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鍵のない部屋で
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机の脇に掛かった体操服袋を見つけて、
椎名 あさひ
は榛色の大きな瞳をにこりと笑ませる。
「みーつけた」
体操服袋を片手に持って顔を上げれば、窓の外を満たす夕暮れの光が目に入った。体育の授業で走り回ったグラウンドが別の場所のように見えて、あさひは慌てて踵を返す。
「おそくなっちゃったー」
背中まで伸ばした長い黒髪を揺らし、呟きながら教室の戸を開ける。
「っ、と」
「わっ?」
開けた途端、廊下を歩いていた栗色の髪の少年とぶつかりそうになって、あさひは体操服袋を両腕で抱きしめた。
蛍光灯の灯る廊下でたたらを踏んで立ち止まったのは、一学年上のお兄さんなお友だち。
「ゆきくん」
「あさひ」
三年生のあさひに元気よく名を呼ばれ、四年生の
双葉 由貴
は空色の眼を勝気に笑ませる。
「今帰りか?」
「うん。ゆきくんも今から帰るのー?」
こくり頷く由貴の前に回り込み、
「じゃあ、と中まで一しょに帰ろー」
人懐っこさ全開で服の袖を掴まんばかりに誘う。
「え、ああ、うん」
何の躊躇いも無く誘われ、照れ屋な由貴はちょっと戸惑う。それでも、
「いいけど」
「わあ、やったー」
断る理由も無く小さく頷けば、あさひは体操服袋を振り回すようにして喜んだ。
「いこう、ゆきくん」
夕暮れの光と蛍光灯の光が混ざり合う廊下を渡り、下駄箱に続く階段を降りる。由貴よりも先に階段を降りながら、あさひは二三段上に立つ由貴を振り返って見上げる。
「どうした」
「階だんをおりてると、十三だん目の階だんの七フシギを思い出すねぇ」
「え」
「ゆきくん、しってる? あのね、」
「ああうん知ってる、知ってるから話さなくていい」
無邪気に怪談話を始めようとするあさひを、由貴は平気な振りして押し止める。ちょっぴり早口になってしまった気もするけれど、先を行くあさひは気付いてはいない。弾む足取りで階段を降りながら、
「この階だんの数も数えてみよーかなぁ?」
楽しそうに怖いことを呟いている。
「ゆきくん、いまなんだんめ?」
「さあ、いちいち数えてないな」
「そうだよねー」
平静を装う由貴の返答にのんきに頷くあさひの言葉に重なって、黄昏に染まる廊下の奥から、カタリ、物音。
「ッ?!」
由貴がびくりと身体を震わせ、
「今、何か音が聞こえてきた!」
あさひが残り二段の階段を身軽に飛び降り、黒髪を翻し眼を輝かせて由貴を振り返る。
「ゆきくんも聞こえたよね?」
「う、……うん」
「先生かなぁ……?」
「きっと先生だ」
それはもう大きく何度も頷く由貴の強張った頬には気付かず、あさひは物音がした廊下の向こうへ顔を向ける。耳を澄ませても、物音はもう聞こえない。
「あっちは理科室だよねぇ?」
「りりり理科室?」
何の音だろう。あさひの胸が好奇心でいっぱいになる。
「見に行こー!」
「いや、俺は、」
あさひは何故だか足を止めたままの由貴の傍まで駆け上り、その手を掴む。
「あさひ」
恐れ気も無く理科室に突進しようとするあさひをとどめようとするも、それ以上は強く出られず、由貴はあさひに引っ張られる格好で夕暮れ色の廊下を進むはめになる。
非常灯の緑色の光ばかりが目立つ廊下の先に、『理科室』のプレートが掛けられた特別教室。
「あけるよー」
「開けるのか」
真っ赤に染まった硝子窓つきの戸の前であさひは元気に宣言し、勢いよく戸を引き開ける。
夕暮れ太陽と同じ真っ赤な色に染まって並ぶ実験台、水道の傍に並ぶ実験道具、鍵の掛けられた戸棚、棚に佇む人体模型と骨格標本。
「なんだかブキミだねぇ……」
言いながらも、あさひは迷うことなく足を踏み入れる。あさひに手を離してもらえない由貴も仕方なく後に続く。
二人が理科室に入った途端、カラリ、戸が軽い音を立てて閉まった。
「えっ」
「あっ」
振り向くふたりの目の前で、廊下に続く戸が閉まる。恐怖に固まる由貴の手を引き、あさひは不思議そうに戸に触れる。
「ドアが開かなくなっちゃってる」
「えっ!?」
のんびりと首を傾げるあさひの傍ら、由貴は眼を剥く。慌てて戸に飛びつき開けようとするも、
「開か、ないっ」
「先生気づかずにカギかけたのかなぁ? 見回りに来てくれるまで待つしかないかなぁ?」
「っ、でも!」
あんまり呑気に笑うあさひに焦りまくるあまり声を荒げそうになって、由貴は自分の声に驚いた。息を呑んで俯き、何度か深呼吸する。きょとんとするあさひに、ごめん、と小さく謝る。
「先生がいつ来るかわからないし、誰か近くにいる人を呼ぼう」
「カギかけた先生がまだいるかもしれないしねぇ」
ふたりは頷きあう。せーので揃って戸を叩く。
「先生ー!」
「あけてー、中にまだいるよー」
声を限りに叫んで、拳が痛くなるまで戸を叩いて叩いて、
「先生! 誰か!」
あきらめ切れずに戸を叩く由貴の傍ら、あさひが息を切らす。戸に背中を向けて座り込み、痛む手を撫でる。あさひの隣、小さく呻いて由貴もしゃがみこむ。
戸に額を押し付け、廊下に誰かの足音や声がしないか耳を澄ませ神経を尖らせても、戸の向こうに人の気配はしない。
まるで学校にふたりきりで取り残されてしまったような感覚に陥って、由貴の顔から血の気がひいた。
(これは本格的にまずいんじゃないか)
そう思いながらも、あさひを不安にさせないよう、由貴は冷たい頬を掌でごしごしと擦る。
(で、でもここにはあさひがいるし!)
