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鍵のない部屋で
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パレットに作った色をキャンバスに重ね、広げ、世界を彩る。
筆が止まる。
左右で僅かに色味の違う青の瞳に力を込め、自らが彩ったキャンバスの中の世界を見つめ、
小山内 海
は小さな息をひとつ吐き出す。美術室の窓から外へと視線を投げれば、空はいつの間にか茜色に暮れている。
茜色を映した海色の瞳を丸く見開いて、海は教室の前へと顔を向けた。結い上げた柔らかな亜麻色の髪が大きく揺れる。
視線の先には、窓辺に置いた椅子に腰掛け、外を眺める黒髪の少年、
御剣 刀
。
茜色に染まる凛々しい横顔に、ほんの少しの間、海は見惚れた。
「どうした、小山内」
海の視線に気付いて振り向く刀と目が合って、海は小動物じみた動作で首を横に振る。傍らに置いていたスケッチブックと鉛筆を手に取り、
『ごめんね、私のつごうでまっててもらっちゃって』
素早く書いた文字を絵の具塗れのエプロンの胸の前に掲げる。
「気にするな」
黒い眼を柔らかく細め、穏かに笑う刀にぺこりと頭を下げ、海はひと段落ついた課題にもう一度視線を走らせる。続きは明日にしようと決め、筆やパレットを素早く片付ける。
『そろそろかえろうか』
エプロンを外す海に合わせ、刀は引っ張り出してきていた椅子を元の場所に戻そうと持ち上げる。教室の隅に重ねて積み上げられた椅子の上に椅子を重ね、床に置いた鞄と袋入りの木刀を拾い上げて、
「さあ、」
行こう、と言いかけた声を呑みこみ、刀はちらりと首を傾げる。
先に教室から出ようとしていた海が、必死の形相で教室の引き戸に両手を掛け、戸を引いている。
「どうしたんだ?」
背後に立って声を掛ける。一生懸命に戸を開こうとしていた海が途方に暮れた瞳で刀を振り仰ぐ。
「扉が開かない?」
海は頷く。
「鍵はかかってないんだよな?」
もう一度、今度は繰り返し頷く。鍵を掛けた覚えはない。
(なんで開かないのかな)
真剣に悩む海の傍ら、刀は力任せに戸を開こうとする。開かないことも、鍵がかかっていないことも確かめ、ならばと教室後方の戸の前に移る。反対側の戸も矢張り開かない。夕暮れの色をいっぱいに映したどの窓も、鍵は開くその癖、どれだけ力をこめても窓枠を掴んで揺すっても、開かない。
(……えっと、)
戸の前で立ち尽くす海をちらりと見遣り、刀は頬を引っ掻く。
(閉じ込められた?)
「……」
窓辺に立ち考え込む刀の背中を見つめ、海は再度引き戸に手を掛ける。両腕に力をこめ、両足を踏ん張って、それでも戸は僅かも動かない。
(これ、ずっと開かなかったらどうしよう……)
美術室の外に人の気配はない。グラウンドの方から運動部員の掛け声は聞こえてきているけれど、室内からいくら叫んだところで声が届くとも思えない。
(あ、でも最悪明日になれば誰か来るからその時に気づいてもらえる、……よね? 大丈夫だよね?)
考えれば考えるほど少しずつ怖くなってきて、
(いやいやいや、た、たぶんろっこん関係だしきっとすぐに出れる……ハズ)
湧き上がる怖さを払おうとしても振り払えず、恐怖に高鳴る胸を押さえ、海は窓辺の刀の傍に小走りに近寄る。
「参ったな」
茜色の光の中、刀が困惑したように笑って振り返る。
「原因が分からないけれども何か神魂臭いな」
開かない窓をコツコツと拳で叩き、ふとおどけた顔をする。
「また神魂かよ! ……いや、お約束で」
言ってから、照れたようにまた笑う刀に励まされ、海はつられて笑う。
(うん、そうだよ、後ろ向きに考えちゃダメ、前向きに考えないと)
そう考えながらも、それでもやっぱりほんの少しは怖くて、海は刀の制服の裾を掴む。
(まず状況を整理しよう)
海は瞳を伏せる。この場が学校の美術室であること、誰かがすぐに助けに来てくれる可能性は薄いということ、刀と二人きりということ、
(……か、刀君と二人きり)
そこまで考えて、状況を冷静に分析していた海の思考が固まった。さっきとは違う意味で心臓がどきどきと煩いほどに打ち始める。でも。
(刀君がいてくれている)
無条件の信頼が籠もった無邪気な眼差しを向けてくる同い年の少女を、刀は見下ろす。
出会った頃よりも髪が伸びていることに気づいて、髪が伸びた今の方が好きなことに気づいて、刀は思わず目の前の少女を腕の中に収めたくなる。
抱きしめてしまえば、少女はその身に纏う小動物のような雰囲気そのままに可愛く身をよじって嫌がるだろうか。それでも離さなければ、小さく震えながら大人しくなるだろうか。
