パパの手が温かくて、ママの笑顔が嬉しくて、小鳥の鳴く森の花の小路、ネミッサは思わず口走ってしまった。
――ほら、あの樫の枝に緑の小悪魔が座っているわ。あのねじれた角!
その瞬間、まるで汚らわしいものに触れるかのようにパパがネミッサの手を振り払った。ママがお黙りなさいと金切り声を上げてネミッサの頬を打った。そんなことを言う子は悪い子、悪い子はお仕置きよと反対の頬も打った。
(お仕置きは嫌いよ)
見えたものを教えてあげているだけなのに。もっとずっと小さい頃から見える色んなものは、人に見えない色んなものは、そんなに悪いもの?
輪になって踊る妖精も、暖炉の裏の小人も、教会の天使も、みんなそんなに悪いもの? 悪いものを見るネミッサは、パパとママが言うように不気味な悪い子?
パパとママは揃って青白い顔を気味悪そうに見合わせる。潜めた声で囁きあう。
――やっぱりチェンジリングなのよ
――本当の子供は妖精に攫われたんだ
ふたりの声を聞きながら、ネミッサは足元の靴を汚す水溜りを覗き込む。涙の滲む眼は真っ赤。
ふと、いつか近所の家で見た、死を知らせる妖精を思い出す。
――バンシーみたい
水面に写る自分の眼に向けて呟いて、けれどいつもなら飛んでくるはずのママは来なかった。
水溜りから顔を上げて見たのは、遠ざかるパパとママの背中。追いかけても追いつけないふたりの背中を、森の中にいつか見失った。捜せば捜すほど暗い森の中に迷い込んだ。
悲しくて忘れた振りをしたけれど、心の奥では分かっている。
(ネミッサは捨てられたの)
鎌を持った骸骨姿の死神が佇む蛇苺の茂みに、ネミッサは彷徨い疲れた体を横たえる。死神が殺していいのかと哂う。
「いいの。だって」
誰にも愛してもらえないから。
死神の鎌を受け入れようと伸ばした細い指先に、ふわり、蝶のように舞う金色の光が止まる。光は死神を追い払い、倒れるネミッサを不思議な力で立ち上がらせた。
金色に光る妖精に導かれるまま暗い森を進めば、隧道じみて折り重なる木々の向こう、森の出口が見えた。木々の間、眩しい角灯を聖なる炎のように掲げて立っているのは――
「おじ様!」
パパとママにいじめられて泣いているネミッサをいつも助けてくれる王子様を見つけて、ネミッサは体に澱む疲れも忘れて走り出す。
ネミッサ、と優しく呼んでくれる声が大好きだった。
妾腹のくせに、愛人の子のくせに、とパパに罵られる度に見せる冷たい瞳がぞくぞくするほど大好きだった。
ネミッサは暗い森から飛び出す。光の中、涙に濡れた頬に最高の笑みを浮かべて大好きな人の胸に縋りつく。金糸雀の声で笑う。
「ネミッサおじ様の為ならなんでもするわ!」
――こうしてちいさな女の子は、だいすきなおじさまのもとにもどることができました。
女の子をくらい森に捨てたパパとママは、……パパと、ママは……
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月04日
参加申し込みの期限
2015年04月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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