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【演目その9 『二つのF』(2)】
客席が、息を呑むのが分かりました。舞台で苦悶の声を張り上げたのは、
志波 武道
。普段のどこかおちゃらけた顔を知っている人にはなおさら、鬼気迫る彼の演技を感じたことでしょう。
それに、
添木 牡丹
。圧倒的な存在感を醸し出す彼女が、まずは舞台の空気を作り、観客たちを引き込んでみせました。
舞台袖の望月は、台本を片手に、セットの手直しに使ったげんのうを指示棒代わりにしゅばっと振るって、
「よし、つかみバッチリ! 次、頼んだぜ、お二人さん!」
出番を控えた
エリューシア・セリアン
、
佐々 寿美礼
を送り出します。
ふと、後ろを見ますと。
にーっ。にんまり。にっこり! 鏡に向かって笑顔を確認する、
ロベルト・エメリヤノフ
。練習を重ねて、いくらか上手くなってきた表情に、彼はうなずきます。
(……よしっ)
その背中を、望月はぽんっと叩いて、
「良い笑顔じゃねぇか。ロベルトちゃんも頼んだぜ、そーら、行って来い!」
「……うん。任せてよ。それじゃ、行ってきます」
お次は、華やかなオペラの舞台稽古のシーン。照明係の薫、演奏や音響の陽太、聖華が配置に付いて、きりりと眉を引き締めます。
そして、語り出しました。今回の脚本を執筆し、自らも舞台に立ちながら、ストーリーテラーとしての役回りも担う、
丹羽 紅葉
が。
「……時は19世紀。花の都、パリ。これより始まるのは、美しい歌姫と、愛を知らない怪人。そしてそれを取り巻く人々が織り成す、ひとつの物語……」
白いマスクを身に付けて、恭しく頭を垂れた紅葉の歌うような口上と共に、『二つのF』は、本格的に回り始めました。
パリ・オペラ座。豪奢を尽くしたその威容と、そこで演じられる壮麗な歌劇が人々を魅了したのは、もはや昔日のこと。
「では、紹介しよう。こちらが、オペラ婦人だ」
業績不振に陥った劇場の立て直しを図るべく、
支配人
が奔走し、見出した経営顧問。仮面で顔を覆ったその貴婦人を、彼は
オペラ夫人
として紹介しました。彼女が長年このオペラ座のパトロンとして多大なる出資をし、そして陰から小さくない影響を及ぼしてきたことを、支配人を除く多くの人々は知りません。
戸惑う人々を前に、オペラ婦人はさもそう命ずる権利が自分にはあるとばかり、当然のように言いました。
「ねえ、支配人。次の劇は、あの子を主役へ据えなさい。……あちらの子は、何でもいいわ。端役でもやらせておきなさい」
今日の舞台稽古では、次なる新作オペラの配役を決するオーディションも兼ねており、二人の女優が候補として挙げられていました。
一人は婦人が指名した、美しき
カルロッタ
。
「主役は私。当然だわ」
他者を見下したような、吊りあがった挑戦的な眼差しの女です。しかし彼女は、オペラ座にて幾度も主演の舞台を踏む、押しも押されもせぬ花形女優でした。
「さあ。歌ってみせなさい、カルロッタ」
「ええ、もちろんご覧に入れますわ。貴女の目に曇りが無いことをね」
婦人に請われ、カルロッタは舞台の中央へと進み出ます。もう何度と無くこうして、彼女は主役をその手に勝ち取ってきました。次の舞台でも、その成功を疑う者はいません。例え鼻持ちならない傲慢な女であろうと、その実力を、彼女は常に自ら証明してきたのです。
素晴らしきアリアが、舞台に響き始めます……しかし。彼女は己を込めたその声で、最後まで歌い終えることはできませんでした。
(よし、ここだぜ!)
ルドは機を見計らって、仕掛けを動かしました。
がしゃーん!! カルロッタ役の寿美礼、オペラ婦人を演じる牡丹の後ろで派手な音を立てて落下したのは、背景にかけてあった幕のひとつです。轟音は、陽太や聖華が用意しておいた音響効果。
(う、うまく叫べる、かなぁ……)
ちょっぴり腰が引けつつも、彩斗が舞台袖から、壇上へと向かって叫びます。
「ま、また落ちたぞー……!」
寿美礼が歌い始めたところを見計らっての演出は、タイミングばっちり!
