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【演目その9 『二つのF』(3)】
クリスティーヌがオペラ座にその頭角を現し始め、また再会したラウルとの絆を深めていく……そんな最中のこと。
いつものようにレッスンを授かり、その後に天使が戯れに弾き鳴らすピアノの音色に、彼女が酔いしれていた時のことでした。
音楽の天使。自身がそう呼び慕ってきた彼を、クリスティーヌは知りません。名は? 生まれは? どこでこのような、自分を惹き付け捉えて離さぬ、精緻で魅力的な技巧の極致を身につけるに至ったのか?
クリスティーヌは、この時ふと、知りたいと思ったのです。
仮面。彼が常にその半面を覆い隠す、仮面の下の素顔を、知りたいと思ってしまったのです。
その行いが、この素晴らしい時間を終わりへと導き、破滅を呼び込むとは知らぬままに。
クリスティーヌは、後ろからそっと、天使の仮面を外しました。
「あっ!?」
爛れた半面。惨たらしい火傷の跡。天使の素顔は、醜く、恐ろしい異形をたたえていました。
「…………見たのかね。どうだ。私の素顔も、なかなかに端正なものだろう?」
「ご……ごめんなさい、天使様! 私は……」
優しい天使の姿が、これまでに親しみ慕ってきた彼が、ただの半分に過ぎなかったことを、クリスティーヌは知りました。
「なぜ、私が……このような、暗がりに潜んでいるのだと思う? お前の住む世界とは違う、あの輝かしい天国のような舞台とは違う、このような薄暗く陰鬱な空間に、押し込められているのだと思う? なぜ? 私が重罪を犯したからではない……顔だ。忌々しい、怪物のようなこの顔のためだ!!」
肩を震わせ、天使の仮面を剥ぎ取られた彼は、恐ろしい声で吼えたのです。
「出て行け……出て行くんだ! クリスティーヌ!!」
慌てて手の中の仮面を返し、クリスティーヌは足をもつれさせながら駆け出します。
「一人にしてくれ……。忘れるんだ。今見たものは、この醜い素顔のことなど……」
背に届く嘆きとも憎悪ともつかぬ声に、クリスティーヌは震え上がり、音楽の天使との幸せなレッスンのひとときが、二度と巡っては来ないことを悟りました。
武道は、裏。なぎさは表……この攻撃的な一面もまた、怪人ファントムの本当の姿のひとつ。なぎさは、それを演じているのです。
なぎさは以前に、演劇を専攻していたことがありました。きっと才能にだって恵まれていたのでしょう、なぜなら彼の演じる表のファントムは、その衝動的な激しさで、観客席へ幾度も息を呑ませていました。もう、目を見張る迫真の演技なのですから。
なぎさは、
(……真面目に過激に、本気で! でもその心は、純粋に……!)
その華奢な線の細さなんてひとつも感じさせないほどに、力強く。全力で!
そして舞台袖では、寿美礼が次の出番を前に控えながら、ぐっと気合を入れておりました。
次は、彼女の最大の見せ場。花形女優カルロッタの希望と絶望を表現する、重要なシーンです。
(あんなに練習してきたんだもの。絶対に、最後まで……演じ切る!)