震える体は触れた指の痕が赤く残るほどにきっととても柔らかい。きつく抱きしめた時に触れる髪の毛さえもきっとふわふわと柔らかくて、良い匂いがするのだろう。
子犬のような愛くるしさと心地よさを、きっと感じることができる。
その心地よさをもっと感じるために、床に押し倒して――
傍らの少年がそんなことを考えているとは露知らず、海は信頼しきった瞳を刀へと向け続ける。
(大丈夫、だけど、)
誰の邪魔も入らない場所で二人っきり。そう思った途端、どきんとひとつ、胸が大きく鳴った。
例えば、と思う。例えば、今こうして制服の裾を掴んでいる手を刀に掴まれ、ぎゅっと強く抱きしめられてしまったら。髪に触れられ、頬に触れられ、肩や背中や腰や、もっといろんなところを触られてしまったら。押し倒されてしまったら。
もしそんなことをされてしまっても、
(きっと私は抵抗できない)
ううん、と海は視線を彷徨わせる。抵抗なんてしない。したくない。
(って、私は一体何を考えてるんだろう)
そこまで想像したところで、海は我に返る。そもそも傍らに居る少年は、性格的にそんなことは決してしない。
(しない、はず……)
そろり、視線を上げる。
上げた瞬間、刀と真っ向から目が合った。
真直ぐに向けられる刀の視線にいけない思考を読まれてしまう気がして、海はほとんど全身を羞恥に紅く染める。
(あれ?)
海と真直ぐに見詰め合いながら、実は海と同じような空想をしていた刀も、ぎくり、身を強張らせる。
(今、俺は)
海になら何をしてもいいんじゃないか、と。
そんな風にしたい、と。
身勝手な欲望と妄想に取り憑かれてしまった。
「……っ!」
「――!」
それぞれがそれぞれに抱いたみだらな想像を恥じて、ふたりは同時に、わざとらしいほど派手に目を逸らし顔を背けあう。
(今絶対、顔真っ赤になっちゃってるよ)
刀の服の裾から手を離し、海は両手で熱い頬を覆う。
うずくまってしまいたいほど恥ずかしい思いに駆られ、身動ぎもできなくなる海の隣で、
(まっ、参ったな)
刀もまた恥ずかしさに途方に暮れる。
以前は海に対してそんな風に思ったことなどなかった。それなのに、今。ふたりきりで閉じ込められた今、よりによってそんな風に感じてしまった。
顔がひたすらに熱い。
夕陽のせいだけでなく、ふたりは顔を真っ赤に染める。
(でも、ふたりっきりなんだよね)
(ここには他に誰もいないんだよな)
海が、刀が、ゆっくりと瞳を上げる。背けあった顔をもう一度正面から合わせる。躊躇いがちな視線が絡みあう。
「小山内」
刀に掠れた声で名を呼ばれ、海は思わず身を震わせた。刀の手が伸びてくる。見えない何かに導かれるかのように指先が頬にゆっくりと触れ――
その瞬間、窓の外から運動部の掛け声が響いた。それはもう高らかに力強く響き渡った。
「帰ろう」
海の頬に触れようとしていた手を慌てて引き戻し、刀は自分でも驚いた顔で海の傍を離れる。
(危なかった)
冷や汗さえかきながら美術室を横切って、
(もう少しで、)
気づく。もう少しで、どうしていた?
落ちつかない、ぎこちない動作で戸に手を掛ける。開かないだろうと思いながら腕に力を籠めれば、思いがけず軽く戸が開いた。力いっぱい引き開けられた戸が音立てて戸枠にぶつかる。
「……うお」
思わず呻いて、それから安堵する。息を吐き出し、窓辺に立つ海を振り返る。
「これで帰れるな」
力の抜けた声で話しかければ、海はどこか戸惑うように頷いた。
「寮まで送るよ」
刀から何でもないように誘われ、
(え、一緒に?)
けれど海は躊躇う。確かに元々そのために待っていてもらったのだけれど、それはそうなのだけれど。
「どうしたんだ、小山内?」
不思議そうに問いかけられ、海は必死に首を横に振る。刀が自分に触れようとした、さっきのあれはなんだったのだろう。
いけない思考を巡らせてしまった手前、きっと紅くなった顔を心配してくれたのだろう刀に対してものすごく後ろめたかった。申し訳なかった。
まともに刀の顔を見ることが出来ず、それでも送ってくれるのが嬉しくて、海はスケッチブックに何か文字を書こうとしてやめる。何を伝えればいいのか分からなくて、でも、
(……すき)
それだけは、確かで。
今はまだ伝えられない想いを胸に抱いて、海は刀の隣に駆け寄る。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月01日
参加申し込みの期限
2015年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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