天神平薬局のお薬キャンペーン｜リアクション

天神平薬局のお薬キャンペーン

　歩きながらゼロの瞼が下がってきた。小さな身体でかなりの距離を歩いていた。眠気に支配されて蛇行が激しくなる。
　夢現の状態で郵便ポストに向かっていく。激突の間際、ゼロのろっこん「夢の中へ」が発動した。
　近くで目撃した中年の女性は顔面を蒼白にした。
「少女が消えた！？」
　女性は短い悲鳴を上げて逃げ出した。
　その頃、ゼロは夢の中にいた。果ての無い綿菓子の上を軽やかに歩いている。飴細工の花が先々で咲き乱れ、空には大きなソフトクリームが入道雲のように浮かんでいた。
　幸せに溢れた夢の中でゼロは口にした。
「やっぱり、よくわからないのですー」
　薬の効果がはっきりしない状態でふわふわと夢の中を漂うのだった。