その日、オペラ座の支配人宛てに、一通の手紙が届きました。
怪人、ファントムの名の元に。
「『一つ、二階席の5番ボックス席を、常に私のために空けておくこと』。『一つ、私へと給料を支払うこと』。『一つ、次なる舞台の主役を、クリスティーヌにすること』……」
「冗談じゃないわ!」
これに激怒したのは、カルロッタです。
「あんな小娘に、主役を引き渡せと? 冗談じゃない、たった一度、代役を務めさせただけじゃない!」
一度はクリスティーヌにその座を譲ったものの、それも一度きり。花形スターとしての名声は依然、カルロッタにありました。そしてその確固たるプライドが、成長著しいクリスティーヌと彼女を並び立たせ、更なる高みへと押し上げていたことも確かでした。
支配人は、手紙をつまらぬものと断じて破り捨てながら、
「ああ、もちろんだよ、カルロッタ。君こそが主役だ、もちろん、それは変わらないとも」
そしてちらと、クリスティーヌを見やります。
彼は迷っていました。あのたった一度の代役で、彼女の実力を見定め、そして虜となってしまったのは、観客のみに留まらなかったのです。しかし、カルロッタの機嫌を損ねてしまうことは当然にして憂慮すべきであり、そして、彼を常に見つめているあの冷ややかな目線が、彼に決断を許しません。
オペラ婦人。仮面を被った貴婦人は、このオペラ座において未だ、多大なる影響をもたらしているのです。
やがて次なる劇が上演の時を迎え、幕を上げました。
オペラ座の花形として君臨する、カルロッタ。いささか傲慢に過ぎるとしても、彼女に何ら罪があったわけでは無いのでしょう。しかし、見ていたのです。彼女を、怪人は。ファントムは、暖炉の炎のように燃え盛る瞳で、カルロッタを。
意気揚々と、とびきりの笑顔で舞台に上がり、そして伸び伸びと歌い出したカルロッタの声は、彼女の持つ本来の美声ではありませんでした。
カエル。そう、潰れたヒキガエルのような、それは聞くに耐えない、醜い声でした。
「……えっ……ど、どうなっているの?」
自身に何が起こったのか分からず、カルロッタは喉を押さえながら必死に、あの美声を再び発しようと試みても、飛び出すのは哀れで醜い、カエルの潰れ様。
突然の喜劇に、観客たちは大声を上げ、カルロッタを指差し笑います。
「あ……ああ……こんな、こんな!」
よろめきながら、両手で喉を覆い咳き込みながら、舞台の上を行ったり来たり。ひとしきり右往左往した後に、カルロッタはやがて、舞台から逃げ去るように姿を消しました。
慌てたのは、支配人も同じ。
「ま、まさか……本当に、怪人が? この、オペラ座に?」
もはやオペラ婦人の視線になど構ってはおれずに、彼は舞台へと飛び出し、観客たちへと高らかに宣言しました。
「誠に残念ながら、カルロッタ嬢は喉の具合が優れません! この上は代役を舞台へと呼ぶことに、ご容赦をいただきたく! 代役は、クリスティーヌ! 新進気鋭たるクリスティーヌの素晴らしき歌声を、どうぞ皆さま、ご堪能あれ!」
カルロッタ、寿美礼は出番を終えて舞台袖へと戻りました。
そして手を上げて、迎えた聖華と、ぱちん! ハイタッチをひとつ。
「カエル声、タイミングバッチリ! 音もピッタリだったね」
「ギロの音で録って、正解だったッスね。佐々さん、出番お疲れさまでしたッス」
「ありがと! でもまだまだ、カーテンコールだって残ってるからね、気は抜かないで待ってるよ」
ツンとして手厳しいカルロッタ、その素顔は仲間とひとつの成功を喜ぶ、普通の女の子だったりするのでした。
「さあて、次も自分ら裏方の、見せ場ッスね」
音響効果、照明、小道具との合わせ技。
聖華が振り返れば、薫、彩斗、陽太、それにルドが、こくりとうなずきます。
予期せぬ事件が、その時、オペラ座を揺らしました。
支配人は、舞台の高所から突如として落下し、吊り下げられた奇怪なオブジェを前に、呆然とつぶやきます。
「か……怪人が……この、オペラ座に……!?」
それは裏方として働く、彼が名も知らぬ男の一人であり、そして男の歪んだ表情を見れば誰しもが、その命がもはや無いことに思い至ったでしょう。
それは吊り下げられた、死体でした。