ひとりだったら怖くて動けなくなっていたかもしれないけれど、今は年下の女の子が隣にいる。泣き言なんて漏らせない。こんなところで自分が怖がってしまったら、
きっとあさひは泣いてしまう。女の子にそんな顔をさせてはならない。
(お、俺の事よりあさひを守んないと!)
喉の奥がギュッとなるのも鼻の奥がツンと痛むのも我慢して、由貴は唇を引き結ぶ。
「大丈夫か、あさひ」
「理科室と言えば、理科室にも七フシギあったよねぇ?」
折れそうな心をなんとか支える由貴の隣、あさひは学校に伝わる七不思議のひとつを思い出そうと小さな鼻の頭に皺を寄せる。真っ赤で不気味な理科室をぐるり見回し、
「そうそう、おどる人体モケイとか」
思い出したこと自体が嬉しくて堪らなくて、飛び上がる勢いで立ち上がる。
「ねぇねぇ、ちょっと見てみよーよ!」
教室の後ろ、夕陽に照らし出された人体模型が置かれた棚を指し示す。
「っ、ちょッ……!?」
七不思議のある理科室に閉じ込められたこの状況を少しも怖じず、それどころか一番触れたくないところに触れようとするあさひの服の裾を、由貴は焦るあまり咄嗟に掴んで引き止める。
「だめだ」
低く言う由貴を嘲笑うかのように、突然、ガタガタガタ! 上半身だけの人体模型を納めた棚が大きく揺れた。身を凍らせる由貴の視線の先、棚の中の人体模型から胃や心臓の模型が派手な音立てて床に落ちる。
「うわ!」
「わあ!」
由貴が悲鳴を、あさひが歓声をあげる。
筋肉も歯も剥き出しの頭を揺らし内臓を次々落っことし、棚の上で人体模型が踊りだす。不気味に踊る人体模型は、
(この間のゲームのガイコツさんみたいで楽しいねぇ)
少し前に迷い込んだゲームの中で出会ったガイコツを思い出して、あさひはニコリ笑う。由貴に片手を掴まれて、踊る人体模型の傍には寄れないけれど、あさひは小さな指を人体模型の頭に向ける。
「あっちむいてー、ほいっ!」
あさひの指につられてあっち向いた人体模型の頭がぐるぐる回ってごとんと落ちた。頭なくした人体模型は怪しい動きを止める。
「止まった……?」
ホッとしたのも束の間、今度は天井や窓枠がピシピシと激しい音を立て始めて、由貴はあさひの手をぎゅっと握る。
(どうしようどうしようどうしよう)
内心パニックを起こしながら、由貴はあさひの手を引き寄せる。あさひを自分の後ろに庇う。
「あれれ? ゆきくんどうしたの?」
必死な由貴に庇われながら、庇われたことにも気付かずに、あさひは変な音の鳴り響く理科室を見渡す。
「あさひ知ってるよ、これ、家鳴りって言うんだよねー」
(違う、ラップ音だ!)
「あれ? でも家鳴りって木のお家しかならないんだっけ?」
背後で無邪気に恐怖を煽るあさひをどうにか黙らせようと混乱する頭で考えるも、
ピシリ!
耳元で響いた怖い音に、由貴の思考は吹っ飛ぶ。首筋を冷や汗が伝う。手足が震える。でも、
(あさひを守らないと!)
その一心で由貴は必死に恐怖と戦う。
「ゆきくん顔色悪いよー?」
大じょうぶ?、とあさひに背中を撫でられ、由貴は頑張って背筋を伸ばす。
「だっ、だいじょーぶ!」
殊更に力強く答える。
(俺がしっかりしなきゃ! 俺があさひをまもらなきゃ)
こわいけれど。
(こわいけどでも!)
「あ、カギがあいたみたい!」
踏ん張る由貴の足元を掬うように、あさひが不意にはしゃいだ声をあげた。振り返る由貴の前、あさひが戸に手を掛ければ、簡単に戸は開いた。
廊下の光を受けて、由貴は床にへたりこむ。
(好かった、何事もなくて本当に良かった)
「ドアになにかひっかかってたのかなぁ……?」
開いた戸から顔を覗かせ、あさひはすっかり暮れた窓の外を眺める。
「……暗い道はちょっとこわいなぁ」
理科室の怪異は平気だったくせに夜道を怖がるあさひの小さな背中に、由貴は思わず笑う。
不安そうな横顔を見せるあさひに、立ち上がりながらお兄ちゃんの顔で頷いてみせる。
「そうだよな。暗い道は怖い」
でも、と顔中で笑う。
「俺があさひをちゃんと送ってくから」
さっきみたいに怖いことがあっても、
(守るから)
「だから大丈夫」
理科室から出ながら、ふたりはどちらからともなく手をぎゅっと握る。
(うん)
あさひもちょっと笑う。
(ゆきくんと一しょなら暗い道もちょっとだけこわくなくなる……かな?)
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月01日
参加申し込みの期限
2015年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月08日 11時00分
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