海から島へと雪崩れ込んだ風が窓硝子を打つ音に、
木原 一颯は錫色した瞳を上げた。左の眼を覆うモノクルが、壁を飾る花模したランプの光を弾く。
先立ってまで長らく滞在していたヴェネツィアで買い集めた品々を展示する店舗とした、地中海風の己が邸の一階を穏かに見遣る。
窓を打ち据える強風に大粒の雨が混ざり始める。壁に佇み時を刻む古い柱時計の振り子の音を掻き消して、激しい雨音が室内に満ちる。
『villa L'eremita(隠者の隠れ家)』。イタリア語で銘打った店舗を飾るのは、白磁の肌に豪奢なドレスのビスクドール、精緻な細工施されたアンティークの椅子や円卓、飾り棚。絵葉書から中世の仮面舞踏会の仮面まで、多岐に渡る収集品を優しく照らす幾つかの照明が不規則に明滅し、一斉に消える。
不意に訪れた暗闇に、けれど一颯は僅かも動じず、ただ静かに息を吐く。黒檀のアンティーク棚を飾る古いオルゴールに触れていた、痩せて節くれ立って尚も繊細さを失わぬ指を下ろす。踵を返し、室外に続く扉に手を置いて、――そこで初めて、訝しげな皺が眉間に寄る。
鍵を掛けた覚えのない扉が、不可思議な力で重く閉ざされている。
「……困ったね」
然程困惑した色も口調に滲ませず、微かに苦い笑みと共、呟く。
こんにちは。阿瀬 春と申します。
今回は、密室でのお話のお誘いに参りました。
みっしつ。心惹かれる響きです。
でも、年齢制限がかかりそうなことや殺人事件は起こりません。神魂の影響で色んな場所で密室が出来上がるだけです。場所によっては電気が消えたり外が嵐になったりラップ音が鳴ったり、ちょっと怖いことが起こるかもしれませんが。
ある程度の時間(二時間程度を想定していますが、それ以上でも構いません)過ぎましたら、密室状態は自然に解除されます。
ガイドには木原 一颯さんとコミュニティ『villa L'eremita』にご登場頂きました。ありがとうございます。
ガイドでの一場面はイメージですので、もしもご参加頂けます場合は、場所から何から全て変えて頂きまして構いません。もちろん、ガイドの続きなアクションを頂きましても大丈夫です。
誰かとご一緒でも、お一人でも。
要は、ひとりで、または居合わせた何人かで、密室を楽しみましょうなお話です。
幾つか場所を用意してみましたが、密室が出来そうな寝子島島内の場所でしたら、どこでも。
1■学校の教室
放課後の学校の教室です。窓の外には茜空。閉じ込められるだけですが、外から入って来れる人は居ません。
好きな誰かとふたりっきり、とかも可能です。その場合はGAを組んだ上で、『ふたりっきりで!』とかの一文を頂けますと助かります。
甘酸っぱい青春のひととき、如何ですか。
2■廃屋の一室
夜の崩れかけた廃屋の一室です。日本家屋。ラップ音が鳴ったり、部屋の外や上を得体の知れないナニカが歩き回ったり這いずり回ったり、窓からナニカが覗き込んできたりするかもです。
不特定多数の誰かと一緒になる可能性が高いですが、お一人かGA組んだ人とのみ、とかの場合はご指定頂けますと助かります。
ホラーっぽいひとときが過ごせるかもしれません。
3■植物園の温室
星ヶ丘に割合新しくできた、こぢんまりとした植物園内のちいさな温室です。緑でいっぱいの、あったかい日中の温室の一角には小さなカフェが開いています。店員が一名居ますが、異変には気付いて居ない様子。人気は少なめです。
何事も無かったかのように、内心冷や汗かきながらお茶を楽しんでみたり、外に出るべく奮戦してみたり。
不特定多数の誰かと一緒になる可能性が高いです。
日常の中に紛れ込んだ非日常なひととき、な感じでしょうか。
4■その他
その他、ご自由に場所とシチュエーション、時間帯等、ご設定ください。
ご参加、お待ちしております。