騒然とする観客たち。オペラ座のいたるところへ、混乱は瞬く間に広がり、公演は中止を余儀なくされました。
恐怖に慄いていたのは当然のこと、支配人だけではありません。
「……クリスティーヌ! 無事だったかい?」
「ラウル! ああ、ラウル……!」
異変を感じ取り駆けつけた、幼馴染のラウルの胸に飛び込んだクリスティーヌは、小さな肩を震わせながら、彼をオペラ座の屋上へと誘います。地上は、あの暗い地下の空間に連なる全ては、かの天使の領域であるかのように思えたので。
「ラウル……私の秘密を打ち明けるわ。お願い……私を、支えていて欲しいの……」
クリスティーヌはラウルへ、語りました。全てを。
自分が慕っていた、素晴らしい音楽の導き手、天使の存在を。その仮面の下に隠された、恐ろしい素顔のことを。
もう、彼女は気付いていました。音楽の天使、怪人ファントムが求めているものは、他ならぬ自分であるのだということを。
「彼は私を鏡の中へと連れ去り、娶るでしょう。私はきっと、抗えない。彼の歌が、奏でるあの素晴らしい音楽が、私を虜にしてしまう。だから、私は……」
「クリスティーヌ!」
ラウルは、怯えるクリスティーヌを抱き締めました。そして、告げました。
幼い頃から育んできた、今にしてようやく花開いた、その想いを。
「僕は助けよう。全てを尽くし、君を、その孤独から……!」
「どうか言って欲しい。君には、僕が必要なのだと。クリスティーヌ、君は僕の、全てだ……」
見つめ合い、そっと唇を寄せました。
二人は、ようやくにして。
「君を、愛している……」
「……私もよ。もちろん、ああ、ラウル……!」
劇場に突如出現する、吊り下げ死体。その仕掛けにはちょっぴり手が込んでおりまして、裏方を担うメンバーたちの苦心の演出です。
陽太とルドが用意したのは、切り紙で作った輪っか、それに人型の人形がひとつ。それを薫の照明が照らし、セットの上方へとぽっかり映し出しました。
そこへ彩斗が、事前に収録したガヤ音に加えて、
「う、うわああー……!」
なんて叫びを入れれば、混乱するオペラ座が舞台へと出現! というわけなのです。
そしてもうひとつ、連続して派手な演出が続きます。
望月がげんのうでささっ! と合図して、
「次、シャンデリア! 頼んだぜ!」
「もちろん、任せなって……!」
ルドが答えて、聖華、彩斗に陽太は音響効果をスタンバイ。
薫もこくり、力強くうなずきました……ストロボ、フラッシュ効果もOK!
「暗転のタイミングは、一瞬! バッチリ、決めますよん」
「なぜだ。なぜ……なぜあのような男へ、目を向けるんだ」
クリスティーヌを代役に、再開された舞台。それは彼の、ファントムの望んだものであったはずです。そのためにこそ彼は、支配人へ警告し、カルロッタを陥れ、名も知らぬ哀れな裏方を吊り上げて殺すことまでしたのですから。
舞台の上で伸びやかに、美しく澄んだ天使のごとき歌声を響かせる彼女の姿を、確かにファントムは望んでいました。
しかしその望みは、彼が仮面の下に押し込めていた欲求、衝動のただ一つに過ぎないのです。
ファントムが求めて止まないものは、クリスティーヌの成功だけではなく、彼女自身でした。
「なぜだ、どうして私を拒むんだ……なぜこちらを見てくれないんだ、クリスティーヌ……!」
観客席を見上げる彼女の目に映るのは、怪人の醜い素顔ではなく、愛おしいあの男。決して、自分ではないのです。
「……私のものだ。誰にも渡さない……クリスティーヌは、私のものだ!!」
怒りのままに、怪人が手を振るい落とした美麗なシャンデリアは、舞台の中央、クリスティーヌの眼前へと違わずに落下し、砕け散りました。
愛しいクリスティーヌの悲鳴を聞きながら、ファントムは決意しました。これよりは自身もまた、醜い素顔を仮面に押し込め、表舞台へと身をさらすことを。
彼女をその腕の中へと、抱き締めるために。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
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