舞台の上では支配人、ロベルトがすかさず、
「またか……!」
とスタッフへ指示するそぶりを演じます。
「カルロッタ、待ってくれ!」
追いすがる支配人を振り払い、カルロッタは金切り声を上げます。
「冗談じゃないわ! こんなにも事故が絶えない中での上演なんて、どうかしてる! オペラ婦人には悪いけど、私は降りさせてもらうわ。後はどうぞ、ご勝手に」
取り付く島も無く立ち去るカルロッタの吐き捨てたように、オペラ座では昨今、不可思議な事故が多発していました。支配人はスタッフの怠慢を指摘したものの、当の裏方たちに心当たりは微塵も無く、劇場は不気味な困惑に包まれていたのです。
しかし、このことがきっかけで、不意に表舞台へと現れ出でた才能がありました。
「カルロッタさんの代役は、彼女がふさわしいのでは無いでしょうか?」
そう薦めたのは、
メグ
。類稀な才を持ち、後の歌姫となる彼女の、友人でした。
「他にいないのであれば、確かに、仕方が無いが……オペラ婦人?」
機嫌を伺うようなそぶりの支配人に、オペラ婦人は黙して語らず、ただ怜悧な眼差しで彼女を見つめていました。
「私が……主役に……?」
そう。彼女こそ、オペラ婦人が先に、端役でも充てておくようにと言い放った、
クリスティーヌ
。この時より徐々にその才覚を目覚めさせ、カルロッタに代わる花形……歌姫の座へと華麗に躍り出ることになる、若手女優でした。
事実、彼女を推した友人メグの瞳はまさしく慧眼であり、カルロッタの代役として主演を授かることになったクリスティーヌは、支配人の不安をよそに、次なる新作オペラにて華々しくデビューを飾り、公演をかつてない成功へ導いたのです。
「……ああ、やったわ、メグ! 貴女が私を薦めてくれたおかげよ!」
「いいえクリスティーヌ、全ては貴女自身の力よ。でも驚いた、いつの間にあんなにも、上達していたの?」
友人と喜びを分かち合うクリスティーヌへ、メグは尋ねました。
クリスティーヌの歌は未だカルロッタに及ばぬ程ではありました、しかしそこには確かに豊かで深い才気を感じさせ、いずれは彼女が花形女優へと成長するだろうという確信を、観客たちには抱かせたのです。
クリスティーヌは友人へ、嬉しそうに語りました。
「それはね。音楽の天使が、私にレッスンをしてくださるからなの。ああ、私の天使様……」
たった一度の代役ながら、それはオペラ座へと、彼女の名を知らしめることとなりました。
そして、ある日の公演にて。再び端役を演じるクリスティーヌを、彼女に縁ある一人の紳士が見定めたのです。
観客席へも容易に響き渡る声は、クリスティーヌを演じるエリューシアの歌の実力を考えますと、少々たどたどしいものに聞こえました。けれど、これもまたひとつの、演出でありまして。
エリューシアは、少しずつ成長していくクリスティーヌの歌を、そのクォリティをコントロールすることで、演じ分けようとしているのです。声楽への確かな基礎を備えた、彼女ならではの高度な演技でありました。
やがて場面は移りまして、物語には、新たな登場人物を呼び込むことになる……のですけれど。
その登場場所は、ちょっぴり奇をてらっておりまして。
「……ええと、御薗井さん? 照れてしまうから、あまりじっと見つめないでもらえると、助かるかな」
二階席の一番前。観劇している
御薗井 E セレッソ
は、何だかぼんやりと、彼のことをじっと見つめています。
「め……恩、センパイ?」
照れ臭そうに笑う
早坂 恩
が、セレッソのすぐ側に立っておりました。
その姿はいつもの彼とはどこか違って、すらりと凛々しくて。それは役作りのため、彼が日常生活にまで役柄としての言葉遣いを持ち込み、徹底して演技に打ち込んできたため、でしたけれど……普段と違って男っぽくて、カッコ良くて。そんな恩の姿に、
「え、え、え……?」
びっくりして、どきどきして。ぽかんとしているセレッソに、恩はぱちり、と片目をつぶって見せて。
直後に、ばん! とまぶしいスポットライトが客席に当たり、彼を照らしました。
「……クリスティーヌ! 間違いない。あれはクリスティーヌだ。ああ、彼女は僕を覚えているだろうか? 幼馴染の、僕のことを……!」
