this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
鍵のない部屋で
<< もどる
1
…
7
8
9
10
11
つぎへ >>
「失礼します」
理科室の戸を開けた途端、溢れ出した茜色の光を制服の全身に浴びて、
御巫 時子
は瞳を細めた。
「尚輝先生?」
理科室特有の、さまざまな薬品の混ざり合ったにおいを嗅ぎながら、時子は黄昏色に染めあげられた室内を見渡す。
実験台のシンク脇に並ぶビーカーやフラスコ、誰かが片付け忘れた丸椅子、窓際に並ぶ鉄製スタンドや顕微鏡。戸の傍の蛍光灯スイッチを押せば室内が明るくなると判っていて、時子は柔らかな夕暮れの光に照らされた床を踏み、戸を後手に閉ざす。
一日を惜しむかのような光に満ちる放課後の理科室に、いつも大抵ひとりで化学の実験をしている、化学担当教諭の
五十嵐 尚輝
の姿は今はない。
その代わり、黒板前の実験台の上、試験管やメスシリンダーと並んで、お弁当箱が置かれていた。午前中に届けたお弁当がきちんと空になっていることをお弁当箱の軽さで確かめ、時子は三つ編みの黒髪を揺らして小さく微笑む。実験に没頭するあまりよく食事をすっぽかす尚輝先生は、けれど時子が心配だからと時々届けるお弁当はちゃんと食べてくれる。それが何より嬉しかった。
一日の終わりに会えなかったのは残念だけれど、明日またお弁当を届けることを口実に朝一番に会いに来ようか。
そんなふうに考えながら、お弁当箱を手に踵を返す。廊下への戸を開けようと手を掛けて、
「え?」
引き開けようとした戸が開かず、時子は首を傾げる。少し力を込めてみても、知らない間に鍵が掛けられたように戸は開かない。
お弁当箱をお守りのように抱きしめて、戸から一番近い窓に手を掛ける。鍵掛かってはいないはずなのに、窓もやはり開かない。
(どうしましょう……)
困惑しつつもどこかおっとりと、時子は茜色の理科室を見回す。他に開きそうな窓や戸がないか一通り試して後、窓際に置かれていた丸椅子にのんびりと腰を下ろす。小さく息を吐いて、向かいにある開かない戸を眺める。ここでこうして待っていれば、そのうち尚輝先生がやってくるかもしれない。
(そうですね、待ってみましょう)
窓の外に雀の鳴き声を聞き、お弁当箱を胸に抱いたまま目を向ける。
「今日は。お一人ですか?」
開かない窓を指先で軽く弾き、雀にそっと話しかける。
「お話、しませんか」
そう望んでろっこんを発動させれば、
『おはなし? きみこそひとり?』
時子にだけ聞こえる声で、雀が話し始める。
茶色の頭を傾げる雀が可愛らしくて、出来るなら肩に乗せたり撫でたりしたいのに、窓が開かない今は触れることもできない。
「はい、ひとりなんです」
『あのこ、よんでこようか?』
「あの子?」
『そしたらきみ、さびしくないよね』
聞き返す時子にチチチと笑い、雀は小さな翼を忙しげに羽ばたかせて窓辺を離れた。止める間もなく茜空に飛び去る雀を見送って、時子は雀のように首を傾げる。
遠ざかる雀の姿に、ふと思いつく。思いつくままに立ち上がって、次のの瞬間、時子は人の姿から雀の姿に変わっている。軽やかに小さな翼羽ばたかせ、天井近くの通気口の網の隙間に潜りこもうとして、
雀の小さな体でも外に続く通気口を塞ぐ網は抜けられず、ぱたり、雀の姿のまま床に不時着する。
人の姿に戻った時子は然程落胆した風でもなく立ち上がる。スカートの裾を叩き、しばらく考えてから、実験台の足元の戸棚を開ける。魔法のように取り出したのは、袋入りのコーヒー豆とサイフォン。
アルコールランプに熱せられた水がフラスコからロートに湯が昇る様がいつ見ても不思議で、つい見惚れてしまいながらも、手際よくコーヒーを淹れ、サイフォンと同じ戸棚に入れられていたビーカーにコーヒーを注ぐ。
熱いコーヒーを口にしながら、生徒手帳を取り出す。こっそり挟み込んだ写真を見つめる。
校内で新聞を作成したとき、友人が撮ってくれた一枚。
尚輝先生と時子が並んで写っている、大切な大切な、その一枚。
写真を眺めているだけで、ふうわりと心が温かくなる。
温かくなる自分の胸に思わず照れて、時子は唇に笑みを滲ませる。熱くなる頬をコーヒーの熱に誤魔化し、理科室の中を眺めることに誤魔化す。
(いつもは先生の傍に居て何があるのか見る機会が少ないですから)
いつもは先生のことばかり見ているのだと、ふと、思い知ってしまった。時子は少し途方に暮れる。
(これは神魂の影響でしょうか?)
困りましたね、と小さく小さく息を吐く。自分の気持ちはとりあえず置いておくことに決めて、のんびりまったり、コーヒーの香りと味を愉しむ。
暮れてゆく空にも急がず焦らず、サイフォンやビーカーを丁寧に洗って片付ける。ついでに器具の棚を綺麗に拭き、手慣れた仕草でシンクに並ぶビーカーやフラスコを所定の位置にきちんと並べて片付ける。黒板の前に立つ人体模型に積もる埃も綺麗に拭く。次はどこを掃除しようかと暮れなずむ室内に視線を巡らせた、その時。
ことん、と背後で音がした。
後ろの人体模型の方から聞こえた気がして、時子は思わず体を強張らせる。振り返ろうとした途端、窓を激しく何者かが叩いた。
「きゃ?!」
息を呑む。恐る恐る振り返る時子の目に映ったのは、
「……ヨタカさん……」
雀に教えられ、時子を心配して迎えに来た鳥のヨタカさん。
窓を嘴でつついたり翼で叩いたり、心配げな様子のヨタカさんを安心させたくて、時子は窓辺に寄る。手を掛ければ、呆気なく窓は開いた。
安堵の息を吐いてヨタカさんを迎え入れながら、時子はもう一度理科室を見遣る。
不意に扉が開いたりしないだろうか。
尚輝先生が入ってきたりしないだろうか――
<< もどる
1
…
7
8
9
10
11
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
鍵のない部屋で
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月01日
参加申し込みの期限
2015年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!