this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
笑顔になるまで
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
つぎへ >>
日々の忙しさに疲れた息を夜に零す。部屋着に着替える余力も無くなった細い身体をベッドの端にもたせ掛ける。
(ああ、でも、)
さらりと乾いた音立てて耳元を滑り落ちた黒髪に頬やうなじをくすぐられ、
紅林 柳霞
はともすれば閉ざしてしまいそうになる白い瞼を指先で擦る。
眠る前に、屋敷の一階で営むアンティークセレクトショップ『ステラ・マリス』に新しく届いた品物の検品と整理をしなくては。そうして出来れば今晩中に、
(品物のリスト、を……)
サイドチェストの上、淡い光を揺らすランプの光量を調節しようと伸ばした腕が、ぱたり、シーツに落ちる。
開け放った窓から秋の夜の風が冷たく流れ込む。
夜露の落ち始める庭に鳴く虫の声が届く柳霞の部屋、微かに響くは僅かの隙に眠りに落ちた柳霞の静かな寝息ばかり。
「行かないで」
自分の悲鳴に耳をうたれ、柳霞は転寝の眼を見開いた。頬を伝う冷たい涙に、怖い夢を見たことを思い出す。
今一番恐れていることを、夢に見た。
伸ばした手を無言のまま振り払われる夢。どうして、と問うことも出来ず、頑なな拒絶を示す彼の背中をただ見つめ続けた。
待って、の言葉すら言えず立ち尽くす間に、彼は振り返りもせず去ってしまった。遠くに行ってしまった。
(夢、だった)
安堵の息を吐く。それでも、夢が夢であったと理解しても、涙がほろほろ零れ落ちた。
(逢いたい)
心の底からそう思う。忙しさに追われ、愛しい彼に会えない日々が続いている。だからこそあんな夢を見たのだろうと自分に言い聞かせるけれど、
(本当になったらどうしよう)
どうしようもなく、不安に駆られる。
(でも、……でも、)
あの夜、オールドローズの咲き誇る庭で一緒に見た月の美しさを覚えている。月光を見上げる彼の横顔を、真直ぐに見詰めてくれた瞳の誠実さを、――あの時、確かに誓ってくれた言葉も。
この胸の真中に、彼がいる。いてくれる。
(好き)
彼の言葉を信じるままに心に呟けば、胸に暖かな愛しさが生まれる。
「……逢いたいな」
恋しさが溢れて呟きになる。サイドチェストに置いた携帯をちらり、見やる。携帯画面に示される時間はもう深夜、朝早い彼に迷惑をかけるわけにはいかない。
一目顔を見たい気持ちをぐっと我慢する。
それでも溢れる想いは抑え切れず、涙となってほろほろと零れて落ちる。寂しい秋の夜風に濡れた頬を撫でられながら、ひとり、彼を想う。
胸を苦しくさせる恋しさを切ない吐息に代えて、そっと自分の掌を見る。
己に宿ったろっこんの不思議な力を思う。この掌に息を吹きかければ、心に描いたものが掌に現れる。
掌を胸に抱く。瞳を伏せて想うのは、彼の笑顔。彼が自分に向けてくれる、優しい笑顔。
(少しだけなら……)
秋風に冷えた指先を伸ばし、サイドチェストのランプを消す。窓から流れ込む月明かりだけに満たされた部屋で、掌を唇に近づける。そっと、くちづけするように掌に息を吹きかける。
月光の蒼い光の中、彼の幻が浮かびあがる。
幻と分かっていて、彼の笑顔が嬉しかった。
『柳霞さん』
彼の笑顔に重なるのは、耳朶に残る彼が名を呼んでくれた時の声。何よりも愛しい、その声。今も掌に思い出す、繋いだ手の温もり。
彼がいつも向けてくれる優しさが痛いほど嬉しかった。
傍に居たくて、離れたくなくて、
(なんで私はこんなにも彼が好きなんだろう)
彼の笑顔の幻を見つめる。自分にさえ制御出来ない彼への想いに、思わず唇を淡く笑ませる。
彼と出会う前、高校の頃、高校の先輩と付き合っていたことだってある。彼女彼氏の関係だったのだから、好意は抱いていた。会えばどきどきした。彼女として頑張らなくてはと精一杯背伸びもした。けれど彼氏だった先輩には、あの頃こんな想いを抱きはしなかった。
――想像したのと違う
先輩には、そう言って振られてしまった。
胸の奥にチクリと蘇る高校時代の痛みは、けれどベッドサイドに置いたエッグキャンドルが視界に入った途端、彼と一緒に出かけた思い出が宝石のように胸に煌いた途端、崩れて溶けた。
彼の優しさは、どんなときも、どんな辛さからも救ってくれる。
(でも、)
彼が向けてくれた優しさの半分も返すことができていない気がする。
でも、それでも、
(やっぱり逢いたいな)
そうして、できることならば、これからもずっと傍に居たい。
自分で創りだした彼の幻影を見つめる。心の中にあるまま、穏かな笑顔を浮かべ続ける彼の名を呼ぶ。
いつか彼からくれると約束した言葉に応じるその時のために、
「愛してるよ……ずっとずっと」
心に宿る想いを甘く優しい声にする。
(これはいつかのための練習)
頬を伝う涙は、不安に震えるがためのものではなく、彼への思い。
月明かりに零れた涙の雫と眩しく浮かび上がる愛しい彼の幻に、彼への強い想いに、柳霞は甘く淡く微笑む。
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
笑顔になるまで
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月04日
参加申し込みの期限
2015年04月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!