クリスティーヌに縁のある人物が、オペラ座でその公演を観劇していた、という演出を、このスターヒル・シアターの観客席までも使って表現したのでした。やがてぱっとライトが消えると、恩はセレッソへ小声で、応援よろしくね? とささやいて、あっという間に行ってしまいました。
「セ……センパイ……」
セレッソは目をぱちくり、ぽかんとしたまま。舞台は、次のシーンへと移っていきました。
「ラウル! ああ、ラウル、あなたなのね! 嬉しいわ、また貴方に出会えるなんて……!」
「覚えていてくれたんだね、クリスティーヌ! 君は本当に素敵な女性に、そして素晴らしい女優になったんだね」
紳士の名は、
ラウル
。彼はクリスティーヌの、幼馴染でした。クリスティーヌは幼き日を共に過ごした彼との再会を、色褪せない鮮やかな記憶を蘇らせながら、大いに喜びました。
二人は、次々に浮かび上がってくる過去の情景を胸に、他愛ないことで笑い、涙し、そして寄り添い合った日々を今に取り戻すかのように、幼年期ながらに抱いた想いが本物であったと確かめるように、思い出を語り合いました。
時を経て妙齢の男女として再び巡り合ったクリスティーヌとラウルは、瞬く間に惹かれ合いました……しかし。それを快く思わぬ者が、この時、影に潜み、彼らを見つめていたのです。
暖炉の炎のように揺らめく、激情を押し込めた暗い瞳を細めながら。
ラウルこと恩が舞台から去った直後に。セットの中の大きな鏡が、ぱたん、と開いて、ぬっと伸びた黒い腕に掴まれたクリスティーヌ、エリューシアはあっという間に、裏側へと消え失せました。観客席から、あっ! という声が聞こえてきたことに、武道は劇の手応えを感じます。
すぐにもセットが入れ替えられて、きょろきょろと辺りを見回すエリューシア。次は、武道の出番です。
ふと見ると、すぐ脇で、
音海 なぎさ
がこくり、彼へとうなずいて見せました。
武道となぎさ、彼らの役柄こそ、ファントム。二人一役、入れ代わり登場することで、その内面の表裏を演じ分けることになっているのです。
複雑な役回り……だからこそ武道は、普段のおちゃらけは一切封印! 全力で真剣に、劇へと臨みます。
(よし。行こう)
出番を待つなぎさに見送られて、武道は舞台へ。
そして、流れ始めるピアノの音。
(……がんばれ、よーた……!)
彩斗が見守る中、舞台袖に用意されたピアノによる生演奏でシーンの情感を盛り上げるのは、陽太です。
暗がりに、影が揺れています。暖炉の明かりに映し出されて、二つの影が。
響くのは滑らかなピアノの音色と、伸びやかな歌声。
「……素晴らしい。君は、素晴らしく上達した。クリスティーヌ……」
「ありがとう……貴方のおかげよ、天使様!」
鏡の中へと連れ去られ、この薄暗い空間へと引き込まれながら、クリスティーヌが怯えることはありません。
彼女の素晴らしい才能を見出し、細やかな手練でレッスンを施し、代役としてながら主演女優へと押し上げたのは、他ならぬ彼なのですから。
『音楽の天使』。クリスティーヌは彼のことを、そう呼んでいました。
「では、今日の仕上げに。共に歌おう……ついておいで、クリスティーヌ。君の心を、解き放つのだ」
「はい、天使様!」
明るく。一心に注がれる純粋な眼差しは、クリスティーヌから彼への心よりの信頼の証です。
どこまでものびのびと、暗がりにありながら、歌い上げる彼女の姿は輝き、鮮烈にピアノを奏でる彼をも一体として、全てを照らし出すような、あたかも光のメロディとも呼べるその歌の表題もまた、『音楽の天使』と言いました。
レッスンを重ねるたび、彼女はより一層輝きを増し、眩しいほどに、舞台で観客たちを魅了するのです。
「よろしい。今日のレッスンは、ここまでとしよう……クリスティーヌ」
「はい、天使様?」
澄み渡るような純白のクリスティーヌは、知らなかったのです。
「……いいや……私はいつでも、君の成功を祈っているよ……君のことを……」
天使が仮面の下へと覆い隠す、もう一つの顔を。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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